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「会議の舵取り」の下手な人が知らない6つの技

10/24 6:21 配信

東洋経済オンライン

なかなか意見・本音が出ない、話がまとまらない、結論が出ない……。そんな会議に悩まされている人も多いのでは?  質の高い会議を行いたいなら、ファシリテーターが「心理的安全な場を演出する」役割を担うことが必要だと話すのが、プロファシリテーターであり『ゼロから学べる! ファシリテーション超技術』の著者である園部浩司氏だ。

「心理的安全な場を演出する」ための振る舞いや、やってはいけない言動、心構えなどについて詳しく聞いた。

■「同意」ではなく「受け入れる」

 ファシリテーターの心構えで大事なことは、「中立的である」ということです。

 参加メンバーを100%信じ、受け入れ、尊重することが基本となります。
ファシリテーターに受け入れてもらえているという感覚がなければ、なかなか本音を話してもらうことはできません。

 これは、簡単なようでとても難しいことです。人間誰しも馬が合う人もいればそうでない人もいます。価値観だって1人ひとり違います。ただ、それでもファシリテーターは中立的に振る舞うべきだと思ってください。

 そもそも会議は、多種多様な経験・価値観を持った人たちが知恵を出し合い、相乗効果によって、よりよい解決策などが導き出される場となります。

 この最も基本的なことを忘れずに、中立性を保ち、メンバーを100%受け入れることが、いい会議を創り上げるのに必要なことだと思います。

 なお、「受け入れる」ことと、「同意(同感)する」ことは違います。「受け入れる」とは、たとえ自分の考えと違っていても「あなたはそう思うんですね」と、いったん相手の考え、もっと言えば、発言者である「その人自身」を認めることです。

 ただしその考えに、必ずしも自分が同意する必要はありません。自分の同意の有無に限らず、まず相手を「受け入れる」。その姿勢が肝心です。

 さらに、ファシリテーターの心構えとして最も大事にしたいのは、「メンバーの納得感」です。リーダーが持ち帰って決めてもいいのですが、会議の中で、メンバーと一緒に決めるほうが、全員の納得感を得られます。

 「納得度の高い・低い」は、メンバーのパフォーマンスに大きな影響を及ぼしますから、丁寧に進めましょう。

 例えば次のような感じで役割分担を決めていきます。

例:メンバーが5人いて、タスクを10個程度に分類できる場合
1. タスクは全部で10個だから1人2個を任せられるね
2. 好きなタスクを選んでいいよ
3. もしかぶったら調整させてね
 参加者にはこの3つを満面の笑みで伝え、1人ずつ順番に希望を聞いていきます。もし、やりたいタスクがかぶったら話し合いで調整します。

 このやり方で役割分担を決めると、ほとんどの場合、5分程度という超短時間で決まり、かつ、参加者全員の納得度が高い状態になることが多いです。

 なぜ、短時間で、かつ、納得度が高い状態で決まるのでしょうか。

 それは、自らがやりたいタスクを選ぶことができるからです。これは大きなポイントで、上司に命令された仕事はやらされ感がつきまといますが、「自分がやりたい!」と思って自発的に取り組む場合はいきいきと仕事ができますよね。当然ながら、パフォーマンスにも好影響が出るのです。

 ある研究結果ではやらされ感のある仕事と、自発的に取り組む仕事では、パフォーマンスの差は4倍になるという結果が出ています。

 私は、これをクイズにして、研修で出す機会があります。答えを、2倍、4倍、10倍の3択で出題しますが、これまでの結果は、2倍と答えた人は2割、4倍は4割、10倍は4割に意見が分かれました。

 自分でタスクを決めて、自発的に取り組む。人は、自分で決めることをとても大事にしています。これを「自己決定感」と言います。

 自分で決めたことに対しては、責任感が強まりますし、かなりの確率で納得度が高い状態で決まります。

 リーダーが「適材適所」を決める方法もありますが、本人にやりたいタスクを選んでもらうことが最も理想的な「適材適所」になるのです。

 リーダーの立場として、「○○さんには、これをやってもらいたい」という希望はあると思います。そのあたりは、素直に相手に伝えて調整すれば済む話。メンバーを100%信じ、受け入れるという考え方と同じです。

■安心安全の場を演出をする

 ファシリテーターの役割の1つに、「活発な意見が出る場づくりをする」というのがあります。参加者に安心して発言してもらうために必要なのが「安心安全の場」なのです。

 Google社のリサーチチームが、「チームのパフォーマンス向上のためには、心理的安全性を高める必要がある」という調査結果を発表しています。

 2012年から約4年もの年月をかけて実施した大規模労働改革プロジェクト、プロジェクトアリストテレス(Project Aristotle)により発見された「チームを成功へと導く5つの鍵」の中の1つです。

 「心理的安全性を高める」というのは、最も難しいことの1つかもしれません。会議中においては、ファシリテーターがこの心理的安全な場を演出する役割を担っていきます。

■具体的な6つの演出方法

 その具体的な方法については、次から説明します。

 どれも、意識すれば今すぐできることばかりです。実践していきましょう。

笑顔を絶やさない
 会議中は、ずっと笑顔で。意識して笑顔でい続けてください。

 最初は、作り笑いでも構いません。私は、ファシリテーターを任された当初は、「ただ、笑顔でいる」ということがものすごく苦痛でした。

 でも、作り笑いも、無理やりでもやり続ければ板についてくるもので、“ホンモノ”の笑顔に近づいていきます。「いい仕事をする」という目的があるのだから、笑顔が苦手などと言っている場合ではありません。

立って進行する
 「立つ」ことは必ずしも必須ではありませんが、私の会議は、ホワイトボードや模造紙に情報整理していくスタイルなので、立っているほうが動きやすいです。「Aさんはどう?」「Bさんは?」「Cさんは?」と意見を聞いて、それをすぐにホワイトボードに反映させることもあり、立っているほうが何かと便利です。

 また、立っている人間には必然的に注目が集まりますから、進行しやすいというメリットもあります。

腕組みをしない

 社内で腕組みをしている人を見かけることがありますよね。腕組みは、自己防衛する、ガードする気持ちの表れです。相手を拒絶する動作で、時に威圧感を与えるので、意識してしないようにします。私は腕組みをしそうになったら、必ず寸前で止めます。

 組もうとした手のどちらかを前に出すなどしてとにかく止めるようにしています。

声はいつもよりワントーン高めを意識する
 低い声は、落ち着いて聞こえる半面、少々怖い印象を与えることがあります。なので、「気持ち、高め」を意識して会議を進行しましょう。

 また、とくに、進行に慣れていない頃は、通常の感覚で話していると、早口に聞こえてしまうことがあります。プレゼンテーションなど人に話すときは、「自分が思っている以上にゆっくり話すぐらいでちょうどいい」と言われますが、そのとおりです。

自分とは異なる意見でも否定しない
 明らかに自分とは異なる意見だと思っても、否定しないことです。

 「その意見はどう考えてもないな……と思ってしまったときは、どうしたらいいですか?」と聞かれたことがありますが、答えは簡単です。

 「そういう意見もあるんですね」と言ったり、「面白い意見ですね」と、プラスの側面を見つけることです。これなら、自分とは違う意見だけど、相手を批判することにはなりません。

 どんな意見も見方を変えれば、よい/悪い、正しい/間違っていると、どちらにも解釈できることは多いので、ポジティブなほうを採用しましょう。

反応する
 参加者の出した意見に対し、まずは最初に「いいね!  いいですね!」と言う、誰かが述べた意見に対して大きくうなずくなど、「反応する」ことを意識してください。私は1時間の会議の中で、100回ぐらいは「いいね!」と言っているのではないかと思います。参加者が「反応してくれた」と思えることは、「ここは安心な場所だ」と実感することにもつながります。

■会議環境にも配慮が必要

 また、参加メンバーの安心・安全の場を提供する意味で、会議を行う環境も、少なからず配慮が必要です。

 今までの経験から言うと、いくつか会議室があるなら、窓のある明るい部屋を選ぶことです。

 ちょっと狭いぐらいのほうが、参加者1人ひとりの熱量が逃げないのでちょうどいいのです。

 レイアウトは、島形式、スクール形式、コの字形式といろいろとあると思いますが、基本的には島形式で机と机はなるべく近づけてください。

 また、会議の種類にもよりますが、「問題発見・解決会議」なら、お菓子やドリンクは自由に。BGMもOKにするとリラックスした環境下で臨めます。

 ただし、今は新型コロナウィルスにより、ソーシャルディスタンスのため各座席の間隔を空けなければなりませんので、うまくアレンジしてください。

 会議の最後に5分でいいので、参加メンバーからファシリテーターとしての役割についてフィードバックをもらいましょう。このフィードバックが励みにもなり、成長を加速させます! 

■会議全体の感想を聞くことで本音も聞き出せる

 チェック項目は以下の図を参照ください。

 この図はフィードバックだけでなく、事前の開催準備チェックリストとしても使えますので活用してみてください。

 会議が終わる前に「今日の会議はどうでしたか?」と会議全体の感想も聞きます。

 「今日の会議は、納得できましたか?」という聞き方では答えてくれない人も、「今日の会議はどうでした?  感想をお願いします」と聞くと本音が飛び出すケースは多いです。

 感想は、「私は、こう思った」という単なる主観なので、誰が聞いても「あなたは、そう感じたんだね」と思うだけですから、気軽に言いやすいのかもしれません。

 ちょっとした言葉の使い方を意識するだけで、参加者の“本音”を引き出す度合いは変わるのです。

東洋経済オンライン

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最終更新:10/24(土) 6:21

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