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国勢調査は投資家の味方、4つのポイントを解説《楽待新聞》

10/20 19:00 配信

不動産投資の楽待

収益物件を購入する際に、多くのデータを収集したうえで「この物件なら問題ない」と一歩を踏み出す人が多いことだろう。不動産会社の出すデータだけを鵜呑みにしていては、失敗のリスクを回避することは難しい。失敗しない判断をするための情報として一助になり得るのが、今回取り上げる「国勢調査」である。5年に1度実施される国勢調査。今年2020年はちょうど調査年度に当たり、2020年9月14日から10月20日までを期限として、全国民を対象に調査を実施している。

この調査の結果は、人口速報集計(速報)が2021年6月に、人口等基本集計(確報)が2021年11月に発表される見通しだ。今回の調査結果の発表はまだ先ではあるが、本コラムでは前回の結果のおさらいをしつつ、国勢調査がどのようなものなのか、そして調査結果を不動産投資にどのように生かすことができるか、そのポイントを解説する。

■100年の節目を迎える、国勢調査とは

国勢調査は、全数調査で行われる統計調査のことである。全数調査とは、調べようとする集団全体のすべてを調査する方法で、国勢調査は日本国内に住むすべての人と世帯を対象として調査している。

国勢調査は、特に重要な統計である「基幹統計」の1つと位置付けられている。基幹統計は、報告を拒んだり虚偽の報告をしたりすることを法律で禁止しているなど、その他一般の統計調査と比べて厳格な規定が定められている。

国勢調査が重要とされる理由は、他の統計の基準となる数値を提供する役割を担っているためだ。例えば国勢調査の人口集計結果は、衆議院議員の小選挙区の画定基準や、地方交付税の算出などに使用される。また、労働力調査や社会生活基本調査などの経済関連統計調査の基礎データとして活用されている。

国勢調査は、1920年に第1回が実施されており、2020年の実施で21回目を迎え、今回の集計結果で100年分のデータが蓄積されることになる。国勢調査の結果をより深堀することで、今後の投資判断に生かすこともできるだろう。不動産投資に関連する項目をピックアップして紹介する。

国勢調査は、人口の数だけを調べるわけではなく、日本国民の生活の実態や、世帯・住居の状況などを調べる役割も担っている。

なお、国勢調査をはじめ、日本の統計データは「e-Stat 政府統計の総合窓口」のサイトで閲覧できる。国勢調査最終報告書は調査結果の概要を共有しているが、e-Statでは市区町村や年齢別により詳細なデータを確認できる。

■ポイント1:人口推移

全国の人口推移を確認できる。前回実施した2015年の国勢調査では、1920年の調査開始以来、初めての人口減少になった。この事実はいろいろなメディアで取り上げられ、誰もが知る事実となった。

人口推移の統計データでは、人口がどれくらい増減しているのか、その実数と増減率を把握できる。この他にも、男女や地域別など細かいデータを確認できる。特にエリアは都道府県にとどまらず、市区町村まで細分化されたデータを確認できる。

前回の調査において、2010~2015年の人口増加率が最も高かった市町村は、JR新駅の開業や市街地開発を背景に人口が急増した福岡県新宮町で、23.0%伸びている。また、人口減少率が高かった市町村は、福岡県楢葉町(87.3%)や宮城県女川町(37.0%)などで、2011年に発生した東日本大震災および東京電力福島第一原子力発電所事故の影響を受けた地域だった。

年齢別の人口も市町村ごとに確認できるため、物件購入を検討しているエリアの人口推移やターゲットとなる年齢層を確認するために参考にできるデータだ。

■ポイント2:世帯構造

全国の世帯数、世帯規模を確認できる。前回(2015年)の調査では、全国の世帯数が2010年と比較して、プラス149万8181世帯となる5344万8685世帯となった。一方で、1世帯当たり人員は、2010年と比較してマイナス0.09人の2.33人となっている。全国の世帯数は増加しているが、1世帯当たりの人員が減少しているという傾向は、1995年以降一貫して続いている。

また、単独世帯(世帯人員が1人の世帯)は世帯全体の3割以上を占めており、2010年の国勢調査から引き続き増加している。

高齢化の観点で見ると、65歳以上の人が世帯にいる割合は全体の40.7%となり、65歳以上の6人に1人が一人暮らしをしているという統計データも国勢調査内で発表されている。

ターゲットを単独世帯にするか、ファミリー世帯にするかで、どのような間取りにするかなど、投資戦略は大きく変わる。全国的な世帯の推移を参考に、所有している物件エリアの世帯推移がどのように変化しているのか確認してみるのも投資判断に役立つかもしれない。

■ポイント3:住宅状況

国民がどのような住宅を所有しているのか、居住しているのかを確認できる。

共同住宅(一棟マンションや一棟アパートなど)に住む世帯の割合は、2010年の国勢調査(41.6%)と比較して、プラス1.1ポイントの42.7%に上昇している。共同住宅に住む世帯が増加している傾向は、1995年から一貫して続いている。

また、住宅の所有に関する統計データでは、「持ち家」の世帯が住宅に住む世帯全体の62.3%と最も高い。次点で「民営の借家」が28.8%となっている。この結果からは、共同住宅を持ち家として所有する人口、つまり分譲マンションなどを購入して住んでいる世帯が増加傾向にあることがわかる。

市町村ごとで統計データを確認して「民営の借家」の割合が少ないエリアは、そもそも賃貸で住む人口が少なく、賃貸需要が低いことが予想できるため、慎重に物件購入を進める必要がある。

その反面、競合も少ない可能性があるため、現地に行って様子を見ることは必須だが、統計データから推測することも重要だ。

■ポイント4:従業地、通学地

通勤や通学に伴う、人口の移動の様子を統計的に確認できる。市区町村ごと、昼間人口・夜間人口を算出しており、この数値から昼夜間人口比率を計算できる。

昼夜間人口比率を市区町村別でみると、最も高いのが東京都千代田区で1460.6%と、昼間の人口が夜間の人口の14.6倍もいることになる。一方、最も低いのは宮城県七ヶ浜町で68.6%と、昼間人口が夜間人口を下回っていることがわかる。

このデータを見ることで、投資を検討するエリアに住んでいる居住者の特徴を推測できる。東京都千代田区のように昼夜間人口比率が高ければ、昼間は仕事などで流入してくる人口が多く、夜間は帰宅とともに他のエリアに移動する人口が多いことを示す。つまり、住宅エリアが少なく、オフィスや商業施設が多いエリアだと推測できる。

逆に宮城県七ヶ浜町のように昼夜間人口比率が低い場合は、1日を通してエリアの外に出る人が少ないことを示している。同じ市町村で生活を営んでいる人が多いエリアと推測できるだろう。そのエリアにはどのような人が住んでいるのか予測するのに役立ちそうだ。



今回は国勢調査について、不動産投資家が見るべきポイントをまとめた。国内の全体的な傾向や、市町村ごとの細かい統計データを参考にすることで、判断を誤り失敗するリスクを少しでも回避できるだろう。統計データは国勢調査だけでなく、さまざまなものがある。いろいろなデータを活用できるよう、楽待新聞では今後も統計データに関する情報共有をしていきたい。

不動産投資の楽待

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最終更新:10/20(火) 19:00

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