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5G対応「iPhone 12」は形も大きさも超絶進化 最も小さく薄くて軽い「iPhone 12 mini」が登場

10/15 8:21 配信

東洋経済オンライン

 アップルはアメリカ太平洋夏時間10月13日午前10時(日本時間10月14日午前2時)に新製品発表会を開催し、2020年モデルとなるスマートフォン、「iPhone 12」シリーズを発表した。今回も、カリフォルニア州クパティーノにある本社を使った映像表現で、テンポ良く発表が進んだ。

 大きなトピックは、デザインが久しぶりに大きく刷新されたことだ。

 2014年に登場したiPhone 6は、丸みを帯びた側面で登場し、背面がアルミからガラスに変更されてもなお、2019年モデルまでその意匠を引き継いできた。今回発表の2020年モデルのiPhoneでは、側面の丸みがなくなり垂直に7.4mm立ち上がるデザインへと変更された。2010年登場のiPhone 4や、iPad Pro、iPad Airの雰囲気に近い。

 iPhone 12はiPhone 11と同じ6.1インチのディスプレーだが、エッジのデザイン変更、ディスプレーの有機EL化などでサイズは15%減少し、厚みも11%薄く、また16%の軽量化を実現した。

 ディスプレー側のガラスにはコーニング社との協業で作り出したクリスタルシールドが採用された。スマートフォンの中で最も硬く、落下に耐える性能が4倍であるとしている。なおアップルは、アメリカ向け先端製造業ファンドを通じて2019年、コーニング社に2億5000万ドル(約270億円)出資した関係にある。

■新しいiPhoneは計5機種

 新しいiPhone 12には2つのグレードと3つの画面サイズが設定された。
いずれのグレードにも、5G、A14 Bionic、コントラスト比200万:1のSuper Retina XDRディスプレー、前述のクリスタルシールド、F1.6と明るくなった広角レンズ、すべてのカメラでのナイトモード・Deep Fusion(合成による写真の高精細化処理)、Dolby Visionに対応するHDRビデオ撮影、磁石で位置合わせが可能で15Wに高速化されたワイヤレス充電「MagSafe」といった機能は共通で、2020年のiPhoneのスタンダードとなる。

 2つのグレードはiPhone 12とiPhone 12 Proだ。それぞれのグレードに2つの画面サイズが用意され、iPhone 12とiPhone 12 Proは6.1インチで共通化され、フレームの材質とカメラで差別化される。

 今回真新しいのは、新たに5.4インチ有機ELディスプレーを備えたiPhone 12 miniだ。

 幅64.2mm、長さ131.5mmというサイズは、4.7インチのiPhone SE(iPhone 6~8と同じサイズ)よりもコンパクトに仕上がっている。にもかかわらず、5.4インチへと画面サイズを拡大させており、「アップルマジック」ともいえるデザイン性を実現した。

 A14 Bionicチップ、2つのカメラ、強化されたセラミックシールドなど、6.1インチのiPhone 12の機能をすべて備える製品となる。アップルによると、5Gに対応する最も小さく、薄く、軽いスマートフォンだという。

 この製品でアップルは、若年層のターゲットを狙っていくことになる。かろうじてミドルレンジに属する価格帯と、小さな手に馴染むサイズ、ハイエンドスマートフォンのフル機能を備えた製品は、2020年にApple Watch SEやiPad Airで取り組んできたミドルレンジ製品の充実と付加価値向上とも合致する。

 iPhone 12 miniは、アメリカ最大手の携帯キャリア「Verizon」のキャンペーンで月額12ドルで利用できる。これには、若い層に5Gを含む最新テクノロジーを提供し、iPhoneプラットフォームに呼び込むだけでなく、同価格帯の競合製品との差を手に取っても体験してもらいiPhoneから離れられなくするマーケティング上の戦略も見える。

 携帯キャリアからすれば、端末が普及しなければ始まらない5G戦略の起爆剤として、iPhoneの5G対応を活用したいはずで、最も価格が安く設定されるiPhone 12 miniの存在は、テクノロジーに敏感な世代への訴求に欠かせない存在となるだろう。

 日本市場でも、小型のスマートフォンが好まれ、価格が最も低く設定されながら性能が充実しているiPhone 12 miniが人気モデルとなることは間違いない。

■5G対応は日米で異なる仕様に

 iPhone 12シリーズの重要なアップデートは、5G対応だ。係争していたクアルコムと2019年4月の和解によって5Gモデムを調達し、iPhoneの5G対応に道筋をつけた。すべてのモデルで6GHz以下の5Gに対応する。日本では、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社で、iPhoneで利用できる5Gサービスが提供されることが明らかになった。

 イベントにはアメリカ最大級の通信キャリア、ベライゾンのハンス・ベストベリCEOが登場し、アメリカ内の5Gネットワークについて説明した。アメリカ向けのiPhone 12シリーズは、ミリ波を用いた5Gに対応し、最大4Gbpsの通信速度と超低遅延、同時多接続性を実現し、スタジアムなどでの多視点中継を楽しむことができるようになる。日本向けにはミリ波対応モデルは用意されず、端末の側面のデザインがアメリカ版とは異なる。

 各国とも、5Gインフラの拡充はこれからで、現状は駅や商業施設などのスポットで利用することになる。iPhoneの通信制御でも、基本は4G LTE、必要なときだけ5Gを利用する「スマートデータモード」を採用することで、バッテリー持続時間の最大化に寄与する。もっとも、5Gがつながる場所は現状ほとんど見つけられないためとも解釈できる。

 5G対応でプライバシーとセキュリティーの向上を挙げていた点は、アップルらしい解釈だ。5Gによる高速通信が利用できるようになれば、公共空間の無線LANを利用する必要がなくなるため、安全ではない無線LANを避けても体験を損なわずに済むというアイデアだ。

 iPhone 12には、新たにMagSafeと呼ばれるワイヤレス充電規格が採用された。充電部分はこれまで通り共通規格のQiに対応し、7.5Wから15Wへと充電速度が向上している。そのうえで、MagSafeでは、ワイヤレス充電において頻発していた問題の解決に取り組んだ。

 ワイヤレス充電パッドでデバイスを充電する際に問題になるのが、位置だ。パッドとスマートフォンのコイルの位置がズレると、充電がうまく作動せず、朝起きても充電できていない、ということがよくある。そこでアップルは、ワイヤレス充電コイルに位置合わせのための磁石を入れることで、問題解決に取り組んだ。

 面白いのは「MagSafe」という名称とデザインだ。名称としては、USB-Cポートを採用する以前のMacBookシリーズで用いられていた磁石でくっつく充電器のリサイクルだが、実装としては現在のApple Watchで採用されている充電器を大型化したようなイメージだ。

 さらにMagSafeに付加価値を付けた。磁石を用いてiPhoneの背面に吸着できるようになるため、クレジットカードなどを収納できるレザーウォレットなどの新しいアクセサリーを用意した。またNFCを用いた識別機能を用意することで、スポッとかぶせるタイプのケースでもディスプレー側の窓から時間を確認できるなど、アクセサリーの機能性や自由度も向上する。

 アップルは、iPhoneの画面の中にアプリ経済圏を作り出したが、背面に磁石で吸着するアクセサリー経済圏を構築しようとしている。おそらく今後もMagSafeは規格として継続していくことになり、サードパーティーが安心して参入できる環境を一挙に整えた。

■Proモデルのカメラ機能

 iPhone 12 Proは5.8インチから6.1インチに画面が拡大された通常モデルと、6.5インチから6.7インチにさらに大画面化したiPhone 12 Pro Maxが用意された。

 iPhone 12のアルミフレームとは異なる、ステンレススチールを用いたフレームが採用され、シルバー以外はすべて新色となるグラファイト、ゴールド、パシフィックブルーの全4色がそろう。ゴールドは、Apple Watchのステンレススチールケースと同様、金を含まないながら18金のような輝きを放つ新しい仕上げ。またブルーは2019年モデルのグリーンと入れ替わった落ち着いた色合いだ。

 Proモデルはカメラが異なる。iPhone 12には広角と超広角の2つのカメラを備えているが、iPhone 12 Proにはこれに望遠と、5mまでの正確な測距が行えるLiDARスキャナが追加される。LiDARスキャナはARアプリでの空間把握を素早く正確に行えるが、iPhone 12 Proではさらに、暗所でのオートフォーカスの高速化にも活用することで、6倍の速度に向上させた。

 また「Apple ProRAW」と呼ばれるセンサーデータをそのまま記録する画像保存が2020年中に利用できるようになるのもProモデルのメリットだ。iPhoneの「写真」アプリやAdobe Lightroomなどの写真編集アプリを用いて、画像劣化を起こすことなく好みの仕上がりに編集することができるようになる。

 iPhone 12 Pro Maxは、さらにカメラの仕様が異なる。まず広角カメラは、センサーシフト式の光学手ぶれ補正が採用され、2秒間の手持ちシャッターでもブレずに写すことができ、暗所撮影がもっと安定する。加えて、望遠レンズはiPhone 12 Proの52mmよりもさらに拡大される65mmとなった。光学ズームで5倍、デジタルズームで12倍は、iPhone 12 Proよりも大きく近く寄ることができる。

 こうしてみると、iPhone 12 Pro MaxはiPhone 12 Proより1万1000円高いが、ディスプレーサイズ、カメラの違いから、それ以上の体験価値が備わっていると感じることができる。一方iPhone 12 Proは、iPhone 12よりカメラは1つ多いが、iPhone 12 Pro Maxのカメラの魅力からすれば、おとなしい性能だ。

 アップルはこれまで、同社のオペレーションを100%再生可能エネルギーに転換し、iPhoneの製造に関わるサプライヤーについても、同様の転換を進めてきた。アップルにパーツや技術を提供する日本企業も、すでにエネルギー転換を済ませている企業が増えている。

 アップルは2030年までに、気候変動に対する環境インパクトをゼロにする目標を立てて、その取り組みを強めている。同社で最も販売台数が多いiPhoneの最新モデルにも、その取り組みの効果が見られた。

 iPhone 12シリーズには、これまで製品に付属してきた充電器とLightning接続のヘッドフォンを付属させないこととした。ワイヤレスによる充電やオーディオの普及や、買い替える人が手元に同じものを余らせている現状から、思い切った決断を下したことになる。

 iPhoneは年間およそ2億台が販売されるが、今後販売されるiPhoneの多くで、充電器とヘッドフォンのための資源を削減することができ、またiPhoneの箱そのものもよりコンパクトにすることで、輸送による環境負荷を低減できるようになる。

 さらに、iPhone 12シリーズで用いられるレアアースや磁石は100%リサイクル素材を採用している。アルミニウムやステンレススチール、ガラスといったiPhone向けの外装素材はまだリサイクル化されていない。Apple WatchやiPad、Macではすでにリサイクルアルミが用いられていることを考えると、iPhoneの資源保護については、まだ道半ばである。

■販売時期と価格は? 

 今回発表されたiPhoneは、モデルごとに、段階的に発売される。まず10月16日午後9時に予約が開始され、10月23日に発売されるのが、iPhone 12(税別8万5800円~)とiPhone 12 Pro(税別10万6800円~)で、6.1インチのディスプレーを備える2モデルが先行して登場する。

 また5.4インチのiPhone 12 mini(税別7万4800円~)と、6.7インチのiPhone 12 Pro Max(税別11万7800円~)は、11月6日に予約が開始され、11月13日に発売される。アメリカでは11月3日に大統領選挙を控えており、iPhoneはモデルによって、大統領選挙を挟んだリリースの日程が組まれた。

 保存容量は、iPhone 12とiPhone 12 miniは最大256GBまで、iPhone 12 ProとiPhone 12 Pro Maxは512GBまで用意される。iPhone 12 Proについては、Dolby Visionでの撮影やApple ProRAWでの保存を考えると、iPadのように1TBモデルがあってもよかったとも感じた。

 新型コロナウイルス感染が収まらないなかで、アップルは1カ月遅れてようやくiPhoneの発表にこぎ着けることができた。特にシェアが4割以上となっている先進国においては、5Gの普及促進はiPhone任せになっている状況もあり、待望のリリースとなる。

 その一方で、経済や消費が鈍っており、ハイエンドモデル一辺倒での進化ではなく、基本性能の充実と、小型で価格を抑えたモデルを登場させるなど、ミドルレンジの価格帯の充実という2020年のアップルのマーケティング施策をしっかりかなえたラインナップとなった。

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最終更新:10/15(木) 8:21

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