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大学オンライン授業は「もう限界」、学生の怒りと絶望と落胆の声123件

9/30 6:01 配信

ダイヤモンド・オンライン

 全国の大学でオンライン授業がスタートして半年がたった。大学以外の学校が再開しても、大学は後期も原則オンライン授業のまま。そんな中、学生からは強い不満と怒りの声が上がる。本特集『コロナで激変!大学 序列・入試』(全14回)の#4では、学生の“悲痛な叫び”をレポートする。

「週刊ダイヤモンド」2020年8月8日・8月15日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。
● 学生から編集部に寄せられた 怒りと絶望と落胆の声123件

 「現在、私の一日のパソコン使用時間は10時間を超えています。睡眠時間を削り、評価のための課題をこなすためだけに読書をする。目も肩も腰も手も心も限界です。受験以降一度もキャンパスに入れず、友達はできない。朝起きて向き合うのはパソコン。ひとりぼっちの部屋。私はなんのために大学に入ったのでしょうか」――。

 今年7月、ツイッター上のハッシュタグイベント「#大学生の日常も大事だ」には、3万件を超える大学生の声が寄せられた。ダイヤモンド編集部でも、7月18日から公式ツイッターアカウントで広く全国の学生の声を募ったところ、27日までに123件もの声が寄せられた。冒頭の声はその一つ。どれもが長文の、怒りと絶望と落胆の声である。

 実に半数の61件が、1年生またはその父母からだった。特に多かったのが「オンライン授業の質の低さと、課題の異常な多さ」だ。

 「出席確認の代わりに毎回課題が出るため、1日に5~6個の課題を解かなければならない。1週間で計6時間程度しか眠れていない」「提出した課題に教授からのリアクションが全くない」「講義への質問をしたところ逆切れされた」など――。「Zoomでのオンライン授業が毎回工夫され、対面よりも分かりやすい」という声もあるが、これはあくまで恵まれた一部。中には「教授が授業に遅刻する」「90分の予定の授業が10分で終わる」「最初の授業で、教授から期末までに提出するレポートの課題がメールで届いたが、その後授業そのものがない」という、教員のやる気を疑うようなものもあった。

 そして特に1年生を苦しませるのが「友人が全くできない」こと。会社でも同様だが、オンラインで支障なく仕事ができるのは、それまでにオフラインで築いた人間関係や信頼感があるからだ。一度も対面で会ったことがない相手と信頼関係や友人関係を築きにくいのは当然だ。

 高校以下の学校が部活動も含め再開され、近隣の繁華街ではサラリーマンが飲み屋にあふれ、なおかつGo Toトラベルキャンペーンが始まるなどする中で、「なぜ大学生だけが緊急事態宣言下のような生活をいつまでも続けなければならないのか」という声も多かった。

 「高校生までと異なり、成人した学生が放課後に感染リスクの高い近隣の繁華街に行くことを大学側は制限できず、すぐには大量の学生が自由にキャンパス内を動く状態に戻せない」(都内私立大学幹部)という事情があるとはいえ、それが全生徒が納得できるような形で伝わっているとはいえない状況なのだ。

 一方「新入生の顔合わせも開かれずキャンパスへの立ち入りも禁止されているのに、オープンキャンパスは新入生の2.5倍の人数を集めて複数回実施している」(関東の大手医大1年生親)とか「閉鎖中のキャンパスをYouTuberの撮影に開放し、酒瓶を持ってふざける様子をネットにアップさせた」(都内女子大学生)という、感染対策でのキャンパス閉鎖の建前も崩れる、あきれた大学もある。

 友人もつくれない孤独な状況、大量の課題をこなす忙しさからの睡眠不足で増えているのが、鬱症状や体調不良を訴える学生だ。「このDMを書きながら泣いています」「もう耐え切れず、休学しました」「すでに退学した」「毎日ふと思い詰めそうになる」という悲痛な声も、編集部のアカウントに多数寄せられている。「このままでは、この1年で相当数の退学者が各大学から出るのではないか」と関西大手私大の教員は危惧する。

● 45大学で学費返還署名 学生との対話なしには問題は解決しない

 こうした中で、高まっているのが「学費の減免・返還運動」だ。そもそも、日本の平均世帯所得の長期推移と、学費の上昇カーブは合っていない(下図参照)。

 経済的な困難を押して入った大学で、上記のように苦痛を感じているとなると、不満が高まるのも当然だ。

 コロナ禍に伴う授業のオンライン化で、署名サイトchange.orgで多数の署名運動が立ち上がっている(下表参照)。

 だが、署名運動を通じて実際に大学側から建設的な改善策を引き出せた例は少なく、それどころか「公開しないでほしいと要請した個人情報を学内ネットで全校にばらまかれた」(署名運動をした東北学院大学法学部の小高紗季さん)という例すらあるという。

 実は、米国ではハーバード大学、コロンビア大学、ペンシルベニア大学、カリフォルニア大学などで、大学を相手取った学費返還訴訟が起こされている。大学と学生の溝が埋まらなければ、同じことが日本で起きる可能性も高い。

 中には建設的な解決を試みた例もある。東北芸術工科大学1年生の斎藤天音さんは、オンライン授業で感じる疑問点や学生の声を集め、話し合いたいと中山ダイスケ学長にツイッターのDMで呼び掛けた。すると、本人から返事があり、YouTube上で学生有志が日常的に抱えている不安や疑問を、学長を交えて公開で議論するイベントに発展したという。

 「オンライン授業のメリットと課題が可視化された一方で、キャンパスに集まり学ぶことのかけがえのなさも浮き彫りになった。スクリーンに向かい課題をやることのみが“大学”になるのでは、学生がもたなくなることは明白だ。コロナ禍以前の状態に完全に戻すことは難しくとも、学生への精神的なケアや励まし、状況の変化に応じた学び方の刷新などの対策を強化しなければならない。大学トップも含めてアフターコロナの新しい大学の在り方を納得感ある形で明確に示していくことが求められているのではないだろうか」と同志社大学の浅羽祐樹教授は指摘する。

 先が見えないコロナ禍で、大学も学生も不安を抱える状況に置かれている。その中にあって弱い立場の学生を放置せず、まずは大学側が歩み寄り、対話を続けることが求められている。

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ダイヤモンド・オンライン

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最終更新:9/30(水) 10:56

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