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米大統領選直前、10月株価は大きく変動するか

9/28 6:21 配信

東洋経済オンライン

 9月21-22日、日本の証券・金融市場はシルバーウイークで休場だった。「シルバーウイーク」の由来は定かではないが、昨今は、秋分の日と敬老の日の位置によって、土日も含めて4連休になっている状況を指すようだ。

 敬老の日が含まれるため、シルバーと称されているのかもしれない。あるいは、5月のゴールデンウイークに対してシルバーウイーク、という意味合いがあるという説もある。

 そのせいか、先週はゴールドが脇役に退き? 金価格が下落した、との軽口も唱えられているようだ。実際、ニューヨーク金先物は、先週は本格的に1トロイオンス=1900ドルの大台を踏み抜き、ザラ場ベースの最近の最高値である8月7日の2089ドルをピークとした、下落トレンドを明確にして来ている。まあ、シルバーウイークにもかかわらず、銀先物価格も大きく下落しているので、軽口以上のものではないと言えるが。

■アメリカの株価下落の原因は何だったのか? 

 それはさておき、最も注目を集めたのは、日本のシルバーウイークの間の、アメリカの株価下落だったろう。21日のNYダウ工業株指数は、ザラ場で18日終値から約942ドルも下落した。引けにかけては戻したものの、その日は510ドル安の大幅下落となった。

 同国の株価下落を受けて、同日はシカゴ日経平均先物(円建て)もザラ場安値で2万2460円をつけ、同日引けでは2万2810円だった。そのままであれば、シルバーウイーク明けの日経平均現物指数が、直先の価格差を考慮しても2万3000円割れとなりかねないことが示唆されていた。

 こうした株価波乱については、先週新しく悪材料とされるものもあったことはあった。だが、根本的には以前から懸念されていた内容で、新味がある要因だったとは言い難い。

 悪材料とされた大きなものは2つあり、1つは欧州諸国で新型コロナウイルス流行の再燃が懸念され、先行きの景気に対する警戒が生じたことだ。特にイギリスでは、マット・ハンコック保健相が、全面的なロックダウンを再導入する可能性があると20日に述べたことが、投資家心理に影を落とした。このため、欧州主要国の株価も21日は大幅な下落となっている。ただ、コロナ禍が景気に与える影響が懸念されていたという事態は前からのことで、全く想定外の悪材料とは言えまい。

 もう1つは、アメリカでの追加経済対策について、共和党と民主党の間で交渉が進んでいないことだが、これも足元でずっと続いていることだ。
とは言っても、新しく加わった政治面の不透明感として挙げられるのは、ルース・ベイダー・ギンズバーグ最高裁判事が18日に亡くなったことだ。彼女はリベラル派であり、これまで最高裁判事9名のうち、保守派5名、リベラル派4名といった形だった。

 ドナルド・トランプ大統領は、後任に急いで保守派を充てる方針(承認には上院の過半数の賛成票が必要)で、26日にはウィスコンシン、インディアナ、イリノイの3州を管轄する控訴裁の判事を務めるエイミー・バレット氏を指名した。

 バレット氏は妊娠中絶やいわゆるオバマケア(2010年にバラク・オバマ政権下で導入された、低所得者への医療保険加入を促す法改正)に反対で、個人の銃保有については賛成の方針だとされている。

 民主党は現時点での最高裁判事の指名に反対しており、大統領選挙後に新大統領が指名すべきだと主張している。このため、共和党と民主党の対立が一段と激化し、追加の経済対策が一層成立しにくい、との観測が広がったわけだ。

■ナスダックは反発、ドル円も下落後戻した理由とは? 

 このように、先週に追加で浮上した悪材料はあった。その一方で、根本的にはコロナ禍が景気に与える悪影響の懸念と、アメリカの追加経済対策の遅れといった、新しいとは言い難い要因で、週初のアメリカ株価は下振れしたと言える。とすれば、本格的な株価下落へ突入していくというより、投資家の心理面の不安による売りや、9月末を前にしたポジション整理といった、投資家行動の揺らぎが最大の株安の理由であったように思われる。

 その後も、23日にアメリカの主要株価指数が大きく下振れするなど、軟調な地合いが残りはしたものの、24日、25日と続伸した。結果として、週を通じてのNYダウ工業株指数は、前週末比1.8%下落したが、最近先行きが懸念されていたIT関連銘柄の株価については、底入れ上昇の動きが生じた。このためナスダック総合指数は、週間では1.1%の上昇となっている。

 こうしてアメリカの株価が総崩れにならなかったことから、シルバーウイーク明けの日経平均株価は、2万3000円を割れることなく推移した。それ以上に日本の株価を支えたのは、一時大きく下振れしたドル円相場が、持ち直したこともあっただろう。

 前述のアメリカの株式市場に下振れが生じた21日は、ドルが対円で崩れ、一いったん1ドル=104円ちょうどを叩く事態となった。104円割れを覚悟した向きも多かったと思うが、実際にはそこからドル高円安に転じ、105円50銭を超える水準で週を終えている。

 外国為替相場の底入れ反転については、アメリカの株価が軟調に推移したため、数多い通貨群のなかで相対的に安全だとみなされている米ドルが買われた動きだ、との解説を目にする。

 確かにドルは主要通貨の中ではユーロに対しても上昇しているし、前述の欧州における新型コロナウイルスの流行再燃懸念もあるから、円安になったのではなくドル高になったのである、という解説はうなずけると感じる向きも多いかもしれない。

 しかしユーロも、対円での最安値は21日の1ユーロ=122円52銭で、その後週末までその水準を割れていない。ユーロに対してドルが強含みで展開した、という点はあるが、21日途中までは欧米株価の下振れで「リスク回避のための円高」の様相が強まったが、その後はそうした相場付きが薄れ、全般に円安方向に戻した、という解釈の方が、当てはまっているように考える。

 加えて、シカゴの円先物市場の買いと売りの残高を見ると(非商業筋、俗に投機筋と呼ばれる投資家のポジション)、今年3月半ば以降直近に至るまで、円の買い越し(円の買い残の方が多い)となっている。つまり投機筋などはすでに円を買ってしまっているので、ドル円相場が104円ちょうどに迫ったからといって、さらに円を買い乗せるというより、すでに買っていた円を利食い売りする向きが多く、それがさらなる円高に歯止めをかけたのかもしれない。

■株価浮上には主要国の7~9月期企業決算の確認必要

 こうしてシルバーウイーク明けの日本株は、休場中にヒヤッとしたものの、アメリカの株価がザラ場安値から戻ったことや一時の円高が一巡したことに助けられて、軟調気味ではあったものの大きく崩れはせずに週を終えた。

 繰り返すが何か深刻な新しい悪材料が表れたというよりも、基本的にはこれまでずっと不安視されてきた要因にせいぜい新しい動きが少し乗った程度だとすれば、今週以降も日本を含めた主要国の株価指数が、大きく崩れていくことは見込みにくい。

 一方で、主要国におけるコロナ禍に対する経済政策が、いったん出そろい一巡したことも事実だ。もちろん、必要であれば日米欧諸国の政府や中央銀行が追加対策を検討するだろう。だが、アメリカの状況は前述のように協議が膠着しており、日銀なども追加で打てる手は極めて限られている。

 しかし、主要国の実体経済や企業収益は、概ね4~6月期を最悪期として持ち直しはみせている。日本のシルバーウイークも、行楽地や商業施設などの客足は、かなり戻っていたようだ。高速道路の渋滞も、久しぶりに激しいものになったとも聞く。

 もちろん、何の不安もなく景気が戻っているわけではなく、引き続き業種・業態や企業・個人事業によっては、厳しさが緩まないところも多い。それでも、経済全体としての回復基調が確認されてきている、という点は、株価の下支えとして働きそうだ。

 こうした諸点を勘案すると、主要国の株価指数(株式市況全般)としては、大きく上下には動きにくい地合いが続くだろう。企業収益の回復期待が裏打ちされるには、日米等の7~9月の企業収益実績を確認する必要があり、10月後半から11月前半の発表時期までは、株価は上にも下にも進みにくい。

 11月3日のアメリカの大統領選挙も、同国政治の不透明要因として、株安材料とまではなりがたいだろう。それでも、やはり上値を抑制する方向で働きそうだ。特に今回の選挙では、郵送による投票の割合が高いと推察され、選挙結果が僅差となった場合、負けた陣営から郵送投票の集計に疑義が寄せられるなどで、決着がつくことが遅れる展開も否定できない。10月いっぱい辺りまで、主要国の株価指数は、短期的な上下動がありながらも横ばいに近い基調が続き、11月以降、じわりとした強含み傾向に足を進めるものと予想している。

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最終更新:9/28(月) 6:21

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