IDでもっと便利に新規取得

ログイン

118億円の債務超過、レオパレスは破綻するのか《楽待新聞》

9/28 20:00 配信

不動産投資の楽待

賃貸アパート大手のレオパレス21(以下、レオパレス)が、2020年6月末時点で118億円の債務超過に陥る見通しだと発表した。同社ではかねてから施工不良問題等の影響で入居率が低下しており、経営危機が続いていた。

レオパレス21の現状はどうなっているのか、そして、今後どのような動きが起こりうるのか。

今回は、30日に予定されている決算発表に先立ち、現役の銀行員で、これまで法人営業や人事業務を担当し、不動産証券化協会認定マスター、宅地建物取引士でもある旦直土氏に考察してもらった。

■レオパレス21、これまでの動きは

レオパレス21の2020年4~6月期の決算発表が遅延しています。元々は8月7日に予定されていましたが、9月30日に延期となりました。希望退職募集により、決算業務に従事する従業員が想定以上に退職したことで、決算プロセスに時間を要したというのが理由のようです。

そしてこのような状況の中、報道各社は25日、レオパレス21が100億円超の債務超過になったようだと報じました。続いて28日にはレオパレスも「9月25日付の一部報道について」というプレスリリースを発表し、2020年4~6月期の純利益が142億円の最終赤字となり、118億円の債務超過に転落する見通しだと発表したのです。

債務超過に転落したレオパレス21は、破綻間近ということなのでしょうか? それとも、この危機を乗り越えることができるのでしょうか。それを探るために、まずはレオパレス21の直近の動きを見てみましょう。大きなトピックスとして以下の3つが挙げられます。

1.ホテル1棟・レジ17棟を譲渡で36億円の減損損失

2020年7月30日のプレスリリースで、ホテル1棟・賃貸レジ合計17棟の売却を発表しています。譲渡価格は約36億円、帳簿上の価格は約70億円とされていますので、約34億円の譲渡損が発生することになります。売買は2020年9月30日付で行われる予定です。譲渡損約34億円に売却にかかる諸費用を加えた約36億円の減損損失を、2020年4~6月期にて計上予定としています。

2.希望退職者の募集

2020年8月7日のプレスリリースでレオパレスは、希望退職募集の実施結果として1067名が応募したことを発表しました。退職日は2020年8月31日です。これにより、2020年4~6月期において退職金など約25億円の特別損失を計上するとしています。

3.投資有価証券の売却

レオパレスは2020年8月31日プレスリリースで、投資有価証券の売却により約40億円の売却益が発生したと発表しています。この売却益は2020年7~9月期に計上されます。

上記3つの事象からは、以下のことが読み解けます。

まず、上記1の通り、レオパレスは9月末の段階で36億円強の不動産売却代金をキャッシュで手に入れます。この売却損失36億円は2020年4~6月期で計上されますので、同四半期の債務超過額118億円のうちの36億円はこの取引が影響しているということになります。

次に上記2については、2020年4~6月期で25億円の特別損失が発生することになります。すなわち、債務超過額118億円のうち25億円はこの希望退職が影響しています。

そして上記3の投資有価証券売却でレオパレスは40億円ほど(売却益)のキャッシュを手にすることになります。

■30日の決算発表を予想

そもそもレオパレスはアパートオーナーから物件を借り上げ、それを入居者に貸し出すことで利ざやを稼ぐ、アパート賃貸事業者です。

そして、入居率が80%程度を下回ると、アパート所有者に支払う賃料が自らが入居者から得る賃料を上回り(=支出が収入を超え)、損失が発生するとされています。2020年4~6月期の入居率は、4月で81.40%、5月で79.91%、6月で79.43%と低迷しています。

2020年4~6月期で118億円の債務超過になっているということは、レオパレスはアパート賃貸事業で損失が出ている可能性が高いということになります。

入居率の2020年3月期(2019年10~12月)の3カ月の業績は以下の通りでした。

・売上高1072億円
・営業利益▲57億円
・経常利益▲56億円
・当期利益▲3億円

当期利益は固定資産や投資有価証券を売却し特別利益が発生した等の理由であまり参考にはなりませんが、コスト構造が変わっていないのであれば、2020年4~6月期も同様に50億円程度の営業利益・経常利益の損失が発生している可能性はあります。

これに加えて、先述した「ホテル・賃貸レジ17棟を譲渡」による36億円の減損損失計上、「希望退職者の募集」での25億円の費用計上の合計61億円が特別損失で計上されるものと想定されます。

そして2020年3月末時点のレオパレス21の連結純資産は16億円です。よって、レオパレス21のコスト構造に大きな変化がない場合には、債務超過額が100億円超となることは容易に想定されます。

■レオパレス、直近で破綻の可能性は

債務超過になっても銀行が貸してくれる場合や、多額の現預金を保有している場合など、資金繰りが続くのであれば会社は倒産しません。では、レオパレス21の場合はどうでしょうか?

2020年3月末、レオパレス21は約664億円の現預金(流動資産の有価証券含む)を保持していました。そして、2020年7~9月期には、先述した不動産売却代金でプラス36億円、希望退職に伴う退職金でマイナス25億円、有価証券売却でプラス40億円、合計で51億円のキャッシュが手に入るものと想定されます。これらを合わせれば約715億円の現預金となります。

一方、借入はどうでしょうか。2020年3月末時点では、短期借入金、1年以内に返済すべき長期借入金・社債の合計は66億円。短期のリース債務を加えても109億円です。

債権者である金融機関の動向だけを勘案するならば、少なくとも短期的にレオパレス21は資金繰り破綻する可能性は低いでしょう。債権者である金融機関が「お金を返せ」と迫っても、レオパレス21は手元の現預金で返済できるからです。

■レオパレスの今後

今後のレオパレスの動向を左右するのは、テナントの入居率、施工不良物件の是正費用、そして大株主の意向です。テナント入居率が戻らなければ、本業でのキャッシュ流出が止まらず、レオパレス21はどこかで行き詰まります。

また施工不良物件の是正にかかる工事費用がこれからも膨大に発生するのであれば、キャッシュ流出が止まらず、資金繰りが破綻するでしょう。

大株主の旧村上ファンド系の投資会社が保有株式を減少させたというようなニュースもありました。既存の大株主がレオパレス21に対して何らかのテコ入れを図る可能性は低下しているのかもしれません。

レオパレスは資本増強に向けて外資系ファンドなどと出資の交渉を進めていると報道されています。しかし、現時点ではスポンサーが見つかりそうという報道はなされていません。

ちなみに筆者がファンドだったら、レオパレス21には現時点で投資しません。むしろ法的整理(民事再生等)を待ちます。理由は簡単で、レオパレス21は手っ取り早く収益が上がる企業に変えることができる可能性が高いからです。

レオパレス21の根本的な問題は、入居率が低下していること、もしくは、現在の入居率だとアパート保有者(オーナー)に対する賃料負担が重いことにあります。

法的整理に移行すれば、サブリース賃料の減額など、オーナーに対する賃料負担を効率的にカットすることができはずです。そして大幅にコストを低下させてから、大々的に広告などを行いイメージと入居率を回復させていきます。

ただ、この策はあまりにも分かりやすいので、オーナーとのコストカット交渉を条件にスポンサーとなる企業も現れるかもしれません。

いずれにしろ、ファンドなどのスポンサーが現れないのであれば、短期的には破綻しないとはいえ、レオパレス21は自社の人件費などを下げながら、入居率の回復を待つしか有効な手がありません。レオパレス21の今後の動向は、特に地方賃貸物件への影響も想定されます(賃料、入居率)。引き続き要注目です。

不動産投資の楽待

関連ニュース

最終更新:9/28(月) 20:00

不動産投資の楽待

投資信託ランキング