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初代「レヴォーグ」6年間の総括で見えた功績

9/27 8:11 配信

東洋経済オンライン

 2020年8月20日にスバルの新型「レヴォーグ」の先行予約が始まった。発売は10月15日だが受注は好調で、すでに納車は年明けになるという。これだけ注目度の高い新型レヴォーグだが、現行(初代)レヴォーグはどんな成果を残したのだろうか。新型レヴォーグ発売を前に、初代モデルを総括してみよう。

 レヴォーグという名前をわれわれが初めて耳にしたのは、2013年の東京モーターショーのときであった。

 「LEVORG(レヴォーグ)の名称には、『LEGACY:大いなる伝承』『REVOLUTION:変革』『TOURINGの新しい時代を切り拓く』という言葉を組み合わせ、『“スバルの大いなる伝承”を引き継ぎながらも、次世代に先駆けた変革により、新たなツーリングカーの時代を切り拓く』という意味を込めました」

 こんなコメントとともに、スバルからほぼ生産モデルのままのプロトタイプがショーに出品されたのだ。しかも、「2014年春に販売を予定」ともアナウンスされた。これには当時、取材していた筆者は本当に驚いた。まったくの予想外の登場だったのだ。

■BRZの影で目立たなかったコンセプトモデル

 しかし、振り返ってみれば、レヴォーグの登場は、その2年も前にすでにほのめかされていた。2011年の東京モーターショーには、革新スポーツツアラーをテーマとした「SUBARU ADVANCED TOURER CONCEPT」が出品されていたのだ。

 このコンセプトカーは1.6リッター水平対向エンジンを搭載するCセグメントのワゴン。つまり、2年後に登場するレヴォーグそのままの内容であった。ところが、2011年当時は、そのコンセプトカーがすぐに実用化されるとは、考えもしなかったのだ。

 その理由は2つある。1つは、その隣で世界初公開となった「BRZ」(トヨタ「86」の兄弟モデル)の量産プロトタイプに目を奪われてしまったからだ。ほぼ量産モデルであるBRZの横に置かれたコンセプトカーは張りぼて感いっぱいで、実用車になるのはまだまだ先と思ってしまったのだ。

 そして、もう1つは「レガシィ ツーリングワゴン」という名前の大きさだ。スポーティな走りで1990年代に大人気となったレガシィ ツーリングワゴンという名称は、スバルの代名詞的な存在であった。まさか、その大看板を使わなくなるとは考えられなかったのだ。

 一方でその当時、2010年初頭のスバルファンは、非常に不満がたまっていた。なぜなら、2008年にスバルは19年間戦っていたWRC(世界ラリー選手権)からのワークス撤退を発表していたし、レガシィはアメリカ向けにどんどんと大型化して、スポーティ度を薄めていた。

 そのため「レガシィを日本市場向けに小さくしてくれ」という声ばかりが聞こえていたのだ。つまり、「レガシィ ツーリングワゴンがなくなることはありえない」「できればアメリカで販売するクルマを別のクルマにして、日本にはもっと小さなレガシィ ツーリングワゴンを投入してほしい」との考えがあったのだ。

 そんな中、2013年にレヴォーグが、「1990年代に輝いたスポーティなレガシィ ツーリングワゴンの後継モデル」として登場した。当時のレガシィはアメリカ市場でのドル箱モデルになっており、路線変更は不可能。だから、レガシィはアメリカ向けとし、一方で日本のファンのためには、専用モデルとしてレヴォーグという新たなモデルが用意された。

 つまり、「レガシィ」という名称はアメリカのモノとなったが、“かつての古きよき、小さなレガシィ ツーリングワゴン”と同じ内容のクルマが、別名で登場したのだ。これは、文字どおり、日本のレガシィ・ファンへのプレゼントとなった。

■インプレッサを超える販売台数を記録

 そのプレゼント=レヴォーグは、大いに話題を集め、そして人気モデルとなる。なんと発売された2014年度は、年間で4万1571台も売れた。トヨタであれば大したことない数字かもしれないが、スバルとしては最量販モデルである「インプレッサ」の4万731台(2014年度)よりも多く売れたのだ。まさに大ヒットと言える。

 また、レヴォーグの売れ行きは年々減ってゆくが、それでも減少幅は小さく抑えることに成功した。2015~2017年にかけては毎年、前年比80~90%台で推移しており、モデル末期である2019年も年間1万2718台が売れている。

 スバルは毎年のように改良を実施しており、そのたびに月販目標を3200台/月から2600台/月、2000台/月、1800台/月、1200台/月と市況に合わせて数字を下方調整しつつも、おおむね目標をクリアしている。そして、発売6年で13万5000台を超える販売を実現した。

 この堅調さは、2016年の新グレード「STI Sport」投入や2017年の大幅改良など、定期的なテコ入れが功を奏したと言える。

 とくに2017年の大幅改良では、アイサイトの進化版の「アイサイト ツーリングアシスト」を搭載したこともあり、発売1カ月で目標の2.5倍となる約5200台の受注を得た。

 販売比率はSTI Sportが全体の4割強を占め、排気量では、1.6リッターと2リッターの割合が7:3といった具合だ。

 ちなみにレヴォーグは、日本専用車という位置づけだ。現状、アメリカ、アセアン、オーストラリアなどでは、ステーションワゴンのニーズは低い。また、ヨーロッパでのスバル車は、税金などの関係で非常に高額となってしまうため、販売こそされているが、数が売れる状況ではない。つまり、レヴォーグは実質的に日本でしか売れないクルマなのだ。

■スバルの新技術はレヴォーグから

 もしも、レヴォーグが予定どおりに売れていなかったら、どうなっていただろうか。仮に日本での販売に失敗していたら、1世代だけで終わっただろう。つまり、第2世代が登場したという事実だけを見ても、初代は成功したと言えるのだ。

 2代目レヴォーグは「スバルのテクニカルフラッグシップ」として、現在のスバルの最新技術が積極的に投入されている。そして、レヴォーグで試された新技術は、その後、スバルの別モデルに横展開されることになる。

 聞くところによると、「低重心が売りの水平対向エンジンや、シンメトリカルレイアウトを生かしたスポーティな走りといったスバルならではの技術は、レヴォーグに使うことで最も効果を発揮できる」というのが、レヴォーグがテクノロジーフラッグシップになった理由の1つだという。

 今やスバルのビジネスの主戦場はアメリカだ。かの地と比べれば、日本の市場は格段に小さい。その小さな日本市場のための専用車であるレヴォーグの存在は、スバルの中で肩身が狭いのかと思いきや、実は逆であったというのがおもしろい。そうしたスバルならではの技術を生かす器という意味でも、スバルにとって初代レヴォーグというクルマが生まれた価値は大いにあったと言える。

東洋経済オンライン

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最終更新:10/15(木) 17:14

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