IDでもっと便利に新規取得

ログイン

共通テスト「古文・漢文」の基本を攻略するコツ

9/26 8:11 配信

東洋経済オンライン

2020年(2019年度)、大学入試センター試験が廃止され、2021年(2020年度)1月よりいよいよ「大学入学共通テスト」に移行する。「記述式」や「民間試験導入の有無」、加えて「新型コロナウイルス」などの問題も山積する中、「共通テスト」元年の受験生はどのように立ち向えばいいのか?  それぞれの教科別に対策法を、各教科の受験指導エキスパートに伝授してもらう。
今回は『大学入学共通テスト国語[古文・漢文]の点数が面白いほどとれる本』を執筆した、太田善之氏が古文パートを、打越竜也氏が漢文パートを解説する。

 「大学入学共通テスト」で検討されていた「国語」の記述問題は、当面、実施が見送られることになりました。その結果、現代文・現代文・古文・漢文で80分となり、「センター試験」と同じ形式に落ち着きました。しかし、その内実はかなり変わってくるとみるべきです。まずは、「センター試験」と「共通テスト試行調査」とを比較してみます。

■「センター試験」古文の特徴

 国公立大学のための「共通一次」から、私立大学も使える「センター試験」になったのは1990年。一時期は教科書との重複を避けたマイナーな出典が選ばれ、受験者の点数をばらつかせるためか、長文の難問が出されていました。

 ここ10年はそれほどではありませんが、分量は平均1300字前後あります。標準的な私大が約800字であることを考えれば、かなり長いうえ、説明問題や内容合致問題の選択肢も150字程。これを20分強で解くのですから、私大よりもずっとスピードの必要な入試問題だったと言えます。

■「共通テスト試行調査」古文の実態

 2018年と2019年には、「共通テスト」のための「試行調査」が行われました。

 2018年では、『源氏物語』を書き写した際の本文の違いが話題とされています。本文の違いが何を生み出すのか、あるいはどちらがより優れた本文なのか、という問題は、文学部でもかなり専門的な研究領域で、とうてい20分程度でできることではありません。

 「試行調査」側もそう考えたのか、一方の本文を書写した当人がその本文に決めた事情を述べた文章を並べることで、2つの本文をある道筋で読ませる工夫がなされていました。しかし、都合3つの文章(計1200字弱)を読むことになり、分量はかなり多くなっています。

 2019年では、『源氏物語』に用いられた「引き歌」と呼ばれる表現技法が問われました。「引き歌」とは「古歌の引用」で、重層的な表現効果を生むものです。古歌の正しい理解が前提になるため難度が高く、出題頻度も低い技法です。「試行調査」では、教師と生徒が引き歌の説明やその表現効果について議論する現代文を併せて載せ、このやりとりに沿って引き歌の表現効果を理解させる形式になっていました。引用古文の分量はやはり1200字程度でした。

 この「試行調査」は、1回目が難しすぎたため、2回目でぐっと難度を下げた印象があります。内容だけでなく設問も、1回目は説明問題が中心で、文法力や語彙力だけで解ける設問がほぼ見られなかったのに対し、2回目では、近年の「センター試験」のように短文の現代語訳問題を数問並べるなど、得点しやすいよう配慮されています。

 はたして「共通テスト」本番がこの両者の幅の、どのあたりに着地するのかは予想しがたいところもありますが、「センター試験」との違いとして、次の3点が挙げられます。

1. 複数の文章を読む形式であること
2. 選択肢の長さがかなり短くなったこと
3. 「文法」事項を直接問う設問がなくなったこと
 このうち、2・3は、易化のための方針と思われますが、その裏面には明らかな難化にあたる1へのこだわりが透けて見えてきます。これは、高等学校において「主体的・対話的で深い学び」の力を目標としていることと対応したものでしょう。

 「主体的」な学びを大学入試と関連させる改革はひとまず頓挫している分だけ(e‐ポートフォリオの中止)、「対話的」というテーマが、「国語」の大学入試改革の要点となっているものと思われます。したがって、複数資料を読解させる形式が「共通テスト」の基本と考えてよさそうです。

■鍵となるのは「速読力」

 同じ分量であれば、1つの文章を読むより3つの文章を読み、比較検討するほうが、時間がかかります。今後、2つの古文だけを並べるものが出題されるかもしれませんが、そうであればなおさら、内容を吟味し判断する時間が必要です。つまり、受験生には、今まで以上に「速読力」が要求されることになるのです。

 そのためにまず必要なのは、第3の文章(リード)の要旨を素早くつかみ、その指示どおりに2つの文章を理解する情報処理的能力でしょう。この「情報処理能力」も「国語」で鍛えるべき力として要請されているものです。

 もう1つは、品詞分解をし、逐語訳をするという読解スタイルを離れることです。もちろん、文法力と単語力は古文学習の要点ですが、速く読むためには「文構造」からストーリーを捉える姿勢が大事です。主語・述語の対応を的確に押さえ、接続関係を意識して大きな文脈をつかむ癖をつけるだけで読解のスピードは飛躍的に上がります。この読解の姿勢さえ身につければ「共通テスト」もなんら恐れる必要はないでしょう。

 【漢文編】

 追い込み期を前に、今いったいどれだけの受験生が古典学習に真摯に向き合えたでしょうか。

 とりわけ漢文学習は、優先順位が低いと言われています。それは受験生よりも、大人の事情による問題が多いのです。

大人の事情(1)学校~漢文学習時間の減少~
 学校できちんと漢文学習をしているところもありますが、多くの学校では古文が主となり、漢文学習がほとんどないのも事実であり、漢文講師泣かせな点がここにあります。

 1学期のうちに漢文を読むために必要な返り点(中国語の文章を日本語の形にして読むために付けられたもの)や、句形(使役「~させる」受身「~される」疑問「~か?」反語「~か、いやない!」など)といった基本を学び、夏期講習から基本を使いながら読解をしますが、漢文を「学んでいる」と「学んでいない」の大きな差がこの時点で露呈するのです。学校の漢文教育の現状を再考しなければならないでしょう。

大人の事情(2)家庭~経済的理由による排除~
 学生からの相談の多くに、「漢文を受講したいけれども、親に止められた」というものがあります。受講料を支払う親に反対され、レギュラー授業はもとより、差が露呈する季節講習会まで受講できないでいます。

 漢文を受けさせない理由、それは経済的事由による負担軽減のために取捨選択がなされるからです。その取捨の「捨」に漢文が真っ先に選択されるのです。

 漢文は句形だけやっておけば大丈夫とよく言われます。いつ誰が言い始めたのでしょうか。この場で断言します。漢文は句形だけやれば満点を取れるはずがありません。例えば今年最後のセンター試験、試行調査の問題を見ていただければ、句形だけで解けるなど無理なことなのです。

 しかし、漢文は簡単だから独学でできるがごとき都市伝説が今もあるのは、受験経験のある大人が過去の感覚で話しているからかもしれません。残念ながら漢文は今、句形ができるのは当たり前、それを使ってどう読み解けるかが問われているのです。

大人の事情(3)教師と講師~今と昔の漢文理解の差~
 中国の古典『礼記』の中に、「教学相長」(教ふるは学ぶの半ば)という言葉があります。「人に教えることは、相手から自分も学ぶことになる」という意味です。しかし、正直これまで話してきた事情を理解しているのかどうか、国語(漢文)の指導者たちの多くは「今の子どもは全然漢文ができていない」と上から目線でいます。

 この現代で、漢文が読めないのは子どもたちが悪いのではありません。大人たちがそうさせているのです。しかし教える側が、知っていて当然というスタイルで授業を行うのでは、漢文学習はやはり後回しになってしまうのです。

■受験生はどう立ち向かえばよいか

 漢文は国語の中で最も覚えることが少なく、必要最低限のことをきちんとやれば、高得点が狙える科目でもあります。しかもこれまでの現状を踏まえたら、漢文をきちんとやっておくことで、人と差をつけられることは明らかです。

1. 句形と単語をマスターしろ
 漢文を読みやすくするためにも、9種類の句形と100個の単語にすぐ手をつけて、秋までに完成させることです。設問にも大きく絡むので、やればやるほど効果が出ます。

2. 文構造を理解し、正しい返り点と送り仮名を付けろ
 最近の受験生が思わぬミスを犯す設問の1つがこれです。きちんと日本語として読めるように、返り点と送り仮名をつける意識を心がけましょう。

3. 速読してまとめる力をつけろ

 漢文に使える時間は15分以内です。共通テストの特徴として、複数の文章などを読み、それをまとめた生徒の会話を素早く読み、それぞれ作者が何を言いたいのかをまとめることができれば、高得点の設問が必ず狙えます。そのためにも上記の1と2を早くクリアして「読み慣れる」ことが大切です。

4. 故事成語の知識を増やせ
 共通テスト漢文の特徴の1つとして、故事成語が絡む傾向があります。知識として1つでも多く覚えることはもちろんですが、文脈の流れから「これはあの故事成語だ!」となるようにしておくとよいでしょう。

 そのためにも単なる暗記ではなく、由来などを読みながら、故事成語の知識を得るほうが効果的でしょう。

■温故知新~古典学習には意味がある

 漢文は、つねに短時間で効率よくやるべきことを計画的にやれば、必ず得点になり、きっと受験だけではなく、そのあとの人生にも役に立つ名言の宝庫でもあります。

 福沢諭吉も、夏目漱石も、そして渋沢栄一も、漢文を素養として歴史に名を残しました。そして今生涯学習講座に集まる受講生の多くが、口をそろえて漢文をもっと早くからきちんと学ぶべきだったと吐露しています。

 混沌としたこの時代に於いて、今漢文学習をすることで「人生を楽しく生きるためのヒント」をきっと得られるはずです。

東洋経済オンライン

関連ニュース

最終更新:9/26(土) 8:11

東洋経済オンライン

投資信託ランキング