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「インスタの新機能」登場で、ついにTikTokへのリベンジが始まった…!

9/26 9:01 配信

マネー現代

(文 大槻 祐依) ----------
先月6日からインスタグラムに導入された、短尺動画作成機能「リールズ」。デザイン等に差はあれど、否が応でもTikTokを想起させるサービスだ。音源や企画が充実し多くのファンを抱えるTikTokに、リールズは対抗しうるのか? 企業のインスタグラムアカウント運用支援に定評がある、株式会社FinT 代表取締役 大槻祐依氏が、YouTubeも参入を発表した「短尺動画戦争」の行方を分析する。
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インスタグラムの新機能「リールズ」の特徴

 先月8月6日、インスタグラムマーケティングにまたひとつ新しい風が吹き込みました。新機能「Reels (リールズ)」の導入です。

 リールズとは、15秒の短尺動画作成機能のことで、これによりユーザーはインスタグラム内で録画した短い動画をそのまま編集、投稿することが可能になりました。細かいデザインは異なるものの、TikTokと動画の尺や使い方に大きな差はありません。最近のTikTokを取り巻く政治情勢とも相まって、今回のローンチはインスタグラム側が正式にTikTokに立ち向かう構図となっています。

 インスタグラムの動画機能と言えば、「ストーリーズ」を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、ストーリーズとリールズは以下の2つの点で大きく異なります。

 まず、動画の尺の長さ。ストーリーズの場合、ひとつの動画でも最大で60秒のものが投稿できますが、今回のリールズは最大でも15秒。どんなに長い動画でも途中で切り取られて投稿されてしまいます。

 次に、最も大きな違いとして、両者では視聴者層が大きく異なることが挙げられます。ストーリーズの視聴者は主にアカウントのフォロワーであり、あくまでも小さなコミュニティでの「近況報告」といった目的で日常的に使われていました。

 他方、今回のリールズの視聴者はフォロワーとは全く関係を持ちません。というのも、リールズはインスタグラム内部で自動的に生成された「おすすめ」動画が再生される仕組みになっているため、投稿された動画は既存フォロワーのみに留まらず、まだフォローしていない潜在層のユーザーにリーチする可能性を持っているのです。

 では、具体的に現在のリールズではどのようなコンテンツが見られるのでしょうか? 

リールズではどんな動画が見られてる?

 筆者の会社で運用している、女性向けインスタグラムメディア 「Sucle(シュクレ、合計フォロワー数約50万)」の場合、まずYouTubeチャンネルで見られるようなコンテンツを試験的に投稿してみました。

 具体的には、動画ブログ「Vlog」や編集部の部屋紹介に関する動画を投稿したところ、いずれも公開してすぐに再生回数4万から10万以上を記録。YouTubeチャンネルよりも動画の伸びの初速はかなり早く感じました。また、簡単にできるネイルデザインなどの実用的な動画が最も再生回数が多く、24万回となっています。

 他の個人アカウントのリールズを見ると、TikTokの投稿をそのままリールズで投稿しているアカウントも散見されます。

 TikTokコンテンツはリールズと同尺であるため、すでにTikTok上で投稿している手の込んだコンテンツを、リールズにそのまま投稿できるということになります。

 これはTikTok上のインフルエンサー、TikTokerにとっても、とても有利な状況であると予想されます。一から短尺動画に慣れなければいけないインスタグラマーよりも、すでに動画のノウハウを持つTikTokerの方が伸びる動画の特徴には熟知しているはずだからです。

 そのため、TikTokerが同じコンテンツをリールズとTikTok双方で投稿し、そこでいいねや再生回数を見比べながら作ったコンテンツをインスタグラムでもバズらせることができれば、今まではTikTok上でしか知名度がなかったユーザーも、今後はインスタグラム上で新たにファンを獲得していくことが可能になるかもしれません。

TikTokとリールズ、何が違う?

 TikTokの国内ユーザーは、2018年時点で950万人であるのに対し、インスタグラムの国内ユーザーは3300万人と、およそ3倍以上の差があります。

 インスタグラムによる短尺動画機能の導入により、今後具体的にどのような影響があるのでしょうか。両者の細かい機能を比較していきましょう。

 まず、駆け出しのリールズに比べTikTokは音源機能がかなり充実しています。プレイリストなどによって音源のジャンルが細かく設定されており、動画に合わせた曲を選びやすいのです。

 また、TikTokが若年層にヒットした理由のひとつに、企画コンテンツである「チャレンジ」の存在が挙げられます。チャレンジ企画とは、TikTok運営側で設定している各種企画のことです。

 新規ユーザーが入ってきた際、この企画に乗って真似をすることで初投稿へのハードルを下げる役割を果たしており、これが投稿に更なるアレンジを加えて拡散されていく「meme(ミーム)」を生み出すきっかけとなりました。チャレンジ企画の存在が若年層ユーザーの参入を促すことに成功したとも言えます。

 特にTikTokやインスタグラムなどのビジュアルをメインにするSNSにおいて、この「真似しやすさ」という要素はバズ投稿が発生する際に非常に重要なキーとなります。

 
「Sucle」においても、見た目の「真似しやすい」特徴的な要素は、投稿の伸び足を大きく左右する要素となっています。特に女性向けメディアの場合、簡単に真似でき、かつ見た目が可愛らしいものは伸びる傾向にあるからです。

 こちらは9月に投稿した「ぬいぐるみ花束」です。

 元は韓国の若者の間で人気だった、ぬいぐるみをブーケ状にしてプレゼントとして渡すトレンドのこと。これをSucle編集部がいち早くキャッチし、「 #ぬいぐるみ花束 」をつけて投稿したところ、約7,000を超えるいいねが集まりました。保存された数は5,000以上、これはSucleの直近1ヶ月の投稿の中でも特に高い数値です。

 さらに現在では様々なキャラクターのぬいぐるみを花束にしたり、お菓子を詰め込んだりと工夫が凝らされたミームが見られています。これらのアイデアもまた、ハッシュタグ投稿を参照しながら作れる「真似しやすさ」により、広がっていると思われます。

リールズが流行るために改善すべき点

 上記のようにTikTokとの比較をした際、リールズの今後の課題点も徐々に見えてきました。

 まず、「真似がしやすい」リールズコンテンツの発展を促すきっかけが必要です。

 導入から1ヶ月経った現時点では上述のようなハッシュタグ企画などミームを生んでいるものは確認されておらず、この点がリールズが普及する際のボトルネックになっていると感じます。

 リールズを活用している一般ユーザーはまだ少なく、実際に投稿しているのはインフルエンサーやメディアアカウントなど、他アカウントとの差別化を図る目的での投稿が目立ちます。

 また、筆者は検索ページの改良も必要だと考えます。

 現在は、写真とリールズが検索ページ内で混在している状況であり、その大きさもバラ付きがあって見にくい部分は否めません。

 実際、リールズは検索ページのほぼ全面を占めており、他の投稿と比べて圧倒的な存在感を放っています。しかし、今まで画像検索のみで慣れていたインスタグラムユーザーにとって、探している目当ての写真と動画が混在している現在の状況は、検索にかなりの負担がかかってしまっていると言えます。これだとリールズの視聴を避ける可能性もありそうです。

インスタ、TikTok、YouTube…短尺動画の勝者は?

 奇遇なことに、トランプ大統領がTikTokなど大手中国IT企業との取引を禁止する大統領を発令したタイミングと、インスタグラムがこのリールズ機能をローンチしたタイミングは日本時間で同日のことでした。

 国内ユーザー数が2億人を超えていたインドで、6月末に59の中国製アプリを禁止する発表をしていた矢先のことであり、さらに日本国内でも9月以内に中国製アプリの規制に関する政府提言が行われる見通しだと言われています。

 大国をはじめとした各国で今後の見通しが立たないTikTokをめぐる昨今の情勢を、インスタグラムが追い風として利用することはできるのでしょうか? 
 筆者は、既述の内容を踏まえ以下の点を抑えることができれば、今後少なくとも国内ではリールズが普及していくと考えます

 まずは、「お手本コンテンツが増えること」。

 今でこそインフルエンサーの差別化要素が高いリールズ機能ですが、TikTokの「チャレンジ」やインスタグラムでの写真投稿に見られるハッシュタグのように、他のユーザーが投稿しているものに便乗する形でミームが形成されれば、リールズもさらに活発になり、インスタグラム内での主要な機能になることが期待できます。

 次にリールズ機能が普及しやすくなるポイントとして、「リールズ専用タブの設置」が挙げられます。写真の投稿と動画の投稿を分けて表示することで検索時の負担を減らすのが狙いです。

 実は、つい先日9月4日からインドのインスタグラムで既に試験的な導入が始まっています。通常では虫眼鏡のマークで表記されている箇所に、直接リールズのマークを設置することで、混在していた画像検索と動画検索をはっきり分けて表示される仕組みになっています。

 Can’t believe #Instagram moved search from the bottom and put reels there.

Reels? Why? ? ? pic.twitter.com/fr2XjTn5Gn

― Aakarshna (@_aakarshna) September 3, 2020 
今まで画像検索をしていたインスタグラムユーザーが、わざわざリールズ投稿を視聴するようになるためにも、このようなリールズ閲覧へのストレスを感じさせないことが必要となってくるでしょう。

 インスタグラムのビジョンは、「大好きな人やものとのつながりを深める」。

 このビジョンに基づき、インスタグラムはこれからも大きなアップデートを通して私たちユーザーに新しい体験を持たらしてくれるに違いありません。

 そしてつい先日の9月15日、短尺動画領域でまた新たな情報が入ってきました。なんとあのYouTubeからも同じく15秒の短尺動画機能、「Shorts」の提供が開始されたのです。ShortsはYouTube内で編集・投稿できる機能であり、既にインドでベータ版が提供されています。

 TikTokの情勢、インスタグラムのリールズに続き、YouTube「Shorts」の参入など、SNSマーケティングを語る上で現在最もホットなトピックと言っても過言ではない短尺動画領域。SNSマーケティングにおいて、今後それぞれがどのような立ち位置になっていくのか、引き続き目が離せません。

マネー現代

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最終更新:9/26(土) 11:46

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