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「工事が止まらぬ」大阪駅、どこまで変貌するか

9/24 15:01 配信

東洋経済オンライン

鉄道ジャーナル社の協力を得て、『鉄道ジャーナル』2020年11月号「大阪・うめきた・新大阪」を再構成した記事を掲載します。

 大阪駅の現在の姿への変貌は、梅田貨物駅跡地の再開発と表裏一体である。国鉄改革で貨物駅移転が決まり、都心最後の一等地、関西再生をリードすると言われながら長く具体化に至らなかったが、2003年に大阪駅北地区全体構想が示され、動き始めた。当時、大阪駅北口は裏側であり、駅ビルは小さな業務ビルしかなかった。それを未来の街の玄関に変える必要がある。片や運行面では、長距離輸送を前提に作られたままの構内配線に課題を抱えていた。多くの分岐器に厳しい速度制限がかかり現代の高加減速の電車輸送に適しておらず、したがってホームの使用頻度に極端な粗密があって非効率だった。

 そこで根本的な改善として、7面13線であった配置を6面11線にスリム化し、捻出されるスペースを活用して北口に新駅ビルを建設する。流動も増大するので南北間の新通路や改札口を設け、既存の高架下コンコースも改装、さらに南口のにぎわいを増やす。このような、すべてが絡み合った「大阪駅開発プロジェクト」が始まった。

■線路のスリム化から巨大駅ビル建設へ

 工事は2004年に始められ、まずは東海道線下りが利用するホームを3面から2面に集約、使用を停止したホームでリニューアルや新設備の建設、曲線や分岐器改良を集中的に行う。それが完成したら隣接するホームから列車運行を移し、次のホーム改良に移って順番に進めてゆく。そして北側の旧10・11番線は廃止する。

 2006年から北口に高層棟地上28階、低層棟地上11階(いずれも地下3階)の新しい駅ビルを建設、内容は百貨店、専門店、シネマコンプレックスで、高層階をオフィスとする。南北を跨ぐ橋上駅舎も新設、大丸やホテルグランヴィアが入居している南の駅ビル「アクティ大阪」もリニューアルと増床を図った。新北ビルから南に向けて流れ落ちるような巨大ドームを掛け、その下の列車を橋上駅舎屋上の広場から一望できるのは、まさしく目を見張る構造だ。

 一連の工事が完成してグランドオープンしたのは2011年5月。北側のビルは「ノースゲートビルディング」、南側のアクティ大阪は「サウスゲートビルディング」とし、すべてをくるめて「大阪ステーションシティ」と命名された。その後、高速路線中心のバスターミナルの整備や、残された桜橋口のリニューアル等を経て現在の姿になっている。

 梅田貨物駅跡地は「うめきた」の愛称で再開発が行われている。大阪駅北側に占めた約24ヘクタールの広大な敷地のうち東側約7ヘクタールはかつて車扱貨物等の施設だったエリアで、先行開発区域とされて2013年4月に「グランフロント大阪」がオープンした。駅前のヨドバシカメラも巨艦店であり、北口は見違えるほど変貌した。

 残る約17ヘクタールが、コンテナを扱っていた部分であり、移転先をめぐる長い協議を経て2011年に都市計画決定に至り、2013年3月に貨物駅の幕を閉じた。そして「うめきた2期区域」として整備が行われている。その開発についてはコンペ形式で開発案が募集され、三菱地所等のグループによる「『みどり』と『イノベーション』の融合拠点」を目標に掲げた「希望の杜」プロジェクトに決定、現在は開発事業者に引き渡される前段階の都市基盤整備事業がUR(都市再生機構)の手で行われている。

■「はるか」ルートの貨物支線に地下新駅

 その基盤整備の内容の1つに「JR東海道支線地下化・新駅設置事業」がある。うめきた地区の西の縁を梅田貨物線が通っているが、この地上路線を連続立体交差事業として地区の中央に移設、地下化する。そして「はるか」や「くろしお」において、大阪駅に隣接し東海道旅客線と交差しながら旅客駅はなかった不便を解消するため、最接近する位置に新駅を設けるものだ。2023年春の開業を予定する。

 【2020年10月12日19時00分 追記】記事初出時、新駅の開業時期に誤りがありましたので、上記のように修正しました。

 工事はJR西日本に託して行われ、事業計画では工事区間約2.4km、うちトンネル区間約1.7kmとされ、新駅は地下に2面4線を持つ。この駅がなにわ筋線の起点にもなる。

 なにわ筋線は、JR難波および南海電鉄の新今宮と結ぶ大阪都心部の新たな南北軸。JRと南海が共同利用して南海電鉄も新大阪へ乗り入れる画期的な路線だ。現在、大阪環状線ホームに発着する関空快速と比べ、「はるか」利用で関空までの所要時間を20分縮める。

 ほかに関空快速、南海の空港特急や急行等の運行が想定されている。特急や関空快速が抜けて生じる環状線の余裕は、新大阪とUSJ方面の直通といった新たな可能性も拓けてくる。新大阪起終点のおおさか東線もうめきた地下駅発着の予定である。

 従来、新駅の事業計画上の駅名は「(仮称)北梅田」とされ一般には「うめきた新駅」「うめきた地下駅」と称されてきたが、今年3月、「大阪」として既存駅と一体化させることが発表された。地下駅を特定して指すこともあるため、案内上は「うめきた(大阪)地下駅」の呼称も使い続ける。あわせて既存の大阪駅側との間に地下通路を整備する。

 開発地や新旧ルートの概況は、「はるか」や「くろしお」に乗車すると間近に眺められる。

 新大阪を発車した「はるか」は、旅客線(JR京都線)と並んで淀川を渡って右に分かれ、阪急中津駅の下を抜けると再開発地が一気に広がる。広大な敷地には巨大な台形の土盛が複数ある。トンネルの掘削土で、これからの埋め戻しに使う分を仮置きしていると言う。その盛土越しにビルを眺めて進むと梅田信号場。梅田貨物線は阪急との交差付近から単線なので、貨物との行き違いや待避が行われる場所である。車窓にグランフロント大阪と大阪駅が重なって見える付近に、新駅は設置される。

■うめきた2期開発は未来都市と広大な緑の空間に

 工事の進捗状況をJR西日本に聞くと、駅部の軌道階(地下2階)は一部天井を残して実体が完成し、コンコース階(地下1階)は床がおおむね完成、壁や柱等を構築中。大阪ステーションシティ屋上から見下ろすと開削部が見える。前後の区間は、新大阪方のトンネル部では一部を除き実体完成、埋め戻しも完了、アプローチの掘割区間では掘削から順次、実体工事に入っている。トンネル実体が完成すると軌道工事が待っており、今秋着手の予定だ。福島方は道路交差部を除きトンネル掘削は終わり実体を工事中。アプローチ部は営業線直下のため営業線を受け替える必要があり、工事桁を架設中で、掘削はこれからとなる。

 信号場を通過するとすぐに西梅田一番踏切がある。この踏切は地下化に伴い除去される。東海道線(JR神戸線)をくぐる付近で新線工事の現場に再び合流、南側に抜け出て大阪環状線高架の足元に寄り添うと、福島駅直下の浄正橋踏切を横切り高架線へ上がってゆく。

 「うめきた」自体の2期開発は、阪急中津駅に近い北側と大阪駅至近の南側に新産業創出や産学官民交流、国際交流や世界発信等を謳うオフィス、ホテル、商業施設、高層住宅の街区を配し、間は災害時の機能も考慮した4.5ヘクタールもの、緑あふれる都市公園とする。十字の街路が大阪駅や阪急梅田駅方向と結び、南の街区に隣接して新駅の広場を配置する。大阪駅とはデッキでも結ばれ、回廊が形成される。地上の貨物線は廃止されるので、新梅田シティ方面との分断も解消する。新駅開業後、2025年に予定される大阪万博の直前、2024年に先行まちびらきを予定する。

 ほかにも大阪駅界隈では変化が目白押しの状態だ。1つはうめきた地下駅と対のように関わる「大阪駅西地区開発」である。大阪駅の西隣で、阪神の牙城、西梅田エリアと相対する線路南側の大阪中央郵便局跡地に、日本郵便グループを中心とする共同開発で、オフィスはじめ、国際会議や展示会等のニーズに応えるホテル、劇場、商業施設等を組み込んだ地上39階、地下3階の複合ビルを建設する。商業施設内には4階分のアトリウムを配置し、その正面に旧局舎の一部壁面を移設・保存するという。

 一方、JR西日本は高架下に大阪駅新改札口やバスターミナル、商業施設を設け、うめきた地下駅からの地下通路をこの改札口と結ぶほか、大阪環状線ホームを延伸するなどして既存ホームとも直結させる。サウスゲートビルとは街路を跨ぐデッキでつなぐ。さらには線路北側に地上23階、地下1階の新駅ビルを建設、1~2階はコンコースや広場、その上に商業施設、さらに上層をオフィスとする。

 この新駅ビルの予定地には、大阪駅ノースゲートビルと駐車場を結ぶ連絡通路として、かつて北陸特急が発着した旧11番線ホームの一部が年初まで名残を留めていた。しかし、南側の旧大阪中央郵便局舎とともにすでにない。今後2023年のうめきた地下駅開業時に地下通路を供用開始、新改札口も暫定供用とし、うめきた2期がまちびらきを迎える2024年には本格供用となり、ついで駅ビルオープン。その後、2027年春まで順次、高架下商業ゾーンやバスターミナルを開業させるスケジュールが引かれている。

■築80年の駅前地下道もリニューアル

 このほか、近傍ではヨドバシカメラの裏に広がっていた広い駐車場が昨年秋に同店の増床部として埋まった。南側では阪神百貨店はビルを二分して建て替えを行っており、現在は2018年5月に竣工した東半分で営業し、西半分が工事中。また、大阪市は建設から80年が経過した地下道の東広場大規模改築・リニューアルと東西通路の拡幅整備を進めており、大阪シティバス(元市営バス)のロータリーが完成してようやく落ち着いたかに見えたサウスゲートビルの前が、またしても一面の工事中となっている。

 こうした事業の多くは、インバウンドの急成長や2025年開催が決定した大阪万博を追い風に展開されてきた。そこに襲った新型コロナウイルスによる影響はまだ底知れないが、それぞれの計画は将来に向けて進められてゆく。梅田貨物線が新たな姿に生まれ変わり、2031年になにわ筋線が開業する近未来、さらには新大阪駅に北陸新幹線やリニア中央新幹線が乗り入れる時代には、新大阪駅や大阪駅はどのような姿になっているのだろう。

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最終更新:10/12(月) 18:31

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