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ヤクルト高津臣吾監督が描く「勝てる組織」とは

9/21 15:01 配信

東洋経済オンライン

「スワローズらしい良い文化を継承し、明るい素晴らしいチームを作っていかなくてはならない」――就任会見でそう語った、東京ヤクルトスワローズ高津臣吾1軍監督。満を持して就任した指揮官・高津監督が組織マネジメントの真髄を語る連載企画「2020ヤクルト 高津流スワローズ改革!」が、エンターテイメントコンテンツのポータルサイト「アルファポリス」で掲載されている(第2・4金曜日更新)。

インタビュワーはスポーツライターの長谷川晶一氏。アルファポリスビジネス編集部とのコラボにより、第5回を東洋経済オンラインでもお届けする。

■故障者が出てもチャンスをもらった若手が頑張っている

 ――開幕から2カ月以上が過ぎ、8月も終わろうとしています。ここまでの感想を教えていただけますか? 

 高津:開幕前には大なり、小なりのさまざまな目標を立てて挑みました。もちろん「勝つこと、優勝すること」が最優先ですが、もう1つ重視していたのが「選手にケガをさせないこと」「シーズンを通じてフルメンバーで戦うこと」を大切にしてきました。防ぎようのない故障もあるけど、何人か故障者が出たのは反省点です。

 ――「故障」を具体的に想定することは難しいとは思いますが、「故障者は出るものだ」と想定することは可能だと思います。この点についてはどのようにお考えですか? 

 高津:もちろん、「故障者が出たらどうするか?」というのは想定しなければいけないことです。

 ここまでのケースで言えば、開幕直前に中村悠平が、開幕後に嶋基宏が故障で離脱しました。だからキャッチャーは井野卓、西田明央、古賀優大らでカバーしてきました。

 内野陣では故障ではないけれど、例えば山田哲人を休養させるために宮本丈や廣岡大志ら若手を積極的に起用しました。故障者が出るのは痛手ではあるけれど、チャンスをもらった若手が頑張っているのはうれしいですね。

 ――さて今回は「勝てる組織とは?」ということを伺いたいと思います。まずは、リーダーが頂点に位置して、そこから上意下達のピラミッド型がいいのか、それとも風通しのいい横並びの関係がいいのか、高津監督の理想はいかがでしょうか? 

 高津:今、「ピラミッド型」という表現がありましたけど、絶対的に仕切る人、管理する人は必要だと思います。トップの人が積極的にマネジメントする。そこがハッキリしていないと、その下で働く人、「下」という言い方はあんまりしたくないけど、そういう人たちは動きづらくなる。だからこそ、全体を統括する人がきちんと指示する。ビシビシと「イエス、ノー」を言う必要があると思います。

 ――それは、野村克也監督、若松勉監督ら、現役時代に仕えた監督と接して感じた結論でしょうか? 

 高津:僕の現役時代は、グイグイ引っ張るタイプの監督もいれば、どちらかというと柔軟に周囲との会話を大切にしている監督もいました。それは、どちらがいいとか悪いということではなくて、僕自身のタイプとしては、「監督としてテキパキと判断しよう」というのは心がけていることです。

■各コーチ、ヘッドコーチとのつき合い方

 ――次に、監督を支えるコーチとの関係性について伺います。コーチたちとの付き合い方はどのように意識されていますか? 

 高津:僕自身はピッチャー出身なのでピッチャーのこと以外はわかりません。だから、打つこと、守ること、走ることについては積極的に各コーチに意見を求めますし、その考えを尊重するように意識しています。バッティングに関しては杉村(繁)コーチ、松元(ユウイチ)コーチに、守備走塁については、内野は森岡(良介)コーチ、外野は河田(雄祐)コーチに100%の信頼を寄せています。

 ――投手陣についてはどのようにお考えですか? 

 高津:もちろん、斎藤(隆)、石井(弘寿)両コーチを信頼して任せていますが、打撃や守備走塁とは違って、「今、どんな状態なんだ?」「彼は今、こうなっていると思うんだけど……」とこちらの考えを伝えることも多いですね。基本的にはコーチの意見を尊重しつつ、自分でも積極的に状況を把握するように努めています。

 ――各コーチとの関係性とは別に、監督の片腕とも言うべき、宮出隆自ヘッドコーチとはどのような関係性を意識していますか? 

 高津:ヘッドコーチというのは、まさに「コーチの中のトップ」という位置づけです。いわゆる「中間管理職」として、上からも、下からも、板挟みになる難しい立場だと思います。さっき言われたように、僕の「片腕」として密に意見交換をしていますね。僕の中では「ヘッドコーチを育てるのも仕事だ」という思いもあるし、「宮出にはもっと成長してほしい」という思いも強いです。

 ――高津さんにとっては初めての監督職となります。「ヘッドコーチを育てる」よりも、「ベテランヘッドコーチに支えてもらう」ほうが、監督自身の負担も減るのではないでしょうか? 

 高津:もちろん、宮出ヘッドにもしっかりと支えてもらっています。でも、彼はまだ若いし、これからもっともっと学ぶこともあるでしょうし、ともに成長していきたいという思いが強いですね。ヘッドコーチには「視野の広さ」を求めたいと思っているので、その点はまだまだ成長の余地はあると思っています。

■考え方、方向性が同じでないと組織は機能しない

 ――コーチ陣の年齢を見ると、杉村コーチが60代で最年長、河田コーチが高津監督より1歳年上で、あとは同世代や年下ばかりです。この点は組閣の際に意識されたのですか? 

 高津:年齢に関してはほとんど意識していないですね。むしろ、僕が求めたのは「僕の考えを共有してくれる人」です。ここで言う「僕の考え」とは、僕は選手たちに気分よくプレーしてもらいたいと考えるタイプなんです。だから、コーチたちにもこの考えを共有してもらいたい。考え方、方向性が同じでないと組織は機能しなくなると思いますね。

 ――コーチたちとの意思疎通、意識の共有で注意していることはありますか? 

 高津:選手時代はロッカールームやクラブハウスで同じ時間を過ごすことで、選手同士のコミュニケーションを図っていました。今、コーチたちはコーチ室で一緒にいることが多いんです。この部屋ではつねに意見交換をしているし、時にはファーム中継をみんなで見たり、野球以外のことでもお互いの意見を披露したりして、コミュニケーションを密にしています。それはとても大切なことだと思いますね。

 ――もう1つ、組織作りにおいては「フロントとの協力体制」も重要になってきます。例えば編成面など、現場の要望をフロントに伝えることなどはあるのでしょうか? 

 高津:この点は、ヤクルトは昔から風通しはいいですね。小川淳司GMは監督経験者ですし、球団社長からも「要望があれば何でも言ってくれ」と言われています。もちろん、要望がかなうかどうかというのは別問題ですけど、「言いたいことが言えない」というストレスはまったくないです。

 ――例えば、「こういう外国人を獲得してほしい」とか、「ここがウィークポイントなので、こういうタイプの選手を補強してほしい」など、具体的な要望も話しやすい? 

 高津:そうですね、具体的にはここでは言えないけど(笑)、そういう要望を出すこともありますね。ただ、目先の補強だけではなくて、数年先を見据えた育成について希望をお話しすることも多いですね。

 ――強い組織には風通しのよさは欠かせないですからね。

 高津:絶対にそれがないと難しいと思います。「ユニフォームを着ているから」とか「背広を着ているから」と区切ってしまうことに意味はないと思います。チーム全体で考えるべき問題に、意味のない境界線は絶対にない方がいい。お互いに話をしやすい環境、意見を言いやすい環境は大切だし、その点はいい状態で戦えていると思います。

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最終更新:9/21(月) 15:01

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