IDでもっと便利に新規取得

ログイン

47都道府県「知事会見」記者クラブ外への開放度

9/19 8:21 配信

東洋経済オンライン

安倍晋三・前首相の退陣に伴い、記者会見のあり方を問う声がじわりと広がっている。ネット中継によって重要な記者会見のQ&Aがリアルタイムで視聴できるようになったうえ、フリーランス記者などを排除する記者クラブの閉鎖性が、いっこうに改まらないからだ。ただ、中央を離れて地方に行くと、会見の様相も異なってくる。各都道府県知事の会見は、どの程度開かれているのか。全国調査で見えてきた実相とは――。

■「参加可能」と言うけれど…

 今回、主な調査対象としたのは、各都道府県で行われている知事の定例会見だ。開催頻度はたいてい、毎月1回。地元の有力地方紙やローカル放送局のほか、全国メディアの支局記者らが参加する。全国的には無名の、地方紙よりさらに小さい地域メディアの記者が定期的に参加している例も少なくない。

 では、どのメディア企業にも所属していないフリーランス記者は、こうした会見に参加できるのだろうか。参加基準や参加できた場合の質問権などは、どうなっているのか。フロントラインプレス(Frontline Press)は今夏、各都道府県の広報部門に取材し、記者会見の「開かれ度」をチェックした。

 質問内容は以下のように集約できる。

1) 都道府県政の会見にフリーランス記者は参加できるか
2) 参加に際し、記者クラブや行政との事前協議が必要な場合、その手続きなどはどんな内容か。参加できた場合、フリー記者は質問できるのか
3) 過去にフリー記者の参加を断ったケースはあるか
 記者クラブではなく、行政側に回答を求めたのは、①記者クラブは回答に際し、全社から意見を聴くなどして時間がかかる可能性がある、②行政側は過去の経緯等について記録保持がしっかりしていると予想できる――などの理由からだ。各都道府県の回答は一覧表にまとめ、最終ページに掲載した。

 「記者クラブの開放度」という点からすれば、最も肝心なポイントは「フリーの参加は可能かどうか」にある。

 「原則、不可」「記者クラブ加盟社の記者のみ可能」としたのは、宮城、栃木、三重、香川、高知、大分の6県だった。回答では、「原則、参加不可。県と県政記者会との共催であり、原則、県政記者会所属の記者を対象としているため。フリーランス記者からの参加申請自体がない」(宮城県)、「毎⽉の知事定例記者会⾒は参加不可。2⽉の当初予算発表に関しては幹事社協議の上、参加は可能と思われるが、傍聴のみ」(栃木県)、「定例記者会見は県政記者クラブの主催のため、 加盟社以外の出席は認められていない。ただし、HPなどで内容を公開している」(大分県)といった内容だった。こうした「不可」の現状を見直す予定はないという県もある。

 いちばん多かったのは「参加可能」という回答だ。ただし、「記者クラブ側の了解を得ること」を条件とする道府県がほとんど。一覧表の回答でもわかるように、「了解」のハードル越えはそう簡単でもなさそうだ。

■「われわれはどうこう言える立場ではありません」

 広島県の担当者は取材に対し、「われわれは記者クラブにどうこう言える立場ではありません。(会見などの運営は)基本的には記者クラブの判断に任せています」と話す。記者会見における行政と記者クラブの関係を彷彿とさせるコメントだ。

 埼玉県県政記者クラブは「記者クラブ規定」でフリー記者の参加要件を定めているという。次のような内容だ。

【埼玉県政記者クラブ規程から抜粋】
加盟社以外の社、もしくはフリーの記者・カメラマンから出席願いがあった場合、原則として出席を認める。
ただし出席を認めるのは、次のいずれかに該当する者に限る。
一、日本新聞協会、日本雑誌協会、日本民間放送連盟、日本専門新聞協会、日本インターネット報道協会の会員社に所属している記者

一、日本外国特派員協会に所属する記者及び外国記者登録証を保持する記者
一、一定の記者活動実績を有する者
なお、記者活動実績の基準は以下の通り。
1.日本新聞協会、日本雑誌協会、日本民間放送連盟、日本専門新聞紙協会、日本インターネット報道協会の会員社に、申請時から概ね3年以内に2回程度、記事掲載または放送された実績がある。(投書、投稿は除く)
2.埼玉県内の記者クラブ加盟社に所属している。
3.埼玉県政記者クラブ加盟社2社以上の推薦を受けた者。

4.インターネットによる生中継を希望する申し入れがあれば、別途代表者会議を開いて協議する。

 参加の自由度で飛び抜けているのは長野県だ。

 長野県では、作家・田中康夫氏が2000年10月に知事に当選すると、翌2001年5月には「脱・記者クラブ」を宣⾔。知事会見を記者クラブではなく、県主催とし、誰でも参加できるかたちにした。いまもそれは続いており、長野県の担当者も「(参加に際して事前の)協議も不要。現在、⻑野県に記者クラブはなく、知事会⾒は県が主催している」と答えている。

 鳥取県も「県が主催する記者会⾒については、参加者の制限はとくに設けてない」と回答した。さらに愛知県も、県主催の会見については「原則、事業担当課が判断する。基本的には参加可能」とした。ほかの回答を眺めていても、行政側主催の会見は制限を設けないという姿勢が多い。

■東京都知事会見は? 

 首都・東京のケースはどうだろうか。

 毎週金曜日の午後2時から開かれる定例会見は記者クラブが主催し、それ以外の臨時会見は都が主催する。広報担当者によると、都主催の場合、都側で受付を実施。報道関係者かどうかの一定のチェックを行う。質問の制約はない。記者クラブでの会見(毎週金曜2時)に参加したい場合は、代表電話を通して記者クラブに連絡し、幹事社と話す。そのうえで、参加者の情報を用紙やメールなどに記し、幹事社に提出。協議のうえ、参加が可能になる。こちらも質問の制約はないという。

 今回の一斉調査では、フリー記者が質問できるかどうかも尋ねた。せっかく会場に足を運んでも質問できないのであれば、記者としての役目は果たせないからだ。実際、一定の制限を設けていると明言した県は少なくない。

秋田県「県政記者会の加盟社による質問を優先し、加盟社の質問が途絶え、かつ、会見の終了予定時刻まで時間が残されている場合に限り、フリーランス記者は質問できる」
福島県「記者クラブ加盟社以外の質問は受けていない」

富山県「県政記者以外の質問は認めていない」
静岡県「県政記者会加盟社の質問機会優先のため、非加盟社による質問はご遠慮いただいている」
山口県「質問しないようにお願いすることがある」
 このほかにも「傍聴のみ」との回答もある。フリーの記者は参加できても質問が許されず、小中高生の社会科見学のような扱いを受けるケースがあるわけだ。

 では、以下の回答一覧をじっくり見てもらいたい。同じ取材者であっても、所属によって“差別”される現実が日本の隅々にまで根を張っていることがよく見えると思う。なお、各都道府県の記者クラブ側に対しても「現状をどう考えているのか」を問う質問を投げかけている。回答がそろい次第、そちらも詳報したい。

 (外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

 取材=調査報道グループ「フロントラインプレス(Frontline Press)」

東洋経済オンライン

関連ニュース

最終更新:9/19(土) 8:21

東洋経済オンライン

投資信託ランキング