IDでもっと便利に新規取得

ログイン

大学入学共通テスト「英語」が問う思考力の正体

9/19 11:01 配信

東洋経済オンライン

受験生にとって「天王山」ともいわれる夏休みが終わりました。コロナウイルスの影響に加え、今年度より「大学入試センター試験」に代わって新たに「大学入学共通テスト」がスタートするため、受験生や保護者の方々の不安も大きいことでしょう。
この共通テストでは「思考力」などが試されるといわれていますが、具体的には、どのように変わるのでしょうか?  スタディサプリの人気英語講師・関正生氏に、共通テストの英語における「思考力」の正体とその対策について聞きました。

■“思考力”の定義は抽象的すぎる

 今年度より大学入試センター試験は「大学入学共通テスト」(以下、「共通テスト」)と名を変え、“思考力”を問う問題などを柱に、新傾向の問題が出題されます。どうも独り歩きしている印象のある“思考力”という言葉ですが、その定義は、科目によってもそれぞれ違うことでしょう。

 一般的に、英語においての思考力とは、「英文の内容をすばやく把握して、要領よく情報を整理する力」とされているかと思います。たしかに、間違いではないかもしれませんが、それって突き詰めると結局、「よく考えましょう」「頑張りましょう」という言葉と変わりないですよね。つまり、あまりにも抽象的で、だからこそ皆さんが「どう対策すればいいかわからない」と困っているのだと思います。

 ですから、ここでは、英語の共通テストにおける“思考力”の正体とはいったい何なのかを、さらに掘り下げていきましょう。

 共通テストの試験内容や運営の準備に役立てるため、高校2・3年生を対象に、2回にわたる試行調査(プレテスト)が実施されましたが、そのプレテストをもとに本番の試験問題も作られるようですので、このプレテストと、以前のセンター試験とを比較し、その違いを見ながら“思考力”について考えていきましょう。

 まず、プレテストのリーディング問題では、これまでのセンター試験とは異なり、設問はすべて英語での表記となりました。また、従来出題されていた“発音・アクセント”や“語句整序”の問題はなくなりました。

 代わりに、資料(広告・予定表・パンフレット・ホームページなど)が1つ提示され、そこから必要な情報を読み取るものなど新傾向のビジュアル問題が出題されていました。

 ですが、これは見た目が変わっただけ。大学入試システムが変わったからといって英語そのものは変わらないですから、学ぶこと、問われることは、これまでと同じです。出題形式の見た目を変えるということは以前のセンター試験でもよく行われてきたことですから、それほど恐れるものではありません。

 また、プレテストでは、文法の単独問題が消滅しましたが、これによって「文法は勉強しなくてOK」かというと、それは違います。

 実際、今回のプレテストでも、「almost」の細かい用法がリーディングでもリスニングでも問われていたり、リスニングでは完了形・関係代名詞の省略・比較級・従属接続詞・使役動詞など、さまざまな文法事項が狙われたりしていました。これは、「文法は必ず押さえる必要がある」という共通テストのメッセージと言えるでしょう。

 なかには、「長文をたくさん読み解いていれば自然と英語力が身に付く」と、文法の勉強を軽視する学生もいるようですが、文法は英語学習すべての土台です。必ずしっかりと身に付けましょう。

■実際に出題された新傾向問題

 プレテストで実際に出題された新傾向問題を1つ上げましょう。まずはひととおり読んでみてください。

 <P.16~17 問題文を掲載>

 問1の設問と選択肢を日本語に訳すと、次のとおりです。

問1 前売り券を持たずに11月13日に遊園地に行ったら、おそらくあなたは入園ゲートで1だろう。

① まっすぐ中に入る
② 入るために55%多く払わなければならない
③ 駐車券を見せなければならない
④ 長い列に並ぶ
 この問題の正解は、④の「長い列に並ぶ」ですが、今回の該当箇所と、正解となる文を比べてみましょう。

《本文2-2》
Visitors without an advance ticket may have to wait at the entrance gate for a long time.

(前売り券を持っていないお客様は、入園ゲートで長時間お待ちいただく必要があるかもしれません。)
《正解の英文》
~you will probably stand in a long line.
(~おそらくあなたは入園ゲートで長い列に並ぶだろう)

■曖昧な問いに対して曖昧な答えを選ばせる

 このように、本文から「推測」させ、「本文にハッキリとは書かれていないこと」を正解として選ばせる設問パターンが、共通テストの大きな目的である「思考力」を問う設問に当たると考えられます。

 このような設問では、英文に「助動詞」が使われることが多いです(第2問(A)・問1にはwould「~だろう」、問2にはshould「~のはずだ」、問3にはmay「~かもしれない」が使われています)。曖昧さを許容するのが助動詞だからです。

 つまり、英語における思考力の正体の1つ目のパターンは、「助動詞」だと考えていいでしょう。

 そうなると、例えばリスニングでも、「キャンプに行きたいけれど雨が降るかもしれない」などという問題文に対して、「行くか行かないかわからない」といった曖昧な答えを選ばせるような問題が出ると考えられます。

 大事なことは、「助動詞の核心をつかむ」こと。ボクはいつもこういう言い方をしているのですが、「may」を「~かもしれない」と直訳で覚えていたら、こういった問題は解けません。「may」の核心は、「AかもしれないしAじゃないかもしれないし、あえて数字で示すなら “50%”の確率である」ことです。このニュアンスをつかめていれば、上記の問題も難なく解けるでしょう。

■文法を学べば新傾向問題は難しくない

 ただ、may の「~するかもしれない(しないかもしれない)」という、「50%半々」のイメージに対し、will probably「おそらく~するでしょう」は、もう少し強いイメージがあります。単語帳・熟語帳で「may」の言い換えで「will probably」を提示しているものは、まずないでしょう。

 しかしながら、共通テストではmay have to~ もwill probably~も、どちらも「(完全に断定はできないが)十分な可能性がある」という意味で「同じ範囲内、つまり言い換え可能」と提示していることにも注目です。

 この言い換え可能なラインは、出題者によって微妙に変わってきます。野球でいえば、審判によって微妙にストライクゾーンが異なったりしますが、それと似たような感覚かもしれません。

 この『正解の範囲』を肌感覚でしみ込ませていくためにも、予想問題よりもまずはプレテストの問題にしっかり取り組むことが必要です。

 さらに、共通テストでは、第1問のような情報をピンポイントで読み取る設問に加え、「事実」と「意見」を問う設問や「賛成」と「反対」の意見を整理する設問がよく出ると予想されます。そういったことが問われるため、「情報を正確に読み取り、整理する力」がポイントになります。何となく英文を読むのではなく、読みながら情報を整理していくことが大切です。

 このときに注目する部分は、「助動詞」「仮定法」、そして「時制」。これらが、「事実」と「意見」を分ける手がかりとなります。

 仮定法や時制には助動詞が関係するので、やはりここでも助動詞がキーワードとなってきます。

 要は、助動詞や仮定法、時制といった文法をきちんと勉強していれば、新傾向問題は難しくありません。つまり、「共通テストの英語における思考力とは、つまるところ文法力だ」と言ってしまってもいいでしょう。

 さて、共通テストでは、リスニングの配点の比重が増え、リスニングとリーディングがそれぞれ100点配点となることも決まりました。

■配点比率の増えたリスニング対策は? 

 そうなると、これまでよりもリスニング対策に時間を割く必要はありますが、注意していただきたいのは、だからといってリーディングの勉強をおろそかにしてはいけないということです。

 リーディングはすべての基本です。リーディングができればそれほど対策しなくてもリスニングができる場合がありますが、その逆はありません。

 また、先述したように、リスニングではかなり文法知識を問う問題が出題されます。リーディングなら2度読み3度読みができますが、リスニングでは、耳から聴いて1回で(もしくは2回)で文法を判断しなければなりません。つまり、しっかりとした文法力が今まで以上に求められることになりますから、やはりリーディングの勉強の必要性は高まっているといえるでしょう。

 ちなみに、共通テストのリスニングでは、問題ごとに、音声が1回流れるものと、2回流れるものがあります。先日の発表では、試行調査では2回読まれていたものが、1回読みになるという発表があり、受験者たちにやや動揺が広がりました。2回読まれるから、という気持ちは捨てて、すべて1回で聞き取る、という気持ちで臨むべきでしょう。

 リスニングは本番でのメンタルも大事です。聴き逃してしまったら終わりなので、勉強するときはつねに本番を意識して、多少、雑音があったりするなど、追い込まれた状態で練習しておくといいでしょう。

 以上が、共通テストにおける英語の主な分析と対策になります。結論を言えば、これまでと同じように、文法をはじめとする勉強をしっかりとやっておくことが大切だということです。テスト形式が新しくなったからといって、これまでと勉強法を大きく変えたり、特別な勉強をする必要はありません。

 これまでどおり、地道に、確実に勉強に取り組んでいれば大丈夫。そして、プレテストには必ず取り組んでおき、あらかじめ新しい形式に慣れておきましょう。ぜひ、自信を持って本番に臨んでください。

東洋経済オンライン

関連ニュース

最終更新:9/19(土) 11:01

東洋経済オンライン

投資信託ランキング