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花火の楽しさを絶やしたくない! コロナで苦境に陥った花火業者の奮闘

8/15 19:01 配信

LIMO

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止のため、さまざまな業界に大きな影響が及んでいます。その中でも、人が集まる行事やイベントは軒並み中止へと追い込まれています。夏の風物詩である花火大会ももちろん例外ではなく、春の時点で全国的に花火大会の中止が続々と決定しました。

「花火業者は花火をあげないとお金になりません。今年を乗り越えないと来年まで持たない花火業者も多いはず」と語るのは、玩具花火・煙火の製造販売、花火大会の企画・運営を行なっている株式会社若松屋 東京支店支店長の竹内直紀さん。

竹内さんに、コロナにで花火大会が中止になったことでの花火業者への影響や、アフターコロナの花火大会に向けて取り組んでいることなどを伺いました。

シークレット花火が日本国民や花火業者にもたらしたもの

――3月頃に「今年の花火大会は中止」という一報を聞いて、どのように感じられたのでしょうか。

竹内直紀さん(以下、竹内):日本の夏から花火がなくなるという寂しさや残念さでした。そして打ち上げ花火に携わる仕事の方は、お金が稼げない現実を前にして焦りを感じたと思います。しかし、コロナの現実を前に下を向いていても仕方がないので、すぐに「何かできることはないか」と頭を切り替えてみんなが次に向かっていったと思います。

その中の1つが、花火業者が全国各地で一斉に花火を打ち上げるプロジェクト「CHEER UP! 花火」プロジェクトでした。弊社を含めた200を超える花火業者が参加し、4月頃から業界の青年部が中心になって考え始め、6月1日に実行しました。

全国で一斉に打ち上げ、しかも観客を呼ばない花火大会はこれまでにやったことがないので、業者としてもボランティアである点や「通常の花火の時期の7月や8月ではない6月に花火をあげるのはどうなのか」、「人を集めないでシークレットで打ち上げるのは花火じゃない」といった賛否両論がありました。しかし、世の中の方々にはとても評判がよかったので結果的にはやってよかったと思います。

――「CHEER UP! 花火」プロジェクトによって、元気づけられた人はとても多かったと思います。

竹内:今回のコロナは業界的には寂しさや残念さがありますが、花火を渇望する多くの人の存在を見るにつけ「やっぱり日本人は花火が好きなんだ」ということを再確認しました。

もちろん、たくさんの人に花火を見てもらいたい花火業者としては本意ではないものですが、「シークレット花火大会」というまったく新しい花火大会の形を試せた気もします。もちろん収益化はこれから考えるべきですし、課題はたくさんあります。しかし、みんなも花火業者も元気になったことはとても大きかったと思います。

今年我慢すれば「来年はいつも通りの花火大会ができる」わけではない

――今年のような花火大会が中止になる事態は過去これまでにあったのでしょうか。

竹内:本来、オリンピック期間中は花火大会ができない関係で今年は花火大会が少ない予定でした。東京オリンピックが開催されていれば、梅雨を避けつつも5月と6月、9月、10月の花火大会が多くなるとされていました。もともとそういう1年の予定だったんですが、コロナの影響ですべてなくなりました。

ここまで大々的に中止になったことは今までにないことでしたが、最近では2011年の東日本大震災の時に自粛ムードで花火大会の一部がなくなったことはありました。特に自粛していたのは首都圏の花火大会です。

一方で、被害を受けていた東北地方は、津波の影響などで現実的に花火があげられない場所はありましたが、内陸部では被災者を元気づける意味でたくさんの花火を打ち上げていたように思います。弊社も花火をなかなか作られなくなった東北の花火屋さんに花火を送らせてもらったりして、業者として支援していましたね。

――竹内さんは、イベントの中でも通常の花火大会の再開は後回しになる可能性を見込んでいるそうですね。

竹内:来年オリンピックが開催されれば、先述の通り開催期間中は花火大会ができなくなるので、コロナが終息したとしても来年1年は花火大会が少なくなります。花火業者は今年1年を耐えればいいと思われがちですが、実は2年間仕事が減った状態を耐えなければならなくなりました。

また花火大会はコンサートのような有料イベントとは違って、基本的に無料で花火を観ることができるものです。主催者側としても、ソーシャルディスタンスを保ってもらったりアルコールやマスクの徹底をしてもらったりといったお客さんの管理は難しい。

また、花火大会は主催者がスポンサーを集めたり自治体と協力したりしてこそ行えるので、花火業者が自発的に「人を集めて花火大会をやります!」とはできません。基本的に花火業者は受けの仕事。そもそもいつになったら花火大会が通常通り開催されるか、花火業者としては不安がありますね。

ワクチン開発支援や未来の花火大会を協賛する「花火のチカラ プロジェクト」をスタート

――支援で言うと、若松屋さんは全国小売店で販売する限定花火セットの出荷数に応じた「花火のチカラ プロジェクト」を始められました。プロジェクトについて具体的に教えてください。

竹内:プロジェクト第1弾は、ワクチン開発を担う国立国際医療研究センターへ1セット30円を寄付する限定玩具花火を販売しました。これは2週間で6万個の受注を得るなどして、7月10日には実際に150万円の寄付をしました。

6月下旬から始まった第2弾では、手持ち花火セットと飴入り玉皮の2種類のセットを花火業者に卸します。花火業者から花火を買った花火主催者には、その商品を企業や個人に販売または配布してもらいます。各商品1個につき50円をこれから開催されるシークレット花火などの未来の打ち上げ花火に協賛する予定です。

花火大会用の打ち上げ花火だけをやっている花火業者が多い中で、弊社は打ち上げ花火だけでなく、家庭用花火(玩具花火)も作っている珍しい会社です。しかし、3月末の時点で社内では「今年は花火が売れないだろう。何かしないといけない」という話になりました。

そこで、寄付をつけた玩具花火セットの販売と打ち上げ花火支援の話を検討。通常の商品は1年~2年かけて企画、製造するのですが、3カ月という異例のスピードで商品を用意しました。

――打ち上げ花火だけでなく、家庭用花火や玩具花火も作っている会社ならではの、花火業界全体を支援するプロジェクトなんですね。

竹内:もちろん花火業者に対しては「このままでは多くの花火屋が2020年の花火だけでなく、2021年以降も花火を打ち上げることができなくなるのではないか」という思いがありました。でも一番は、皆に花火の存在を忘れてほしくないという思いが強かったです。

とにかく、花火で何かがしたかったし、花火で人と人のつながりを作りたい。そのために「花火のチカラ プロジェクト」では、花火を楽しんでいる写真を弊社Twitterに投稿してもらったり、飴入り玉皮の玉皮にメッセージを書いた写真をTwitter上に投稿してもらい、花火大会が開催されるときに全国の花火師にその写真を貼り付けて打ち上げてもらうといった取り組みも行っています。

また8月7日には、プロジェクトのお礼と悪疫退散祈願を込めて、打ち上げ花火の様子を全国からオンラインで楽しめるようにTwitterでライブ配信しました。

「オンラインで見る花火なんて花火じゃない」という意見もあるかもしれません。しかし、花火大会ができない今年の夏は「、やっぱり花火はいい」「来年以降の花火大会が楽しみだよね」という思いを消さないために、こうした新しい取り組みをやっていきたいと考えています。

【参考資料】株式会社若松屋ウェブサイト

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最終更新:8/16(日) 12:45

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