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リモート「孤立・野放し」「過剰管理」なくす4秘訣

8/13 8:05 配信

東洋経済オンライン

わずか半年ほどで世界を震撼させ、経済活動や社会活動を一気に停滞させ、世界中の人々の生活をどん底に陥れようとしている「コロナ・ショック」。
しかし、「コロナ・ショック」は日本にとって、必ずしもマイナスばかりではない。むしろ、経済的な側面よりも、日本人の価値観や働き方を大きく変え、日本という国が真に豊かで、幸せな国になるための好機と捉えている──。
『現場力を鍛える』『見える化』など数多くの著作があり、経営コンサルタントとして100社を超える経営に関与してきた遠藤功氏は、「この『コロナ・ショック』は、ビジネス社会における『プロの時代』の幕開けになる」という。

「コロナ・ショック」を見据え6月に集中執筆した『コロナ後に生き残る会社 食える仕事 稼げる働き方』を緊急出版した遠藤氏が、「リモート『孤立・野放し・過剰管理』防ぐ4方法」について解説する。

■以前の「部下の管理」が成り立たないリモートワーク

 コロナ禍が続き、リモートワークを取り入れる企業は増えたが、リモートワークの広がりによって、私たちは「新たな管理」の仕方も模索しなければならない。

 「見えないものは管理できない」というのが、管理の鉄則である。その意味でいえば、リモートワークによって「見えない化」が進み、上司が部下を管理できないというリスクが高まっている。

 だからといって、四六時中監視する「過剰管理」に走ったのでは元も子もない。一方で、在宅での仕事ぶりを放置し、「野放し」状態にしてしまっては、管理者失格である。「過剰管理」は部下のモチベーションを下げ、「野放し」は業務品質を著しく低下させるリスクを増大させる。

 リモートワークが大きな成果を生み出すために大切なのは、管理を強化することではなく、部下が「自己管理」できるように上司が正しく導き、適切な指導を行うことだ。上司が部下を管理するのではなく、部下が自らを「自己管理」できるように仕向ける。部下の「自立」を手助けするのが、ポストコロナにおける有能な管理者である。

 そこで必要なのが、コミュニケーションの質を高めることである。これまでのオフライン(対面)一辺倒のコミュニケーションではなく、これからは「オンライン(非対面)」と「オフライン(対面)」を上手に使い分ける知恵を身につけなければならない。

 ここでは、リモートワークに必要な「オンライン(非対面)」と「オフライン(対面)」を効果的に使い分けるための「社内コミュニケーション」4つの原則を紹介する。

 コミュニケーションをとるといっても、そのとりかたはさまざまである。まずは、「人間のタイプによって『コミュニケーションの仕方』を変える」ことだ。

■それぞれに合ったきめ細かい対応が必要

【1】タイプによって「コミュニケーションの仕方」を変える
 ポストコロナの働き方において大事なのは、「自己管理力」である。しっかり自己管理できる能力や習慣をもつ人は、オンライン化、リモートワークを有効に活用し、生産性を大きく高めるだろう。

 しかし、「自己管理力」は人によって大きく異なる。その違いをしっかり見定め、コミュニケーションの仕方や頻度を臨機応変に変えなければならない。

 人間には、次の3つのタイプが存在する。

①言われなくてもやる人……「自己管理力」が高いので、オンラインだけで十分に機能する
②言われたらやる人……完全に自立しているわけではないので、オンラインとオフラインを併用することが必要
③言われてもやらない人……コミュニケーション以前の問題であり、本来会社にいてはいけない人
 オンライン化、リモートワークの流れだから、すべて一律にリモートで行うというのでは、あまりにも短絡的だ。人の特性を見極めて、コミュニケーションの頻度や時間を決め、オフライン(対面)の必要性を判断するなど、それぞれに合った「きめ細かい管理方法」が求められている。

【2】経験値の高い人と低い人を「ペア」で組ませる
 経験値が豊富で、自己管理ができる人はリモートワーク、経験値が少なく、1人立ちできていない人はオフィスワークと「分断」されてしまうと「人が育たない」という問題が生じる。

 みんながオフィスにいて、気楽に声を掛け合えるような環境があれば、発展途上の人が孤立することは少ない。しかし、仕事ができる人は在宅、仕事ができない人がオフィスという分断状況では、面倒をみてくれる人が身近にいないということになってしまう。

 だからといって、リモートワークでも十分に仕事ができる人までオフィスに来るようになってしまったのでは、本末転倒である。

 そこで重要となるのが、「メンタリング」である。

 リモート時代には「メンタリング」、すなわち、経験値の高い人と低い人を「ペア」で組ませ、必要に応じてタイムリーにアドバイスできる仕組みが、不可欠である。その際、「メンター」は管理職が務めるのではなく、年次の近い先輩社員のほうが効果的だ。

 アドバイスはオンライン上でも十分に可能だ。逆に、対面よりも本音を言いやすく、気楽に相談できるというメリットもある。

 実際、オン・オフの切り替えができず、働きすぎや問題を抱え込んだまま孤立する社員が増えているという。

 悩みを共有できる先輩社員が、在宅勤務のコツや働き方のヒントをタイムリーに伝授できれば、リモートワークのストレスを軽減できるはずだ。大事なのは「誰が誰の面倒をみるのか」を明確にすることである。

■ちょっとした「無駄話」や「雑談」がもつ効果

 リモートワークによって失われてしまうものもある。それはオフィスにおける「インフォーマル・コミュニケーション」である。

【3】「ムダ話」や「雑談」をするための「場」をつくる
 オフィスでの何気ない「雑談」、廊下ですれ違いざまの「立ち話」、タバコ部屋での「噂話」など、ちょっとした情報のやりとりがビジネスのヒントとなったり、人と人との垣根を取っ払う役割を担ってもいる。

 オンラインでのリモートワークでは、どうしても業務上の無機質なやりとりのみに終始しがちである。機能的な仕事はサクサクと進めればいいが、それだけではどこか味気なく、人間関係をつくりにくいのも事実である。

 そこで大事なのが、オンラインを活用した、「ムダ話」や「雑談」をするためのインフォーマル・コミュニケーションの「場」づくりである。

 通常の業務上のやりとりではなく、「ムダ話」や「雑談」をするためだけの「場」をオンラインで設けることによって、「孤立」も「野放し」もなくなり、人と人とのつながりが濃くなっていく。

 「オンラインランチ」や「オンラインおやつタイム」など、気楽に参加できるハードルの低いインフォーマル・コミュニケーションの「場」を意図的につくることが必要である。

 最後のポイントは、優秀な人ほど孤立しやすいので、最低でも月1回は、どんな人でも「リアルの個人面談」の場を設けることである。

【4】優秀な人でも、最低月1回は「リアルの個人面談」を設ける
 機能的な仕事はオンライン、リモートでサクサクとできるからといって、オフライン(対面)がまったくいらないというわけではない。「対面でしかわからないこと」「対面でしか伝わらないこと」「対面でしか言えないこと」というものが必ずある。

 オンラインやリモートでは、人間の「機微情報」というものが見えないし、伝わらない。だから、最低でも月に一度はオフラインでの個人面談の機会を設けるべきだ。

 これは「自己管理力」の有無とは関係ない。むしろ、「自己管理力」の高い人材ほど、表面的にはうまくいっているように見えても、自分1人で問題を抱え込み、悶々とするケースは多い。

 「オフライン(対面)でのやりとりがあるからこそ、日常のオンライン(非対面)は機能する」と肝に銘じなければならない。

■「オンライン」と「オフライン」を使いこなせる人に

 会社は「無数のコミュニケーション」によって成立している。「オンライン(非対面)」であれ、「オフライン(対面)」であれ、人と人とがさまざまな情報や意見をやりとりすることによって、企業活動は営まれている。

 「オンライン」は機能的な業務やコミュニケーションをサクサクとこなすのに適している。一方で、「仕事で行き詰まっているのではないか」「何か悩み事を抱えているのではないか」「健康状態は大丈夫か」など、暗示的な「機微情報」はオンラインだけではなかなか把握できない。

 「『オンライン』と『オフライン』を賢く使いこなせる人」が、いま求められる上司像であるだけでなく、コロナ後に生き残り、稼ぎ続けられる人の条件になる。

東洋経済オンライン

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最終更新:8/13(木) 8:05

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