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在宅勤務で潰れる人と躍進する人の決定的な差

8/11 8:05 配信

東洋経済オンライン

 新型コロナウイルスは、多くのビジネスパーソンの生活スタイルを変えた。これまではなかなか浸透しなかった在宅勤務が一気に加速し、通勤せずに家で仕事をすることが当たり前になったのである。

 こんな時代が訪れることになるなど、1年前には誰が想像しただろう? 

だが、多くの人はそのインパクトがキャリアにまで及ぶことに気づいていないと指摘するのは、『在宅HACKS!  自分史上最高のアウトプットを可能にする新しい働き方』(東洋経済新報社)の著者、小山龍介氏である。

 在宅勤務によって生産性が上がると気づいた会社は今後、オフィススペースを縮小させていくことになるだろう。だが、もはや問題は「在宅勤務が進むかどうか」ではなく、「どのような在宅勤務を実現するか」へ移行したというのである。

そして重要なことは、在宅勤務は単なる働く場所の選択ではないということです。新しいキャリアの選択であり、人生のあり方の選択なのです。(「はじめに」より)

■「会社から解き放たれた人生」という選択肢

 それは、「会社から解き放たれた人生」という新たな選択肢だとさえいう。在宅勤務は、これまでとは違う、従来の何倍ものアウトプットを実現する新しいキャリアの可能性をもたらしてくれるということだ。

 仕事とプライベートとの区別がつきにくい在宅勤務では、成果による業務管理が行われることになる。すると当然ながら、生産性の高低がシビアに明確化される。しかし業績をあげられる人にとって、それは従来以上に評価されるチャンスでもあるだろう。

 また短時間で成果を上げることができれば、これまで以上の時短が実現し、余った時間を利用して新しいキャリアを磨くことも可能だ。

 それだけではない。在宅勤務は孤独だという意見もあるが、ネット時代においては、会社の枠を超えて人脈を広げることができるというメリットもある。

 つまり、すべては考え方であり、リスクに見えるものもポジティブに変換してしまえるのだ。そこで本書では、環境整備、行動管理、コミュニケーション、情報整理、ひいては副業まで多岐にわたって、そのためのハックを紹介しているのである。

 ここではそのなかから、実作業に関する問題に比べれば注目される機会は少ないとも考えられる「メンタル&ヘルス」のハックに焦点を当ててみることにしよう。

 グーグルに代表される多くのIT企業が、マインドフルネスに積極的に取り組んでいるという話を聞いたことがあるかもしれない。マインドフルネスは簡単にいえば瞑想のようなものであり、雑念を取り払ったうえで「いまここ」に意識を集中させるという手法である。

 ITのような最先端で動きの速い業界においては、自分をクリエイティブな状態に保つことが必要とされる。またスティーブ・ジョブズが座禅にはまっていたという話からも推測できるように、経営者であれば絶えずプレッシャーにさらされることにもなるだろう。

 だからこそ、マインドフルネスが重要な意味を持つということだ。

 在宅勤務では周囲に人がいないこともあり、瞑想をすることも難しくはない。基本は呼吸法なので、まずはしっかり肺の中にある空気を吐き出し、続いてゆっくり息を吸い込んでみよう。

 もし不安なことや心配事があるなら、まずは呼吸から整えてみるといい。そもそも在宅勤務は、どんどん瞑想のようになっていくものだと小山氏は言う。

自分と向き合い、自分の頭の中に浮かんできたイメージを広げ、それをアウトプットする。在宅勤務は、座禅なのです。そのワークスタイルを先取りしているGoogleなどの先進企業がマインドフルネスに着目するのも、当然なのです。(171ページより)

 瞑想ワークスタイルを取り入れれば、心が落ち着き、頭の中で広がるイメージがどんどん実現するという。そして、それをいち早く実現できるのが在宅勤務だ。そういう意味では、在宅勤務は従来のオフィスワークでは考えられなかった創造性の最先端スタイルだとすら言えるのかもしれない。

■10分休憩を小まめに取る

 たとえばZoomを利用した打ち合わせを連続して入れていたりすると、トイレに行く時間もないほど仕事が続いていくことになる。1人の作業であれば状況に応じて休憩を取ることもできるが、オンラインであったとしても、打ち合わせをしている場合はそうもいかない。

 ただ流されているだけだと休憩もなくなってしまうので、できる限り5分から10分の休憩を小まめに取る必要があるのだ。

こうした短い休憩をスケジュールに組み込むことはなかなか面倒です。なので、それぞれの予定の前後の空き時間を意識的に作るようにします。たとえば打ち合わせのとき、30分の予定をまるまる使うのではなく、25分くらいで切り上げて休憩を取るようにするわけです。(183ページより)
 確かに普段のオフィスでは、意識せずとも休憩を取っているもの。会議室への移動のタイミングや、トイレに行くついでなど、目に見えない休憩時間もある。ところが在宅勤務だと部屋に閉じこもりきりになってしまうため、そういったすき間時間を活用しようという発想に至らなかったりもする。

 だが、それはやはり必要なことなのだ。

 スランプは誰にでもあるものだが、スランプに陥ったとき、仕事がひとつだけだとよくないのだそうだ。なぜなら直面したスランプと真正面から向き合わなくてはならず、どんどん気分が落ち込んでいくことになるからだ。

 だが当然ながら、落ち込めば落ち込むほど成果は出なくなる。いわば悪循環だ。悪循環にはその言葉どおり「循環」が組み込まれているため、負のスパイラルが絶えず回っている。したがって、そんな負のスパイラルをどこかで断ち切らなくてはならない。

 そこで小山氏が勧めているのが、複数の仕事を行う「兼業ワークスタイル」だ。さまざまな仕事を同時進行で行っていると、スランプを乗り越えやすくなるというのである。

 ひとつの仕事においてスランプ状態にあったとしても、ほかの仕事を進めることによってスランプをやり過ごすことができるという発想だ。

 経営者としてさまざまな仕事に携わり、また名古屋商科大学大学院准教授としても活用する小山氏にとっても、これは重要な手段であるようだ。

私の場合、博士論文の執筆の負担が重く、常にスランプと言ってもいい状態で、ずっと頭を悩ませています。しかし同じ執筆であっても、この本のようなライフハック系の内容であれば、すらすら書くことができます。仕事の企画書も手慣れたものです。博士論文に行き詰まったときには、ライフハック系の文章や仕事の企画書を書くことで、ペースを取り戻すことができます。(187ページより)
 小山氏はこうした方法を、「現実逃避力」でもあると記している。Aという仕事でつまずいていると、Bというほかの仕事をやりたくなる。もともとBに対して積極的ではなかったはずなのに、Aというさらに大きな障害にぶつかったことにより、Bという仕事が現実逃避策として機能するということだ。

 複数の仕事を進めていると、こうした「現実逃避の結果としてのプロジェクトの進行」という場面に何度も出くわすそうだ。つまり、いい意味での現実逃避力を発揮するためにも、複数のプロジェクトを同時進行させることは無駄ではないのである。

■孤独を乗り越えるコツ

 在宅勤務においていちばん深刻なのは、孤独の問題だ。自宅においてひとりで仕事をしていれば、孤独になることは避けられない。しかも、そこに仕事上のトラブルやストレスなどが重なっていくとしたらどうなるだろう? 

 気軽に相談できる相手が近くにいるわけではないので、気楽なはずの在宅勤務がつらいものに変わっていってしまうことも考えられるのである。

 事実、在宅勤務を始めた人の多くが、最初は孤独に悩まされるようだ。では、どうしたら孤独を乗り越えることができるのか?  この点について、小山氏は少しばかり意外ところに焦点を当てている。

在宅勤務で孤独になる人とそうならない人の違いは、ひとつは趣味を持っているかどうかというところもありそうです。在宅勤務になって時間が自由に使えるということになれば、趣味の時間も捻出することができます。(中略)。

将来定年退職を迎えた後、毎日が日曜日という状態になります。そうしたときに急に趣味を始めたとしても、取り組める趣味の範囲が限られます。音楽などは、それなりの練習が必要で、定年後に急に始めたとしてもなかなか続かない可能性もあるでしょう。こうした将来を見据えて趣味を増やしておくことも重要なのです。(191~192ページより)
 こうした趣味は仕事にも好循環をもたらす。たとえば、そのひとつが「人脈」だ。利害関係のない趣味の交流を通じ、いろいろなチャンスがめぐってくることも考えられるということである。

 小山氏は文化庁の「日本遺産」というプロジェクトに関わっているが、それも能の稽古の仲間からの紹介だったという。初めて会う人とも、趣味の話で盛り上がれば距離がグッと近づくわけだ。

 もうひとつは、活躍のフィールドが広がるという利点。事実、「日本遺産」のプロジェクトに関わったことをきっかけに、「文化財を活用した地域活性化」というテーマで研究することになったことから、京都造形芸術大学(現:京都芸術大学)の博士課程に進学したというのだ。

 そうやって研究しているなか、今度は「地域の人々の創造性をどう引き出すか」というテーマが浮かび、それが現在の本業であるイノベーション・コンサルティングともつながっていったそうだ。

同じ一人の人間が興味を持つことなので、根底ではテーマ同士の深いつながりがあり、それが見えてくると、相乗効果で研究と実践が進んでいきます。趣味が仕事につながるのです。(193ページより)
 このように、「たかが趣味」と侮れないような展開を見せることがあるわけである。それを実感しているからこそ、これからの働き方においては、仕事と趣味の境界がどんどんなくなっていくだろうという実感を小山氏は持っているという。

■ネガティブなことばかりではない

 毎日会社に出勤する生活を長く続けてきた人が、まったく違うライフスタイルである在宅勤務と取り入れるとなると、最初のうちはプレッシャーを感じることになるかもしれない。

 しかし、それも考え方次第だ。いままでの生活習慣に執着していれば、違和感を覚えるのは無理もない話。だが、コロナの影響で社会は変わったのだ。好むと好まざるとにかかわらず、それは事実だ。

 だとすれば、小山氏のいうように生き方や働き方を変えればいいのだ。しかも、人間は慣れるものだ。最初は不安かもしれないが、時間が解決してくれる部分も少なからずある。

 つまり、続けていればいつか(それも、近い将来には)きっと、新たな生き方を身につけることができるに違いないのだ。考え方次第だということで、必ずしもネガティブに、悲観的に受け止める必要はないのである。

東洋経済オンライン

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最終更新:8/11(火) 8:05

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