IDでもっと便利に新規取得

ログイン

リモートワーク「向く人、向かない人」3大分岐点

8/5 5:55 配信

東洋経済オンライン

コロナ禍によって、在宅勤務などの「リモートワーク」を取り入れる企業が急速に増えている。
『現場力を鍛える』『見える化』など数多くのベストセラーがあり、経営コンサルタントとして100社を超える経営に関与してきた遠藤功氏は、「リモートワークに『向く仕事』『向かない仕事』の議論よりも、リモートワークに『向く人』と『向かない人』をしっかり見定めることが重要で、『仕事』以上に『人』が問題だ」と指摘する。
ではリモートワークに「向く人」と「向かない人」の決定的な差は、どこにあるのか。「コロナ・ショック」を見据え、6月に集中執筆した『コロナ後に生き残る会社 食える仕事 稼げる働き方』を緊急出版した遠藤氏が、「リモートワーク『向く人、向かない人』3つの分岐点」について解説する。

■リモートワークの問題は、「業務」ではなく「人」

 会社の中でも、企画・管理などを行うホワイトカラー業務や事務サービス的な仕事の大半は、「デジタル化→オンライン化→リモートワーク」が十分に可能だ。

 私自身も3月以降、会議やミーティングはほぼすべてリモートで対応した。私が講師として関与している企業研修の多くは延期になったが、スケジュールの都合上進めざるをえない研修は、リモートで行った。

 その体験を通してわかったことがある。それは、「リモートワークに向いている業務、向かない業務」の議論よりも、「リモートワークに向いている人、向かない人」をしっかり見定めることが重要だということだ。

 問題は、「業務」ではなく「人」だ。しっかりと自己管理ができ、スーパーバイズ(監督・指導)なしに、自己完結的に業務を進めることができる技量と経験を持つ人であれば、リモートワークの効果は極めて大きい。

 しかし、「自己管理力」が不十分で、スーパーバイズが必要な人は、リモートワークによってかえって生産性が下がるだろう。スーパーバイズが不十分で、業務上のミスやトラブルが発生すれば、かえって個人や全体の生産性を毀損させてしまうリスクもある。

 つまり、リモートワークを一律に考えるのではなく、「個の経験値」と「自己管理力」をしっかり見定めたうえで、「リモートワークの位置づけと運用」を考える必要があるのだ。

 では、リモートワークに「向く人」と「向かない人」の分岐点とはどのようなものなのだろうか。

 リモートワークに「向く人」と「向かない人」1つ目の分岐点は「『自己管理』がしっかりとできるかどうか」である。

■リモートワークは「自由度」が高まる分「規律」が必要

【分岐点①】「自己管理」ができるか
 リモートワークとは、単に働く「場所」が変わることではない。仕事の「管理の仕方」が根本的に変わるのである。

 オフィスで働くのであれば、上司(管理職)が目を光らせ、仕事の進捗度合いや業務品質をチェックする。しかし、リモートワークにおける「ボス」はあくまでも自分自身である。自分で「仕事を設計」し、自分で「管理する」のが基本である。

 リモートワークによって働き方の「自由度」は高まるが、だからといって自由気ままに仕事をしたのでは、生産性も品質も高まらない。

 リモートワークで成果を出すためには「規律」が必要である。例えば、「規則正しい生活を心がける」「『報連相』(報告・連絡・相談)をこまめに行う」「業務日誌をつける(何をしていたのかを記録する)」などだ。

 こうした「規律」は、「会社や上司のため」に存在するのではない。あくまでも、「自分で自分を律するため」のルールなのである。このルールを管理できるかどうかが、大きな分岐点になる。

【分岐点②】「指示なし」でも動けるか

 これまでは、言われたことをまじめにコツコツこなし、みんなと仲良くやっていければ、それなりに評価された。しかし、時代は大きく変わった。 

 いま求められている人材は、「新たなレールを敷ける人」「新たな車両を造ることができる人」​である。自らの意見を持ち、積極的にアイデアを出せる人でなければ、高い評価は得られない。

 日本電産の永守重信会長兼CEOは、こう語っている。「私は、テレワークは日本人に向いていないと思っていました。というのも、日本人には指示待ち型が多いからです。

 子どもの頃から親や先生に言われたことに従うのを是とし、自ら何かを始めようとしない。会社員になってからも、大部屋に机を並べて、何かあれば、すぐ上司にうかがいを立てる。でも、テレワークなら上司の顔色を見て仕事をすることもなくなるので、指示待ちから変わるかもしれない」。

 リモートワークでは自分の意志や意見を持ち、それを自分の言葉と行動で表現できる人間が求められているのである。リモートワークで成果を出せるかどうかの2つ目のの分岐点は「上司の指示待ちのまま」か「自己主張できるか」である。

 大半がリモートワークでできる仕事でも、すべての業務がリモートワークで対応できるわけではない。なかにはリモートには不向きだったり、不可能だったりするものもある。これからは「オンライン」と「オフライン」の賢い使い分けが必要になってくる。

【分岐点③】「オンライン」と「オフライン」の使い分けができるか
 これまでは「オフィスに行くこと」「対面で仕事をする」、いわゆる「オフラインでの仕事」というのが唯一絶対の選択肢であり、それが当たり前だった。しかし、そこにオンライン、リモートワークという「新たな選択肢」が加わった。

 オンラインは機能的な業務やコミュニケーションをサクサクとこなすのに適している。日常的なオペレーションの多くは、「オンライン」「リモート」で効率的にさばくことができる。

 しかしその一方で、自由に意見を述べ合う「ワイガヤ的な会議」は、議論が深まらないのでオンラインは向いていない。全体の雰囲気を感じ取りながら、方向性を見出していくファジーな議論や新たなものを生み出すためのクリエイティブな議論は、対面のほうが効果的だ。

 これからは、仕事に応じて「出社するのか、在宅でいいのか」「オフラインで行うべきか、オンラインで済ますか」と、時と場合によって、賢く使い分けていくことが求められている。この臨機応変な対応が分岐点になるだろう。

■「コロナ後の新しい働き方」を身に付けた人が成功する

 コロナ禍の中でも、オンライン化やリモートワークがまったく進んでいない会社も依然として多い。また、リモートワークを補助的なものとして、緊急事態宣言解除後、以前のスタイルに戻った会社もある。

 あるいは、これまではオフライン一辺倒だったので、「オンラインには向いていない」と、いままでの殻に入ったままで、自分で「可能性」を潰してしまっている人も多い。

 しかし、たとえ今回のコロナが収まったとしても、今後また同じようなことが起きる可能性は高い。

 これからは、オンラインやリモートワークを賢く使いこなすのを「デフォルト」(定番)と位置づけ、それらが不向きな場合にのみ、出社したり対面で行うという「新たな働き方」を私たちは身につけなければならない。

 オンライン化やリモートワークを単なる仕事の方法論の話として片付けてはいけない。その本質はもっと深いところにある。

 つまり、「自己管理力」を高め、「自律した仕事のやり方」を確立し、「創造的なアウトプット」を生み出すことができる人材に変わることができるかどうかが試されているのだ。「コロナ後の新しい働き方」を身につけた人だけが生き残り、稼ぎ続けることができる世の中になっていくのは間違いない。

東洋経済オンライン

関連ニュース

最終更新:8/5(水) 5:55

東洋経済オンライン

投資信託ランキング