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猫の死体、大量の楽器…5万円の「ゴミ屋敷」物件片付けに密着《楽待新聞》

8/5 20:00 配信

不動産投資の楽待

収益物件は、できるだけ安く買いたいものだ。だが、安い物件には問題がつきもの。「残置物」が大量に残されている、というのもそのうちの1つだろう。

千葉県を中心に戸建てを8戸所有する不動産投資家・エリックさんが7月、5万円で買ったのもそんな物件だった。残置物どころか、自分の背丈を超えるほどにゴミが積まれているのが物件の外からでも見てとれる「ゴミ屋敷」。そのゴミ屋敷物件を自分たちの手で片付けることにしたと聞き、その模様に密着させてもらった。

■5万円で買った物件は、玄関からゴミの山

千葉県某所にある築約35年で、約50平米という平屋。この物件を買った不動産投資家のエリックさんは、「ネット上に掲載されていたのですが、『土地』として50万円で売られていたものを指値して、建物ごと5万円で購入しました」と話す。汲み取り式トイレであるなどのデメリットはあるものの、駅から徒歩数分で、かつ小学校も近い好立地ということもあり、「スペックはなかなか悪くないと思いました」。

だが、ライバルが現れることもなく、その安さで買えたのにはもちろん理由がある。この物件、近所でも有名な「ゴミ屋敷」だったのだ。居住者はすでにいない空き家だが、ゴミに阻まれて中を見ることができなかったため、そのまま決済を迎えたというエリックさん。無事に引き渡しを終えたその日、物件に初めて足を踏み入れることに。

「ゴミ屋敷だということはわかっていたけど…これはヤバい」

入口をふさいでいたベニヤ板をインパクトドライバーを使って外すと、そこにあったのはゴミの山だった。まずこのゴミを片付けなければ、物件に入ることもままならないようだ。

■売り主は「相続財産管理人」

近所に住む人の話によると、この物件の前の居住者は、60代くらいの男性。1人暮らしだったが、数年前に交通事故で亡くなったという。その前からゴミ屋敷状態が続いていたというが、近隣住民が何を言っても状況は改善しなかった。そのうち、建物からゴミがあふれて道路の真ん中あたりまで散乱するようになったため、近隣住民がベニヤ板で入り口をふさいだのだそうだ。

男性に身寄りがなかったのか、あるいは相続人が相続放棄をしてしまったのか、この物件は男性の死後、「相続財産管理人」として選定された弁護士が処分を請け負うことに。弁護士が売却先を探していたところ、エリックさんが5万円で購入したという流れだ。

なお、相続財産管理人が物件を売却する際には、その取引が適正であるかどうかを確認するため、家庭裁判所の許可が必要となる。エリックさんも、購入を決めてから家庭裁判所の許可を得るまで、2週間ほど待たされたと話す。結局は、ゴミ屋敷であることや、長期間買い手が見つからなかったことも考慮されたのか、無事に5万円で購入することができた。

■大量の楽器に空き缶、五月人形…日本刀も発見

今回、エリックさんは友人らに手伝ってもらい、ゴミ屋敷を片付けていくという。ビニール手袋や防塵マスクなどを身に着けると、物件に入ってゴミをかきだしていくチームと、自治体のルールに則って分別するチームに分かれて、作業を開始した。

ゴミの中でも多かったのは、アルコール類の空き缶や空き瓶。大量の古いレコードのほか、ギターやアンプもいくつも見つかり、ドラムセットも出てきた。作業を見ていた近所の人が、「(前の住人は)昔バンドマンだったという話を聞いた」と教えてくれた。ベビーバスや五月人形などもあったが、長いこと放置されたためか、人形の首は取れてしまっていた。

作業開始から少し経った時、真贋はわからないものの、日本刀が見つかった。捨てるわけにもいかず、いったんゴミとは別の場所へよけておく。後日、警察に届けたそうだ。エリックさんは「真贋問わず、刀類は警察に届ける必要があるそうです。事前に交番に『警察に届け出るために持ち歩く場合は、銃刀法違反にならない』とは聞いていましたが、ちょっとびくびくしながら警察署に持ち込みました」と話した。

■猫の死体も発見しながら作業を進めていくと

ゴミを分別しながら室内を掘り進めると、半分白骨化した猫の死体ミイラが複数見つかる。ミイラ化しているものもあった。室内にはキャットフードのパッケージが多数散乱していたが、前の住人が猫を飼っていたのか、それとも野良猫に餌をやっていたのかはわからなかった。

さらに作業を続け、ようやく2部屋目の大きな荷物をおおかた片付けることができた。奥に進む道ができたため、奥の部屋を確認する。奥にあったのは風呂場とほかに2部屋。風呂場は黒いカビに覆われ、蜘蛛の巣がそこら中に張られていた。廊下もすべてゴミで埋め尽くされている。寝室として使っていたらしい一番奥の部屋は、「寝床」にしていた部分だけ空間ができていた。

「ようやく、この物件の間取りが3DKだということがわかりました」とエリックさんは苦笑いする。

その後もひたすらゴミの分別、クリーンセンターへの持ち込みを重ね、ようやく部屋の全貌が見えるところまで片付けることができた。あと数日でゴミの片付けは終了する予定だ。リフォームを見据え、ダメになっていた床板もはがした。

■「依頼するのはもったいない」、気になる費用は?

今回、ゴミ屋敷の片付けのためにかかる費用はどのくらいなのだろうか。まだすべてのゴミが片付いていないため概算ではあるが、「ゴミをクリーンセンターに持ち込むのに総額10万円弱、手伝ってくれている友人は時給1000円で、複数人、複数日にまたがっているので総額はだいたい13万円くらい。そのほか雑費を合わせても、今回の片付けでは総額30万円弱くらい」とエリックさんは見ている。

一方、業者に依頼する手もあるが、「これまでの経験上ですが、このゴミの量ですから、50万~70万円くらいになるかもしれません」。もちろん労力はかかるが、「今後ゴミ屋敷を買ったとしても、業者に依頼する選択肢はありません。頑張ればできることを、お金をかけて依頼するのはもったいないと思います」という。

今回、この物件を5万円で購入したエリックさんだが、「5万円じゃなければ買わなかった。もしもう一度同じ物件が5万円で買えるなら、買います」と話す。だが、「自分でやったからこそですが、基本的にゴミ屋敷物件は購入をオススメしません」とも。

「ゴミの撤去費用として50万円以上を業者に支払って、さらにリフォームでもお金がかかる。採算としては合わないですよね。私はTwitterや運営するブログのネタにもなるし、時間もあるし、手伝ってくれる友達もいる。そして、みんなで共有するこの時間が楽しくて、物件再生を頑張っています」

エリックさんによると、この近隣の新築アパートの家賃相場は7万~8万円。「需要は高いのに、供給がなかなかない場所なんです。だから、この物件はがっつり綺麗に直して、4万5000円、できれば5万円で貸したいと考えています」とエリックさん。リフォームもDIYで行う予定だが、40万円ほどかかる見積もりだそうだ。

■相続財産管理人から物件を買う場合の注意点

前述の通り、今回の物件は物件の所有者が亡くなり、相続人もいなかったため、「相続財産管理人」として弁護士が選定されていた。自身も相続財産管理人として物件を売却した経験のある丸の内ソレイユ法律事務所の阿部栄一郎弁護士によると、こうした物件が売り物件として出ているケースはあまり多くはないということだが、相続放棄されるなど事情があり、買い手が見つかりづらいことから、「実勢価格よりは安く買えるケースが多いです」と言う。

条件によっては投資家にとって「お宝」となる可能性も秘めているものの、基本的には売り主である弁護士が「契約不適合責任(瑕疵担保責任)」を一切負わない契約になることがほとんどであるため、リスクは十分にあることを念頭に置かなければならないだろう。



今回エリックさんが購入した物件の近隣に住む人は、「この辺りは空き家が多い。ゴミ屋敷もそうだし、修繕もされていない家もあるから、危なくて本当に困っている」とこぼす。エリックさんのように物件を購入し、生まれ変わらせる動きは「ありがたい。助かります」と歓迎している様子だ。

他方、投資家であるエリックさんは、こういった空き家物件にチャンスを見出す。「空き家が多いのはありがたい状況。直せる人は限られるので、直せる自分が安く買って、直して、貸し出していきたいです」。

不動産投資の楽待

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最終更新:8/5(水) 20:00

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