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外国人シェアの高まりで、観光業のコロナ影響は長期化(観光庁「宿泊旅行統計調査」)

8/2 15:30 配信

週刊 金融財政事情

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、最も大きな影響を受けた業態の一つが観光業である。観光庁の「宿泊旅行統計調査」によると、2020年5月の延べ宿泊者数は日本人が前年同月比▲81.6%、外国人で同▲98.6%と大幅な減少だ。感染拡大防止のために入国規制を実施していることから、特に外国人の減少が著しい。
 そこで、同じく観光業に大きなショックが起き、外国人客数への影響の大きさが目立った東日本大震災のときを参考にして検証したい。当時、延べ宿泊者数が最も落ち込んだのは、日本人が11年3月で同▲24.8%に対し、外国人は11年4月で同▲81.7%に達した。
 このときは、日本人と外国人で、旅行需要の回復スピードに差が見られた。11年3月に落ち込んだ日本人の延べ宿泊者数(筆者作成の季節調整値)は、自粛ムードの緩和につれて、11年7月には震災前の水準に復帰した。一方、外国人の訪日旅行の戻りは鈍く、震災前の水準を取り戻したのは12年12月であった。原発事故による風評被害が大きかったと考えられ、外国人客数の回復には日本人客数よりも長い時間を要した。
 今回のコロナ禍でも、外国人客数の回復は遅れることになる可能性が高い。特に、感染拡大が世界的に広がっているため、入国規制の解除は慎重に進めざるを得ない。
 ここ10年で観光業の外国人シェアは大きく高まった。政府がインバウンド誘致を積極化してきたこともあり、外国人旅行者の比率(延べ宿泊数ベース)は、10年の7.5%から19年に20.2%へと上昇した。
 外国人シェア(19年)が高いのは、東京都(38.6%)、大阪府(38.2%)、京都府(35.4%)、山梨県(26.1%)だ。外国人に人気の「ゴールデンルート」にある地域で特に高い。また、ここ10年でシェアを大きく高めた県として、香川県(10年1.7%→19年15.4%。以下同)、奈良県(2.4%→19.8%)、佐賀県(1.9%→14.0%)、沖縄県(3.5%→22.5%)が挙げられる。香川県における芸術イベントのプロモーションをはじめ、各地方自治体がインバウンド誘致に工夫を凝らし、地域経済において存在感を高めてきた。
 外国人の存在感が大きくなった分、その需要がコロナによって蒸発したことのインパクトも大きくなる。コロナショックの深さや長さ、回復の遅れが予想される外国人旅行需要の3点により、観光業への悪影響はかつてない大きさへと膨らむことになるだろう。(「週刊金融財政事情」2020年8月3日夏季特大号より転載)

週刊 金融財政事情

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最終更新:8/2(日) 15:30

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