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ZARA、H&M、ユニクロ...女子が「IKEA」化するお店を好むワケ

8/2 9:01 配信

マネー現代

(文 ペ・リョソン) 現在、ジュネーブビジネススクール・バルセロナ校でMBA取得を目指しながら、Forbes JAPAN Webなどでコラムを執筆するペ・リョソンさん。

 日本、韓国、アメリカ、イギリス、スペインでの居住経験があるペさんは、国や宗教ごとに好まれるメイクやファッション、インテリアなど、その多様性を観察し、それぞれ異なるトレンドに刺激を受けてきたといいます。

 そんな彼女が、「買い物」に注目する中で見つけた、店舗の大小にかかわらず、世界中の女性を無意識に惹きつけるポイントとは? 

女性がファストファッションにハマる理由

 筆者がバルセロナのビジネススクールに通っていた頃、通学路にはZARAやH&M、Bershkaなど大手ファストファッションブランドが並び、よく購買意欲を掻き立てられたものだった。この通りは、いつも人がレジの前で長い列を作っているのが外からもわかるほど、観光客や地元の住民で終日賑やかだった。

 なぜ女性たちはそれらのブランドに、惹きつけられるのだろうか。最近のファストファッションはセールでない限り、破格な商品は見つけにくい。安さが売りの1つだが、物によっては1万円を超える商品もある。バルセロナの場合、チェーンのファストファッションでなくても、オシャレでより手頃な品が揃った中小のお店がたくさんある。

 それでも多くの女性が中小規模の店に見向きもせず、常にZARAやH&Mばかりに足を運びショッピングをする理由がいまいちわからなかったが、多国籍な若者たちとショッピングを重ねることによって、そこには決定的な理由があると気づいた。

 一つは洋服の種類の豊富さだ。あなたの家から一番近いZARAを一度想像してほしい。世界中どこの店舗もそこそこの広さと豊富な品揃えではないだろうか。

 特に、ヨーロッパの女性はほぼ毎週少しずつ入れ替わるZARAの商品をチェックするのを楽しんでいる。観光客にとっては、自国に同じ店舗はあれど、国ごとに異なる商品や高い更新頻度のおかげで、旅行先で新しいものに出会えるようになっているのだ。

 現在はコロナショックによるアパレル業界全体の落ち込みや、その前から懸念されていたCSR課題もあり、ファストファッションビジネスについて厳しい評価がしばしば出回っている。ニーズ以上の洋服の生産が汚染と長時間労働問題に繋がり、今後生産量と適正在庫、そしてフェアな労働環境の見直しが求められている。

 このような問題がいくつかのファストファッションブランドで懸念されつつも、バラエティに富んだ品揃えは、間違いなく女性たちの興味心を刺激しているのだ。

何があるか、わかりやすく伝える「ブランディング」

 ファストファッションには人気の秘密がもう1つある。それは、その店に何が置いてあるかわかる「ブランディング力」だ。ZARAの場合はモードや奇抜なデザイン、H&Mはシンプルに手がけたカジュアルからクラシックまでの幅広いスタイル、Bershkaはターゲット層若めの派手なスタイルなど、それぞれが提供する商品の傾向を、わかりやすくショーウィンドウや広告から伝えている。

 「(ファストファッションのお店は)どんな商品があるか大体わかるから、自分が探しているものが見つかるかもしれない」と思い、女性たちは集まるのだ。

 西洋のブランドから少し離れてみよう。

 ショッピング大国の韓国、ソウル市内の弘大(ホンデ)にあるピアス屋「時空間(シコンガン)」は、まさに2つの要素である「品揃え」と「ブランディング」をクリアし、大成功した。時空間(シコンガン)は、アクセサリー屋でありながらも、図書館のような落ち着いた雰囲気の店内に、ずらりと本のように上から下まで、壁一面にピアスが並んでいる。
(「時空間」のインスタグラムでは店内の様子がうかがえる)

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 . / 시 공 간

시공간 時空間(@sigonggan_official)がシェアした投稿 - 2020年 3月月15日午後9時56分PDT

 あまりの人気のため、弘大市内に3つも店を構えている。日本人観光客も多く押し寄せ、店内を移動するにも一苦労なほどである。一度入ると、女性たちは食い入るようにぎっしり並んだピアスを一つ一つ吟味し、お気に入りを見つける。

 日本のアパレル業界を牽引する大手ファストファッションブランドのユニクロも、同じように思える。豊富な品揃えはもちろん、機能性の高いシンプルなデザインの商品で、グローバルに人気を得ている。大阪茶屋町にある店舗は、他と比べて段違いな規模に加え、ユニクロのアイコニック商品の一つと言えるキャラクターコラボTシャツの奇抜な展示エリアで、観光客からの人気を集めている。

 ユニクロやGUは、トレンドを抑え多種多様なスタイルの商品を数多く揃えた、ある種の「宝探し型ストア」のように思える。

 ここまで出てきたブランドの特徴(圧倒的な物量と、わかりやすいブランディング)を考えると、業種は違えど、ある企業を思い出す。スウェーデンの大手家具メーカーIKEAだ。安価でおしゃれなインテリアや家具を大量に提供するIKEAには、国を問わずどの店舗にも多くの人が毎日押し寄せる。豊富な品揃えに加え、一貫したシンプルな北欧ならではのデザインが、人々を惹きつけているのだろう。

 ZARA、H&Mから「時空間」、ユニクロ、GUに至るまで…、世の中の女子に人気な店は、まるでIKEAのような店ばかりではないだろうか。はっきりとしたブランディングに豊富な品揃え、女子のニーズを掴むこれらの2つの要素がクリアされた店が、大企業であれ中小企業であれ最終的に女性たちを惹きつけると思える。

 近年、人が集まる店はどんどん「IKEA」化しているのだ。

店一つで戦わない方法、エリア全体で勝つ

 韓国のソウルにある梨花女子大学に1年間交換留学をしていたことがある。印象的だったのは、とにかくどこも観光客が多いということだ。韓国を代表する聯合(YOHNAP)ニュースによると、2019年には韓国に1535万人もの観光客が訪れたそうだ。

 放課後に大学前のショッピング通りを歩くだけで、道がショッピングをする観光客でいっぱいだった。梨花女子大学の場合、大学自体がもともと観光スポットとしても知られているため、大学周辺は毎日多くの人で賑わっていた。

 ソウルには買い物を目的にする観光客たちが、集中するエリアがいくつかある。明洞(ミョンドン)、弘大(ホンデ)、カロスキル、江南(カンナム)などだ。観光客は特定の店に行こうという目的で、これらの町に向かうわけではない。そのエリアに集結した、多くの小さな店を巡回するのを楽しむためである。

 エリアごとに、少しずつ価格帯や商品のテイストが異なり、街全体が小さな店で成り立ち、選択肢を含んでいるのである。IKEAやZARAのように、「1つの店の中」で迷うのではなく、韓国の場合は「1つの街の中」に選択肢が凝縮されているのだ。韓国の賑やかなショッピング通りには、ついつい立ち寄りたくなるお店が多いのだ。

女子をおびき寄せるショッピング戦略

 「今週のZARAの新商品は別にだったわ」「買い物しに韓国に行きたい」「とりあえずIKEAに行ってみよう」など、世界中どこにいても女性の会話の中心はショッピングである。新生活の準備をしにIKEAに行く学生たち、SNSで欲しい化粧品を見つけ韓国のショッピングサイトを漁る日本人たち、季節の変わり目にZARAの新シリーズをチェックするヨーロッパの女性たち、常に彼女たちの頭の中には、ニーズにごとに異なるお決まりの場所がある。

 爪痕を残すことに成功したブランドや地域の裏側には、幅広い選択肢とブランディング力があった。Eコマースの場合も、ネットショッピングを多くの女性たちに利用してもらうには、便利で安全なサービスに加え、豊富な品揃えとブランディング力が重要になってくるのではないだろうか。

 自分の「好き」を自ら見つけて、未知の領域にわざわざ冒険する女性は、筆者の周りで見ると近年少ないように思える。SNSの広告や口コミをツテに、自分の好みとフィットするブランドイメージを持つ店を見つけ、女性たちはやっと買い物を始めるのだ。

 世界の女子たちにとってショッピングは、「手っ取り早い宝探し」なのかもしれない。そのためには、惹きつけられるブランドイメージと、たっぷり迷える品数を持つIKEAのような「宝探し型ストア」であることが、店を経営する上での成功の鍵なのではないだろうか。

マネー現代

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最終更新:8/2(日) 11:35

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