IDでもっと便利に新規取得

ログイン

【米国株動向】マイクロソフトとHPを比較

8/2 12:00 配信

The Motley Fool

モトリーフール米国本社、2020年7月19日投稿記事より

ソフトウエア大手のマイクロソフト(NASDAQ:MSFT)とコンピュータおよびプリンターの開発・製造などを行うHP (NYSE:HPQ)は、米国の大手テクノロジーを象徴する企業です。

マイクロソフトはWindowsとOfficeでパーソナル・コンピュータの概念を変え、HPはシリコンバレー初のテクノロジー・スタートアップから、世界的なコンピュータ・メーカーへと成長しました。

しかし、ここ5年でマイクロソフトの株価が340%上昇したのに対し、HPの上昇率は30%にも届いていません。

マイクロソフトは、サティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)のもとでクラウド事業を成長させ、株価は再び上昇基調にあります。

一方でHPは、2015年にエンタープライズ事業を中心とするヒューレット・パッカード・エンタープライズ(NYSE:HPE)と分社して以降、PCおよびプリンター事業で投資家を満足させる業績をあげていません。今後数年間、このトレンドは続くのでしょうか。
新たなCEOの元で復活を遂げたマイクロソフト
2014年に就任したナデラCEOのもと、マイクロソフトは「モバイル・ファースト、クラウド・ファースト」のスローガンを掲げ、WindowsとOfficeへの依存度を下げました。

同社は、ローカルで利用していたWindowsとOfficeをクラウド・ベースへ移行させ、iOSとアンドロイドでのモバイル・アプリを発売し、さらにクラウド・インフラのプラットフォーム、Azure(アジュール)の拡大してきました。

さらにSurface製品のラインナップを広げ、Xboxゲームのエコシステムを拡充させました。

新戦略により、一度きりのインストールから継続的なサブスクリプションへとビジネス・モデルが移行したため同社の売上は一時的に落ち込み、投資増により利益成長も落ち込みました。

しかし新たな戦略は徐々に身を結び、2018年、2019年には2桁台の売上成長を記録しました。

2020年1~3月期のOffice 365やDynamics 365、Azureなどの“コマーシャル・クラウド”の売上は39%増の133億ドルで、同社売上の38%を占めました。

Azureは現在、アマゾンのアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)に次いて世界2位のクラウド・プラットフォームとなっています。

【米国株動向】ハイテク大手のマイクロソフトとオラクルを比較
HPは、CEOの退任と敵対的買収の脅威に見舞われる
HPは分社化後、パソコン・プリンター事業のトップだったディオン・ワイズラー氏がCEOとして同社を率いてきました。

同氏は低迷するパソコン事業に、デザイン性に優れたハイエンドのウルトラブックや2in1シリーズ、ゲーム用パソコンなどを投入して、活性化させました。

さらに同氏は産業用3Dプリンター市場への参入や、韓国のサムスン電子(KS:005930)のプリンター事業などの買収などを指揮し、プリンター事業の拡大を図りました。

これらが功を奏し、売上は2017年に8%、2018年には12%上昇しました。

しかし2019年には同社製パソコンとプリンターに対する需要が鈍化し、売上成長は1%未満に留まりました。

プリンター事業の低迷が特に不安視されているのは、利益率の高い同社のサプライ製品が、ジェネリックのインクやトナー・メーカーの台頭で足場を失いつつあるためです。

利益率の高い製品の売上が下がりつつあることで、同社の利益成長は落ち込んでいます。

そして2019年後半、ワイズラーCEOはプライベートな事情により退任しました。

さらに、新型コロナウイルス感染症大流行によるPCの需要急増に対しては、同社のサプライ・チェーンが混乱をきたしたため、十分に応えることができませんでした。

加えて同社は今年初め、ゼロックス(NYSE:XRX)による敵対的買収を拒否しています。

【米国株動向】第2四半期のPC出荷台数は一転増加
逆風に見舞われるのはどちらか?
マイクロソフトの2020年度第3四半期(4~6月期)までの9カ月間の売上成長率は前年同期比14%、利益成長は同28%でした。

第4四半期のガイダンスは発表されていませんが、アナリストは通期での売上は前年比12%増、利益は同20%増を予想しています。

今年これまでに同社は、新型コロナ大流行によりWindowsライセンスやゲーム向けのハードウエア、Surfaceデバイス、検索連動広告の売上は落ち込んだと警告していましたが、その落ち込みをクラウド・サービスの売上成長が補完しています。

ウォール街は、同社のモメンタムは来年も続き、売上は前年比11%増、利益は同10%増と予想しています。

一方で2020年度上半期のHPの売上は前年同期比6%減、利益は同3%減でした。

パソコン売上は年初こそ安定していたものの、新型コロナ大流行によりサプライ・チェーンが打撃を受けた第2四半期は落ち込みました。

プリンター売上は、ハードウエアとサプライ品への需要が軟調だったことで、上半期を通してふるいませんでした。

同社は2020年度の通期予想を出していませんが、アナリスト予想は売上が前年比8%減、利益は同6%減となっています。

2021年度は売上が前年比横ばい、利益については経費節減や自社株買い戻し、さらに比較対象となる2020年度の不振などにより、同11%増を予想しています。
バリュエーションと配当
マイクロソフトの予想利益に基づく株価収益率(PER)は33倍で、予想配当利回りは1%です。一方HPはPERが7倍、予想配当利回りは4%近くとなっています。

バリュー志向の投資家であれば、HPの低バリュエーションや高配当利回りに注目するかもしれません。

ですが株価低迷には理由があります。

売上は停滞し、プリンター事業は苦戦し続け、さらに新CEOは低迷する事業を活性化させるよりも大規模な自社株買い戻しに傾いているように見受けられます。

その一方でマイクロソフトが高バリュエーションなのは、核となる事業が好調なためです。

クラウド事業には今後も上振れの可能性があり、予定されているXboxシリーズXとSurfaceの新機種が、ハードウエア事業を強化すると考えられています。

つまり、マイクロソフトは将来的に、HPよりも有望だと考えられます。

The Motley Fool

関連ニュース

最終更新:8/2(日) 12:00

The Motley Fool

投資信託ランキング