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習近平が焦る…富裕層が「香港」から逃げて、シンガポールに殺到していた!

7/23 8:01 配信

マネー現代

(文 岡村 聡) 4月から継続していた世界でも有数の罰則を伴ったロックダウンが行われていたシンガポールですが、6月からようやく段階的に解除されてきています。ただ、引き続き海外渡航については厳しく規制されており、これまで世界トップレベルの高評価を得ているチャンギ空港を核に、ASEANのハブとして経済成長を成し遂げてきたシンガポールも軌道修正を余儀なくされています。

シンガポールで「預金」が急増している!

 これまでASEAN7億人の巨大マーケットをカバーする立地の良さを活かして、事業会社のアジア本社を集めてきたシンガポールですが、コロナにより海外との渡航が制限されたことでジェトロによるヒアリングでも6割以上の日本企業が今後のシンガポールの事業展開を見直すと回答していることからも分かるように、都市の在り方の変容を迫られています。

 シンガポールのハブ都市としての中核を担ってきたチャンギ空港もこれまで拡大の一途でしたが、最新の第5ターミナルの建設を少なくとも2年間中断するとシンガポール政府が発表するなど、新型コロナによりインフラ開発計画にも大きな影響が出てきています。

 一方、シンガポールの金融都市としての重要性は益々高まってきています。その証拠に、シンガポール金融管理局(MAS)によると、20年4月時点のシンガポールの外貨預金の残高は前年同月比で約4倍の270億シンガポールドル(約2.1兆円)にまで急増し、非居住者の預金残高も同+44%増の約620億シンガポールドル(約4.8兆円)に達しています。

 この急拡大の要因として、シンガポールに香港を中心としたアジア全域からのキャピタルフライトがあげられます。

 香港では民主化の維持をめぐる中国政府との軋轢が深刻になり、過去2年ほど市内では激しいデモが繰り広げられ政情不安が続いています。さらに、20年6月には香港国家安全維持法が制定され、香港への中国政府の影響がさらに強まることは間違いありません。

 こうした流れを受けて、これまで香港に資産を置いていた富裕層の間で、以前の香港と同じく税率が低く緩和的な規制で、かつ国際的な生活環境のシンガポールに資産を移動する動きが拡大しています。

 弊社で運用のアドバイスをしている日本人富裕層の間でも、これまでオフショアに口座を開く場合においてアジアでは香港とシンガポールの2択でしたが、今ではシンガポール一極集中となってきています。

 そして、この金融都市としてのプレゼンスをさらに高めるべくシンガポール政府が注力しているのがブロックチェーンです。

いまシンガポールで起きていること

 日本でブロックチェーンというと、ビットコインなど仮想通貨を真っ先に思い浮かべる人が多いでしょう。確かに、コロナ禍を受けて先進国で最も高い金利水準を維持してきた米国もゼロ金利・量的緩和という金融緩和政策に逆戻りし、グローバルでジャブジャブに法定通貨が供給される中で、ビットコインなど供給量に上限がある仮想通貨の価格も戻ってきています。

 ビットコイン価格は2017年末に2万ドルに迫ったところから、18年末までの1年で3,000ドル割れ寸前までと6分の1に急落しました。そこから再び価格がじわじわと回復してきましたが、コロナの世界的流行で今年2月後半に1万ドルをうかがうところから3月中旬には5,000ドル割れ寸前まで、半分近くに下げました。

 そして、足元では上記の金融緩和トレンドもあり再び1万ドルまで価格が戻ってきています。

「仮想通貨」で資産を運用…?

 金融緩和だけでなく、米国の主要マーケットにもビットコインの先物が上場したり、スイスでは世界初となるビットコインと連動して値動きするETF(上場投資信託)が誕生したりするなど、機関投資家の参入が拡大していることも価格上昇の背景にあります。

 私たちがアドバイスする富裕層の中でも、全資産の1-2%程度ですが仮想通貨へのエクスポージャーを持つことが一般的になってきています。また、ルネッサンス・テクノロジーズやチューダー・インベストメントといった大手ヘッジファンドがビットコインへの投資を開始したことも業界を盛り上げています。

 ただ、シンガポール政府のブロックチェーンへの注力は仮想通貨にとどまらず、送金や決済、証券の発行など金融の様々な局面において、ブロックチェーンの活用により効率化を図ろうという野心的なものです。

 シンガポールがブロックチェーンにおいて注力しているのがSTO(セキュリティ・トークン・オファリング)と呼ばれるブロックチェーンを利用した証券の発行です。仲介なしに個人対個人で交換でき、かつ履歴も把握できることから、未上場企業の資金調達やアートなど高価な一点物の所有権の交換に、ブロックチェーンを利用できないかという実験が始まっています。

 STOを取り巻く法制度も拡充してきていて、さらにシンガポールの政府系ファンドであるテマセクの子会社や、シンガポール証券取引所がSTOによる資金調達を企業に提案するICHX Tech社に出資するなど、資金面でもシンガポール政府はブロックチェーンを用いたインフラ整備をサポートしています。ちなみに、このICHXには東海東京フィナンシャルも今年の2月に出資をしています。

 ただ、シンガポール政府のブロックチェーンへの取り組みには紆余曲折がありました。

 18年にはICO(イニシャル・コイン・オファリング)の件数でシンガポールは194件と、英国(191件)やスイス(108件)、ロシア(103件)を抑えて、米国(289件)に続く世界2位でした。しかし、ICOは玉石混交、それも石がほとんどの粗製乱造ぶりで、資金調達をしたものの約束したサービスや便益が提供されず、個人投資家を含めて多数の被害を出しました。

 これを受けてシンガポール政府も法制度を拡充し、上記のSTOについても許可制となっています。

香港からシンガポールへの「流れ」は決定的に!

 今年5月には、フェイスブックが主導するブロックチェーンのプロジェクト「リブラ」に、テマセクが参加することも発表されました。リブラはビザやマスター、ペイパルなど当初の参加社から大手決済企業を中心として離脱して、一時期待が後退していました。しかしながら、テマセクだけでなくEC大手のショッピファイなど新規参加企業も再び増えてきており、少しずつ関心も戻ってきています。

 まだ、具体的な利用シーンは発表されていませんが、シンガポール政府としても東南アジアにはまだまだ国際決済ネットワークに参加していない銀行も数多くあり、アジアを中心として様々な国からの労働者が集まり、国際送金需要も膨大であるシンガポールの特性から、既存の金融ネットワークでは対応が困難、もしくは非効率な国際送金などの分野から活用することを想定しているようです。

 シンガポールでは、ブロックチェーンだけでなくキャッシュレス決済などフィンテック全般にも注力しています。シンガポールの大手銀行がほぼ全て参加しているPayNowでは、携帯電話の番号、もしくはIDカードの番号を登録しておけば、異なる銀行間でも決済手数料がタダで、即時に個人間で送金できます。

 コロナによるロックダウンでデリバリーサービスを頻繁に利用しましたが、零細業者でもこのPayNowで決済出来て便利でした。

 ブロックチェーンを軸として、シンガポールはフィンテックに注力することで、この数年の間に香港を大きく突き放してアジアでは断トツ1番の国際金融都市となることを目指しています。

マネー現代

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最終更新:7/23(木) 8:01

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