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トルコリラは犠牲祭前で底堅いが、アヤソフィアのモスク化は長期的にマイナス

7/15 14:06 配信

ザイFX!

■世界遺産アヤソフィア博物館のモスク化を発表
 トルコは、先週(7月6日~)から再び世界メディアの注目を浴びています。エルドアン大統領は10日(金)に、イスタンブールにあるアヤソフィア博物館を、モスクにすることを発表しました。

 アヤソフィアは、1500年の歴史を持つ世界遺産ですが、6世紀にビザンツ帝国が建立し、約900年間、帝国内最大の聖堂として使用されてきました。

 1453年にオスマン帝国は、当時コンスタンティノープルと呼ばれたイスタンブールを征服した時にアヤソフィアをモスクに変え、1930年までモスクとして使われました。オスマン帝国の崩壊後に建国されたトルコ共和国は、ムスタファ・ケマル・アタテュルクの近代化革命で世俗主義を国家方針とし、アヤソフィアも1930年に閉鎖され、修復作業が始まりました。

 アヤソフィアが再びオープンされたのは5年後でしたが、修復作業でキリスト教のモザイクなどが表示されるようになったため、モスクとしてではなく、博物館として再オープンされました。

 その後、イスタンブールの主要な観光スポットのひとつとなり、トルコの寛容な文化や異宗教共存の象徴として親しまれてきた文化遺産です。

■エルドアン政権がこのタイミングでモスク化したワケは? 
 エルドアン政権の今回の決断に対して、国際社会は反発。ギリシャ正教にとってアヤソフィアは大事なシンボルなので、一番激しく批判したのはギリシャでした。

 バチカンのフランシスコ教皇は、「アヤソフィアの判断は、大変悲しく思う」と話していて、米国のポンペオ国務長官をはじめ、主要国からも非難が相次ぎました。ユネスコの世界遺産登録が削除される可能性さえ出ています。

 なぜ、エルドアン政権は、このタイミングでアヤソフィアのモスク化を決めたのでしょうか? 

 これを理解するには、エルドアン大統領が育った政治的な環境を知る必要があります。

 エルドアン大統領のようなイスラム主義者にとって、アヤソフィアのモスク化は念願です。

 彼らはそもそも、アタテュルクの世俗主義改革に反対していて、アヤソフィアが博物館になったことを一種の裏切りとみなしています。アヤソフィアのモスク化は、景気後退とコロナパンデミックで苦しんでいるエルドアン大統領の支持基盤に対する最大のアピールであり、イスラム世界に対するメッセージでもあります。

■犠牲祭前の買い物ニーズにより、トルコリラは目先底堅い
 今週(7月13日~)のトルコリラですが、米ドル/トルコリラは、6.86リラ水準、トルコリラ/円も15.60円程度で推移していて、先週(7月6日~)からほとんど変わっていません。

 アヤソフィアのモスク化の決断は、トルコリラの下落をもたらすと懸念されていましたが、トルコ中銀の直接為替介入が効いていて、トルコリラが下がるような事態にはなっていません。

 前回のコラムでも伝えたように、今月(7月)末は犠牲祭(クルバン・バイラム)があり、その前の買い物ニーズでトルコリラは底堅く推移すると予想しています。

 アヤソフィアのモスク化は、短期的な影響より長期的に、トルコにとってマイナスインパクトが大きくなるでしょう。

 トルコは、米国やEU(欧州連合)との関係悪化に加え、ロシアとも関係が急速に悪化してきていて、外交政策の方向感が見えないのが大きなリスク要因です。

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最終更新:7/15(水) 14:06

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