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感染者はゾンビに!ビル・ゲイツの陰謀?…新型コロナの「とんでもデマ」

7/14 9:01 配信

マネー現代

(文 村上 建治郎) 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、国内でさまざまな「デマ」が広まったことは記憶に新しい。しかし、それは日本に限ったことではなく、世界でも「感染者はゾンビのようになる」「アルコールを飲めば効果がある」などのデマが広まっていた。

 なぜ、このような「とんでもデマ」が流布されてしまうのか、どうやったらそれを防げるのか、SNSに上がる災害・危機管理などの情報をリアルタイムで配信する、株式会社Spectee(スペクティ)代表取締役の村上建治郎氏が解説する。

日本で流布した多くのデマ

 新型コロナウイルス流行による混乱が広がる中で、多くのデマが流布しました。

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◇「コロナウイルスは熱に弱く、26~27度のお湯を飲めば予防になる」というデマが流布し、中には「武漢在住のコロナウイルス研究者がそう主張している」という情報が添えられたパターンもあった。
◇香川県高松市にあるスーパーは、店舗の関係者が感染したというデマがインターネット上に書き込まれた結果、系列の7店のうち6店では前年比で1割売り上げが上がったのに対して、デマを流された店舗だけは10~15%ほど売り上げ減となった。
◇鳥取県米子市の米子医療生活協同組合に勤務する職員が、「トイレットペーパーが品薄になる」というデマを投稿、買い占めを誘発した。
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 なかでも、3月下旬に流れた「4月1日から東京がロックダウンされる」というデマは、接された方も多かったかと思います。

 現在の日本の法律の下では、欧米で行われたような強制力をともなうロックダウンはそもそも不可能ですが、多くの方が不安な心理を抱えた中で、一定のリアリティをもって拡散されました。

 そして、後に詳述しますが、SNSが普及した現在、デマは凄まじいスピードで広範囲に広がってしまいます。

海外の「とんでもデマ」

 海外ではどうだったのでしょうか? 
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◇マレーシアでは、「新型コロナウイルスに感染すると、ゾンビのような状態になる」というデマがひろがり、保健省がそれを公式に強く否定する声明を発表した。
◇イランでは「アルコールを飲むとウイルスの治療に効果がある」というデマがインターネットで拡散され、それを信じて密造酒を飲んだ27人がメタノール中毒で死亡した。
◇アメリカでは、新型コロナウイルスのウイルス株について既にビル・ゲイツ財団が特許を保有しており、かつ、ビル・ゲイツは過去に6500万人の死者が出ることを予測していた、という陰謀論が広がった。
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 その他にも「コウモリのスープを飲むことで感染が広がった」「聖母や聖人の像の手にキスをしても感染することはない」「カザフスタン人が、ウイルスの感染拡大を理由に同国の中国人のレストランや家に放火し、破壊している」などなど。

 洋の東西を問わず、デマ情報は大きく分けて、(1)騒いで世間からの注目を浴びたい「オオカミ少年型」(2)特定の人をおとしめる「ヘイト型」(3)聞いたり見たりした情報を勘違いして広まる「勘違い型」(4)情報の広まりとともに尾ひれがついて話が変わる「伝言ゲーム型」……、の4つに分類されるものとスペクティでは分析しています。

デマが流布される心理的要因

 なぜこのように世界中でデマが流布されてしまうのでしょうか? 東京大学大学院の橋元良明教授によると、5つの心理的な要因が背後にあるといいます。

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(1) 緊張や不安といったネガティブな感情を解消させるための「カタルシスの発散」
(2) 不安で落ち着かない理由を何とか見つけようとする「不安の正当化」
(3) 誰かと不安を共有したいという「運命共同体の意識を形成する心理」
(4) 自分だけが知っている情報を流したいという「優越感の誇示」
(5) 自分が聞きかじった情報の真偽を確かめようと流言してしまう「情報の確認・交換」
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 いずれも、正確な情報がわからない、自分に被害が及ぶのではないか、という「不安心理」が背景にあることがわかります。

 このような事態を受け、WHO(世界保健機関)の世界的感染症対策チームのトップを務めるシルヴィー・ブリアン氏は、「情報が感染症のように拡散する状況です。この状況を我々は“インフォデミック”と呼んでいます」と述べています。

 このインフォデミックとは、インフォメーションとエピデミック(流行)を組み合わせた新語で、裏付けのない情報が大量に拡散する状況を指します。特にSNSが発達した現在、その拡散するスピードと範囲は以前と比べものにならないほど速く、広くなっていると言うことができます。

 こうしたデマの伝播を追っていると、SNS時代ならではの特徴が見えてきます。まず、LINEやWhatsAppといったクローズドなSNS(特定の仲間内でのみ情報やメッセージを共有できるタイプのSNS)において、ごく親しい家族や友人の間で情報が伝播していきます。

 思いやるがゆえの念のための注意喚起であったり、不確かながらも共有しておくというレベルの情報であっても、伝聞形式で伝わっていく過程で、情報伝達の意図が曖昧になったり、語尾が変化することでデマ情報が生まれてしまいます。

 クローズドであるだけに第三者のチェックが働きにくいことがこれに拍車をかける面もあります。そして、その情報がTwitter、Facebook、InstagramといったオープンなSNSに流れ出た瞬間、凄まじいスピードで広範囲に伝播していくことになります。

5つのポイントを注意して、情報に接する

 では、デマ情報を流布させないために、我々個人が気を付けるべきことは何でしょうか? スペクティでは以下の5点が重要だと考えています。

 (1) 人づての話は勇気をもって「疑う」
マスメディアによく取り上げられている有名な人が言っている、普段から信頼できる人からの情報だ、などの理由で情報を鵜呑みにするのではなく、前述した「不安心理」を我々が持ちがちであることを思い出し、疑ってみる姿勢が大切です。

 (2) 公式情報を確認する
政府機関や自治体からの公式情報は、ともすれば遅いこともありますが、それはしっかり裏を取り、細心の注意で確認をしてから発表していることの裏返しです。公式情報を確認することで真偽の確認ができるケースも多くあると思われます。

 (3) 科学的な検証がなされているかを見る
ネットメディアやブログ等の情報は、アクセス数を稼ぐために、不確かなもの、センセーショナルに書かれているものも多く存在します。本当に事実確認されているか、科学的検証がされているかを冷静に見るようにする必要があります。

 (4) 少しでも疑念ある場合、情報をシェア(リツイート等)しない
もしそれが誤った情報である場合、自分の想定を超えた範囲に広がり、社会に混乱をもたらしてしまう可能性を思い起こし、少しでも疑念がある場合や自分で判断できない情報についてはシェアやリツイートをしない、という勇気が必要です。

 (5) 情報をシェアすることは、自らも情報の拡散に加担していることを認識する
「一応親しい人には伝えておこう」「本当だといけないから念のためシェアしよう」、そういった動機でシェアをしたとしても、自分の手を離れた情報は思いもよらぬ範囲で拡散される可能性があります。善意であっても、自らが情報の拡散に加担しているということをしっかり認識することが大切です。

 見てきたように、デマはそもそも人間の心理構造から生まれるものです。そこにSNSの普及が重なってデマが流布するスピードや範囲は飛躍的に速く、広くなりました。

 それは野放しにすることで、起きている問題の影響や社会の混乱を助長させてしまう恐ろしいものでもあります。最終的には、社会の構成員たる我々ひとりひとりがデマに騙されない、そして流布させない「リテラシー」をもつことが大切になると思われます。

マネー現代

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最終更新:7/14(火) 9:01

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