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「友達以上・恋人未満」を狙え…? 日本株のプロがひっそり儲ける凄い投資術

7/13 8:00 配信

マネー現代

「友達以上・恋人未満」株投資術をご存じか…?

(文 大川 智宏) 世界各国が史上最大規模の金融緩和を実施し、カネ余りが深刻化するのと同期して、株式市場の中では「バリュー(割安)株売り・グロース(割高)株買い」の動きが強化され続けている。

 ただ、2020年も早くも半分が経過したが、今年のバリューの壊れ方は少し異常だ。

 以下の図は、東証一部上場銘柄の予想PERとPBRの高低別(4分位ロングショート)の年初来パフォーマンスである。

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図:東証一部上場銘柄 バリューの高低別 年初来パフォーマンス(TOPIX相対)
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 眺めてみると、両者の違いは明らかだ。そして、さすがに今年は異常であるにせよ、この現象はここ数年間継続しており、現在市場で起こっている過剰流動性バブルと同様に「モメンタム・バブル」といえるものだろう。

 バブルである以上、その崩壊は誰にも予見できず、現段階で流れに抗うことは大きなリスクを伴う。そこで、取れる今のうちに取ってしまおうということで、今回はこのグロース・モメンタム効果をさらにブーストする「友達以上恋人未満株投資」を考え、解説していきたい。

 さて、アナリストや会社予想などによる業績予想をベースにしてグロース・モメンタム投資を考えた場合、重要となるのは「その業績予想って本当に信用できるのか?」という点だろう。

 この精度には、アナリストの力量だけではなく、銘柄ごとの「予想の難しさ」も大いに関係する。もちろん、予想しやすい銘柄の方は信頼性が高く、難しい銘柄の方が予想の外れるリスクが高くなる。

 では、それを一体どのように見分けるべきだろうか。

銘柄の「正しい見分け方」

 方法はいろいろあるが、ここではできるだけシンプルに「過去」と「未来」の2つの軸から銘柄の予想困難度を定量化したい。

 まず、前者の「過去」だが、これは「業績のばらつき」が最も扱いやすい。コンセンサスに対する実績の達成率を追ってもいいが、こちらは発射台の高低によって予想と実績の乖離率の意味合いが異なるなどの弊害が多く、結果の信頼性を担保しにくい。

 それならば、もっと単純に過去の業績の変動性の大きさを追えば、それだけである程度予想の難しさを補足することが可能だ。毎年淡々と同水準の利益を創出する手堅い銘柄は誰にでも当てやすく、激しく乱高下する銘柄は予想が困難なのは感覚的にも分かりやすいところだ。そして、これを定量化するには過去一定期間の業績データを用いた標準偏差を使用するのが適当だ。

 ただし、標準偏差そのものは企業の利益水準に依存してしまうため、それを平均値で除した「変動係数」という値を用いるが、ここでは難しいことは抜きに単に「値が大きければ過去の業績のブレが大きく、小さければブレが小さい」と理解してもらって問題ない。

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図:過去10年間の実績純利益のばらつきの投資効果
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 今回は、過去10年間の業績データをもとにばらつきを計算しているが、これとグロース効果とを組み合わせる前に、このファクター単体の投資効果も確認しておきたいと思う。

 上の図は、東証一部上場銘柄を過去10年間の実績純利益のばらつき(変動係数)の大きさで3分位に分類し、高群と低群のロングショートで投資効果を見たものだ。

たとえば5人のアナリストが…

 傾向としては、概ねTOPIXの推移に連動して上下する動きを見せる。

 簡単に言えば、市場が反転上昇する際は、ばらつきの大きく予想が難しい銘柄が買われ、市場が加熱したり下落に転じた後は、ばらつきの少なく予想の容易な銘柄が買われやすくなるということだ。

 この仕組みは単純で、市場や景気見通しの悪化懸念のある場合は、数年先まで業績が見通せる安定的で手堅い銘柄が好まれてリスクの高い銘柄が嫌われる一方、底打ち反転期は今まで景気の悪化に伴って敬遠されていた高リスク銘柄への期待は急騰するが、すでに安定成長が織り込まれアルファに乏しい低難易度銘柄に資金は向かないという状況が容易に想像できる。

 そして、続いては見るべきは「未来」の方だ。こちらは、現時点で予想されている12カ月先コンセンサス純利益のアナリスト間のばらつき(「過去」の場合と同様に変動係数)を用いる。

 たとえば、ある銘柄に5人のアナリストが張り付いているとして、5人の純利益予想が100億円近辺で一致していれば値は小さくなり、5人の予想が10億円から200億円までばらける場合は値が大きくなるイメージだ。そして、これも同様に単体での投資効果を3分位ロングショートで検証してみると、以下の図のようになる。

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図:アナリストコンセンサス純利益予想のばらつきの投資効果
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 こちらも、形状としては「過去」の場合と同一だ。

 基本的にはTOPIXに連動しやすく、特に市場の反転上昇時にばらつきの大きい銘柄が強くアウトパフォームする傾向にある。市場の低迷時にはばらつきの少ない銘柄が好まれやすい、というのも大枠では同様である。

「中難易度銘柄」の投資妙味

 過去の実績と未来の予想という、データの起点や出所は大きく異なりながら、両者で似たような傾向が出るということは、業績予想の難易度というファクターの特徴をある程度とらえられているように思われる。

 これらの結果からグロース株投資に絡めて言えそうなこととしては、市場の見通しが明るい時は予想難易度の高い銘柄の効果が増幅され、暗い時は分かりやすく予想しやすい低リスク銘柄の効果が増幅される、ということになるだろうか。

 しかし、実は今回の分析の主旨は、フェーズごとに銘柄属性を転換することにはない。基本的には、予想難易度が高い、または低い群に属する銘柄は、リスクのオン・オフに従って騰落を繰り返す性格を持つが、これを投資家の実務的な視点から考えると、表現が少々異なってくる。

 たとえば、予想難易度の高い銘柄は業績が大きく変動しやすいため、現状で投資判断に利用できる有用な情報が少なく、アップサイドは魅力的だが博打要素を多分に含む。つまり、投資リスクが非常に高く、精緻な業績予想に基づいた確実性のある投資を考えるうえでは、まず敬遠すべき銘柄であるともいえる。

 一方の予想難易度の低い銘柄は、たしかに過去の実績やアナリストの予想の一致などから信頼に足る情報が多く出回っていると思われ、しっかりと安心感のある成長見通しを得られそうだ。しかし、それは言い換えれば「誰でも簡単に予想でき、取得可能な情報」に基づいている可能性が高く、利に敏い世界の投資家がそれを放置するはずはない。すでに十分に株価に織り込まれてアップサイドに乏しく、わざわざ今から投資する旨味(アルファ)が薄い銘柄であるともいえる。

 これらを踏まえて逆説的に考えれば、実はアナリストや投資家にとって分析価値、投資価値が高く、最大公約数的に導かれる魅力の高い投資対象は、高難易度ほどの投資リスクはないが、低難易度ほどグロースがまだ株価に織り込まれていない「中難易度銘柄」にあると考えることができる。

抜群のパフォーマンス!

 イメージとしては、銘柄の予想難易度を対人関係の信頼性の深さに置き換えると、低難易度が「すでにお互いを知り尽くしていて上昇よりは安定・安心を求める恋人、夫婦」のような関係、高難易度が「興味はあるが対象の理解に乏しく今後の関係性悪化のリスクも高い友達、知り合い」のような関係だとすれば、中難易度は「すでにある程度の関係性を構築していてリスクは高くはなくその後の進展期待も高い友達以上恋人未満」の銘柄といえそうだ。

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図:予想難易度別の銘柄群の定義
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 さて、実際に銘柄を選定して、分類によってグロース・モメンタム効果にどのような違いが出るのかを検証してみたい。

 予想難易度の高群、低群は、東証一部上場銘柄のうち実績と予想のばらつきの双方が高、低となる銘柄群と定義したが、中難易度群はアナリストにカバーされている銘柄のうちで、高群、低群のどちらにも属さない銘柄群、ということになる。

 そして、これらそれぞれの銘柄群について、今回は12カ月先予想PERを用いてグロースの効果(PER高群の平均リターンから低群の平均リターンを引くだけ、バリューの逆)測定してみる。結果は、以下の通りだ。

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図:予想難易度別の銘柄群のグロース投資効果
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 特に近年は、明らかに中難易度群のパフォーマンスが良好だ。

 バリューが壊滅してグロース優位が顕著になり始めたのは2013年以降だが、そこから現在までは基本的に中難易度群の一人勝ち、といっても過言ではない。

 足元のコロナ禍でも強いパフォーンマンスを上げている。これに次いで高難易度群が来るが、やはりパフォーマンスは安定せず、博打要素の高さは相変わらずのようだ。

 低難易度群は、リターンのボラティリティは最も低く、足元でも底堅さを見せているが、やはりグロース株投資におけるアップサイドが乏しいことは事実だ。

プロが仕込む「友達以上・恋人未満」銘柄全実名

 何にしても、流動性バブルに伴うグロース・モメンタム効果のバブルも継続し、今後も成長性が期待される銘柄のPER、PBRが切り上がり続けるという前提に立てば、この最も旨味の強い「友達以上恋人未満銘柄」から銘柄を選定して投資するのが、最も効率よくパフォーマンスを獲得できそうである。

マネー現代

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最終更新:7/13(月) 8:00

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