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米国のコロナ禍拡大は短期的には米国株を支え、米ドル全体を下落させる材料に!?

7/11 14:06 配信

ザイFX!

■景気は「気」が重要、コロナが蔓延する限り景気は…
 戦後最大の危機はまだまだ進行中である。前回のコラムで指摘したように、防疫体制の違いで中国の優位性が一段と鮮明になってくると思われたが、実際にもそうなっているようだ。北京の新規感染者が連日ゼロだったのに対して、東京は悪化する傾向が見られ、昨日(2020年7月9日)の新規感染者数は過去最高と報道された。

 防疫劣等生の米国はさらに悲惨な状況だ。1日あたりの新規感染者は6万5000人超、これから1日10万人超もあり得ると予測され、もはや先進国の面目もない。

 そして、劣等生のアメリカとだけ比べたのだろうか、民度云々を取り上げ、まるで日本の防疫体制が特別に優れているかのような論調が日本の一部では繰り返しみられた。そういった論調が大衆の慢心を招いた側面もあったかと思う。

 確かに日本は本格的なロックダウンを実施しなくても重症者数が抑えられ、医療崩壊を回避してきており、その功績は小さくはない。一方、その代わりに、コロナ感染の拡大に抜本的な対応策を取れず、だらだら本日(7月10日)までそれが延長されてきたのも事実である。「新生活様式」のままで景気回復を図れると思う方が、いったい何人いるだろうか。

 そもそも景気とは「気」の方が重要で、また「気」からでないと始まらない。重症者が大きく増えなくても、コロナが蔓延する限り、景気が良くならないことは自明の理である。主に夜の街に対して強硬手段を取らない限り、自粛の呼びかけだけでは問題解決にならない。

 これぐらいは本来、誰にでもわかるはずのことだが、問題が深刻すぎるからか、政府も民間も問題の根本を直視できなくなっている気がする。

■米国株の頭打ちがあってもすぐに反落してくるとは限らない
 コロナの話はさておき、相場への影響に焦点をおきたい。結論から申し上げると、コロナ禍のもう一段の拡大や長期化で米国株はいったん頭打ちしやすい時期に入り、米ドル高・円安の状況を作り出すのではないかと思う。ただし、これも中期的な視点からの話で、目先の市況が必ずしもそうなるとは限らないことにはご注意いただきたい。

 というのは、米国におけるコロナ禍のもう一段の拡大があれば、FRB(米連邦準備制度理事会)や米政府が景気を支えるための政策を打ち出すことが想定されやすく、また実現されると思われるからである。FRBは状況次第で、緩和策を一段と拡大すると繰り返し言っており、トランプ政権もあの手この手で財政出動を打ち出してきたから、それらはこれからも続くだろう。

 ゆえに、米国株の頭打ちがあっても、たちまち大きく反落してくるとは限らない。高値圏での保ち合いが続けば、米ドル全体の軟調がさらに続く可能性も大きい。

 ドルインデックスでみると、6月安値をいったん割り込み、3月安値に接近しても別にサプライズではなかろう。実際、米国株の上昇につれ、ドルインデックスは3月高値から一貫して下落してきたので、目先さらに下値余地を拡大してもおかしくない。

 やや理解されにくい理屈かもしれないが、米国におけるコロナ禍のもう一段の拡大は、短期スパンにおいて、むしろ米国株を支え、米ドル全体を下落させる材料になる可能性がある。今までそうだったのだから、短期スパンにおいてなお有効という可能性は十分ある。

■コロナ禍を解決しない限り、米景気は再び悪化
 反面、ナスダックが史上最高値をたびたび更新してきたことに照らして考えると、前述の効果が効いているとはいえ、やはりかなり消化済みで、これからは効果の逓減が見られるはずだ。

 文字どおり前代未聞の緩和政策や史上最大規模の公的支援があったといっても、コロナ禍という根本的な問題が解決されない限り、いったん回復する傾向を見せた米景気が再び悪化していくのも自明の理だ。

 現時点で、米国株はそのようなリスクをまったくと言っていいほど織り込んでいないというか、無視しているから、その分、早晩調整幅を拡大していくと思われる。

■米ドル/円も米ドル全体の切り返しに寄与していく
 一方、筆者が繰り返し指摘してきたように、「リスクオフの円高」はもう過去の話となった。3月高値以降、米ドル/円においては、米ドル全体ほどの米ドル安の進行は見られなかった。

 換言すれば、仮にこれから米国株の調整があれば、米ドル全体が3月の値動きのように「リスクオフの米ドル高」で切り返しを果たしたとしても、「リスクオフの円高」にはなりにくいため、米ドル/円もリンクして反騰しやすく、結果的にこれが米ドル全体の切り返しにも寄与していくことだろう。

■日本の景気後退が米国より深刻であることも無視できない
 その上、コロナ禍がもたらした日本の景気後退が、米国より深刻な側面も無視できない。

 基軸通貨を発行する米国は天文学的数字のお札を刷っても、その地位を利用して結果的に大半の「つけ」を諸外国に背負わせるのに対して、その特権をもたない日銀の緩和政策の「つけ」は、最後は日本人のみが背負うしかない。

 今の情勢のままでは、来年(2021年)に延期されたオリンピック開催も危うくなり、また、抜本的な対応策を取れない限り、2024年になってさえ、コロナ以前の景気まで回復しない可能性も念頭におきたい。円は「普通の通貨」に「生まれ変わった」分、「リスクオフの円高」どころか、「リスクオフの円安」も十分想定されやすいかと思う。

■米ドル/円よりも主要クロス円の方が上値余地があるだろう
 そうなると、短期スパンにおいて、米ドル全体の反落がなお続くのであれば、米ドル/円の下方硬直性(反落するにしても米ドル全体の反落に比例するほどではない)から考えて、主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の方がなお上値余地を拡大できるだろう。

 昨日(7月9日)、トランプ氏の納税記録公開に関する判決で米ドル全体が切り返してきたが、目先の米ドル安の流れを修正できたと言えるほどの値動きではなく、主要クロス円の上値指向は目先なお維持されるだろう。

 中期スパンでは、米ドル全体が早晩底打ち、また、切り返してくるなら、主要クロス円の強変動が終焉してしまう、といった予測も出やすいが、実際は異なるのではないかと思う。

 そのカギを握るのはやはり米ドル/円だ。

 結論から申し上げると、米ドル全体が反落する時期において、米ドル/円は比例した反落幅を見せなかった分、米ドル全体が底打ち、また切り返ししてくれば、米ドル/円がリードして米ドル全体を押し上げる可能性があるから、短期スパンにおける波乱や反落幅の拡大があっても、主要クロス円におけるメイン構造は変わらないと思う。

 たびたび強調してきたように、ユーロ/円における5月の底打ちが重要なサインであったから、これから「リスクオフの円安」がテーマになる可能性さえある。

 市況をていねいにフォローしながら、また、たくさん検証していきたい。市況はいかに。

ザイFX!

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最終更新:7/11(土) 14:06

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