IDでもっと便利に新規取得

ログイン

「パンチの効いた一言」で、会議に緊張感を持たせる

7/11 6:01 配信

ダイヤモンド・オンライン

 日本では「仕事は何より大事」という意識も強く、いちいちリマインドしなくても皆ちゃんと動いてくれる。しかしグローバルでは、仕事はその人の人生の選択の1つにすぎない。だからこそ、きちんと優先順位を上げてもらえるよう、あの手この手で仕掛けていくことが重要だ。
米国の大学やハーバード・ビジネス・スクールで学び、総合商社で丁々発止のビジネスを行ってきた経験を踏まえて、現在、日本人の英語力向上とグローバル・リーダーの育成に携わる著者が、最新作『グローバル・モード』から抜粋してそのコツを紹介する。

● 優先順位を上げてもらえるよう、あの手この手で仕掛けていく

 これまでに、会議を進めるための3つのステップ(現状把握、ゴールの設定、実行フェーズ)を紹介しました。ステップ1に入る前にしておきたいことは、チームのギアを一段、上げることです。

 「公」が「私」を凌駕する日本のローカルな環境においては、仕事を進めるうえで、いちいち大切だとリマインドしなくても勝手に相手が動いてくれるだろうという希望的観測が前提にあります。

 しかし、グローバルでは仕事は「私」の選択の1つにすぎず、だからこそ、ビジネスを成功させるためには、この会議体が重要であることをきちんと認識してもらい、各人の中での優先順位を上げてもらえるように、あの手この手で仕掛けていく必要があります。

 この会議が扱っている問題が「緊急課題である」と知らしめることは、この会議体が解決しようとしている問題がとても大切なものであると認識してもらううえで非常に有効です。

 ハーバード・ビジネス・スクールのジョン・コッター名誉教授は『リーダーシップ論』のなかで、変革を起こす8つのステップのうち、「緊急課題であるということの認識の徹底」を1番に挙げています。緊急課題でなければ、忙しい人はなかなか動かないからです。

 そのためにコッター教授は、「現在の危機的状況」「後々表面化しうる問題」「チャンス」を認識し、議論することがカギとなると述べています。

 特に強力なのは、現在、あるいは近未来に起こりうる悪いことや損失を前面に出すことです。人は「得をするより、損を回避したい生き物」だからです。

 アメリカで行なわれた実験で、セールスの人に、同じ商品を売る際に、「この商品を買うと、○○ドル得します」という言い方と、「この商品を買っていないので、現在、月に○○ドル損をしていますよ」という言い方をさせたところ、圧倒的に後者が売れた、という実験結果もあります。

 得をするよ、と言われても人はなかなか動きませんが、損をするかも、と言われると「それは困る」とばかり、即座に動き始めるのです。

 この応用で、「現在ある問題」がどれだけ損を出しているのか、どれだけマズイ状況なのか、会議で良い解決策が出なければどんな悲劇が待っているのかを、明示的に共有することで、会議体の“ギア”が一段上がるのです。

 会議体が大きな問題を解決するために集結しているのだということを全員がはっきり理解することは、当然ですが、会議体のプライドをもう一段押し上げることにつながります。

 とはいえ、「タバコは健康に悪い」などの抽象的な言い方やだらだらとした長い説明では心をつかむことはできません。

 「タバコを1本吸うと、○分寿命が縮まる」「○分に1人、タバコのせいで早死にしている」というパンチの効いた1行が効果的です。アジェンダを伝え終わったタイミングで、危機感を共有するパンチラインを入れましょう。

 会議の種類別に、例を紹介していきます。

● 最もインパクトの強い数字を使って1行で言い切る

 ・社内会議の場合

 欧州支社と日本支社など、同じ社内であれば、ある程度赤裸々に語れるでしょう。お互いが抱えている共通の問題であれば、次のような言い方ができます。

 We’re losing about $100,000 a day.
→毎日10万ドルもの損失を垂れ流しているのです(ショッキングな現実で危機感のパンチラインを打ち込む)。

 Together, I’m sure this team can find a solution.
→皆で臨めば、解決策を見つけられるはずです(鼓舞する言葉を添える)。

 一方、イギリス支店で問題があり、東京本社から駆けつけるといった、先方が問題を抱えている場合、相手を責めず、しかし問題が起きていることは改めて認識したい。

 そういうときは、当事者を「you」ではなく「we」としましょう。「あなたが問題を抱えている」のではなく、「我々共通の問題である」という姿勢が相手の共感を呼び、より協力が得られやすくなるはずです。

 As eveyone knows, we’re facing a serious challenge.(youではなくweを使う)
→知っての通り、我々はシリアスなチャレンジに直面しています。

 According to the data you sent us, the company is losing approximately $100,000 a day.
→事前に送ってもらったデータによると、毎日10万ドルの損失が出ています。

 I’m sure that together we can find some solutions.
→一緒にやれば絶対に解決できます(チームを鼓舞する)。

 ポイントは、「毎日10万ドルを垂れ流している」という問題を、定量的でパンチの効いた1行で言い切ることです。

 なるべく数字がインパクトを持つ最も短い期間を選んでください。業界や会社のサイズによっても違いますが、「$8,000/day」では弱ければ、「Over $50,000/week」と期間を調整します。

 また、「時間/期間ごとに問題が起きていることを示す」「悪いことが起きるであろうことを期限つきで示す」のも効果的です。

 There’s an order lost every 23 minutes.
→23分ごとに1つオーダーを取り損ねている。

 Every 10 minutes, a defective product is made.
→10分ごとに1つの不良品を出している。

 We’ll run out of cash in 6 months.
→6カ月でキャッシュが底をつく。

 The company may have to make some drastic changes in 6 months if there’s no improvement.
→改善がなければ、6カ月で大ナタを振るわれる。

 もし、$1 millionという金額では危機感が伝わりにくい場合、売上げや純利益の何%という形にすれば、サイズ感が捉えやすくなることもあります。「The loss is about 12% of our sales.」(→売上比12%のロス)、「The loss is about 25% of our net profit.」(→純利益比25%のロス)など、問題の大きさを捉えやすい指標で訴えましょう。

児玉教仁(こだま・のりひと)
イングリッシュブートキャンプ株式会社代表
ハーバード経営大学院 ジャパン・アドバイザリー・ボードメンバー
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー アドバイザー
静岡県出身。静岡県立清水東高等学校を卒業後、1年半アルバイトで学費を稼ぎ渡米。ウィリアム・アンド・メアリー大学を経済学・政治学のダブル専攻で卒業後は、シアトルでヘリコプターの免許を取得後帰国。1997年4月三菱商事株式会社入社。鉄鋼輸出部門に配属され様々な海外プロジェクトに携わる。2004年より、ハーバード経営大学院に留学。2006年同校よりMBA(経営学修士)を取得。三菱商事に帰任後は、米国に拠点を持つ子会社を立ち上げ代表取締役として経営。2011年同社を退社後、グローバル・リーダーの育成を担うグローバル・アストロラインズ社を立ち上げる。2012年よりイングリッシュブートキャンプを主宰。イングリッシュブートキャンプ社代表も務めるかたわら、大手総合商社各社をはじめ、全日本空輸、ダイキン等、様々な国際企業でグローバル・リーダー育成の講師としてプログラムの開発・自らも登壇している。

ダイヤモンド・オンライン

関連ニュース

最終更新:7/11(土) 6:01

ダイヤモンド・オンライン

投資信託ランキング