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コロナで需要増、「オンラインで部屋探し」は普及するのか《楽待新聞》

7/8 11:00 配信

不動産投資の楽待

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、オンラインでの部屋探しに注目が集まりつつある。

全国の不動産管理会社6200社が加盟する一般社団法人「全国賃貸不動産管理業協会(以下、全宅管理)」によると、オンライン内見システムに関する不動産会社からの問い合わせが、前年の7倍に増えているという。コロナ禍での物件案内について、不動産会社も新たな手法を模索しているようだ。

一方、利用者の視点から見た場合、オンラインでの部屋探しにはどのようなメリット、デメリットがあるのだろうか。実際のオンライン内見の様子を取材し、その様子を動画でお届けする。

■360度カメラ、VRゴーグル…さまざまなオンライン内見

一口に「オンライン内見」と言っても、その方法はさまざまだ。

現在、多くの不動産会社が取り入れているのは、不動産会社の担当者だけが物件に赴き、部屋の様子をカメラで映して案内するという形式。客は自宅にいながら、Zoomなどのビデオ通話ツールを通じて内見ができる。

担当者はビデオ通話ツールでコミュニケーションを取りつつ、客の気になる箇所をカメラで映し、案内を行う。直接会うことによる感染リスクを抑えられるほか、利用者にとっては物件を見るための移動コストを抑えることも可能になる。

これ以外にもオンラインで物件を見学する方法はいくつかある。以下に紹介しておこう。

<360度カメラによる疑似内見>
不動産会社が部屋の内部などを「360度カメラ」で事前に撮影し、客はその映像を見ることで擬似的な内見ができるというサービス。写真だけでは伝わりにくい部屋の広がりや天井の高さなども、360度のパノラマ画像があればイメージがしやすくなるという。

不動産会社と同時視聴をする場合、同じ映像が不動産会社のPCにも表示されるため、気になる点などをその場で質問することができる。

<VRゴーグルを用いた疑似内見>
パソコンやスマートフォンの画面ではなく、VR(バーチャル・リアリティ=仮想現実)ゴーグルを使ってバーチャル内見を行えるサービスもある。VRゴーグルを使った物件見学では、ゴーグルをつけると内見したい部屋の風景が広がり、まさに物件の中にいるかのような状態でバーチャル内見が可能となる。

こうしたオンライン内見がどのようなものなのか、今回編集部が体験取材を行っているので、関連にある動画でチェックしてみてほしい。動画では、株式会社「リビングギャラリー」の協力のもと、楽待スタッフが「オンライン内見」を実際に体験した様子に密着。オンライン内見はどのようなものか、ビデオカメラ越しで物件の案内は可能なのか。ぜひ、入居希望者の目線に立ち、オンライン内見の是非について考えてみてほしい。

■「見てほしくない箇所が隠されるのでは」

移動にかかる時間やコストが削減できるという点で便利なオンライン内見だが、利用者からは不安の声も挙がっている。

今年の4月ごろ、オンラインで賃貸物件の内見を行った30代の男性Aさんは、「時間やコストが削減できる点は良い」と前置きしたうえで、「見てほしくない箇所を隠されてしまう可能性があると感じた」という。

Aさんが気になる物件に問い合わせたところ、不動産会社側からオンラインでの案内を提案された。初めてのオンライン内見だったが、内見中に気になることがあったという。

「浴室の壁に、一瞬穴のようなものが映ったんです。穴を隠すためか、カメラの動きがすごく早くて、突っ込んでいいのか悩みました。勇気を出して聞いてみたら、『バランス釜用の穴です』と言われました」

Aさんの場合は最終的に指摘することができたが、もし知らずに入居を決めてしまったら、と考えると問題である。

また、お互いの表情や動きが見れないことは、双方にとってデメリットになるとも感じている。「不動産会社側は、内見時にお客さんがどこを気にしていそうとか、どんな反応なのかが分かりにくく、どこに重点を置いて営業するべきか迷うでしょう。賃貸物件ならまだしも、投資用物件の内見であれば、価格交渉のような慎重な場面は、こちらも相手の表情などを見て話したい。ですが、オンラインでは反応が分かりにくく、ちょっとやりづらさを感じるところもあります」(Aさん)

■入居後のトラブルは?

気になるのは、オンライン内見を通じて契約した入居者が、入居後にトラブルにならないかという点だ。現地を見ていなかったために「こんなはずじゃなかった」といった事態に発展することはないのだろうか。

神奈川県川崎市・溝の口を中心に活動する不動産会社の株式会社「エヌアセット」で賃貸仲介を行う佐藤頼人さんは、「4月からオンライン内見を含むリモートの仕組みを導入しましたが、そういった問題は起きていない」と話す。

エヌアセットでは、コロナの感染拡大防止のため来店での接客をできる限り断り、リモートでの案内に加え、内見する物件に現地集合・現地解散をするなど工夫をしてきた。

「ITに疎い方に対しては直接お会いして説明したり、詳細な説明を書いた書類を郵送したりするなど、オフラインの手法も組み合わせるようにしています。デジタルを使いつつ、人の手が必要なところは丁寧に対応する。不動産業界は現物思考で、人に会いたがる不動産会社が多いのですが、直接会わなくてもいいオンライン内見が広がっているのは、業界が顧客志向になっている兆しだと思います」

6月に入り、エヌアセットの元にはオンラインでの物件案内の希望が増えているという。「緊急事態宣言が解かれ、街に人が増えたことで感染を警戒する方、あるいはコロナで引っ越し時期がずれた方から多く問い合わせをいただいています」と佐藤さん。新型コロナによる影響が落ち着くまで、オンライン内見の需要がさらに高まる可能性もありそうだ。

■「オンラインという選択肢を増やせたら」

「消費者の変化に対応できなければ、業界から淘汰されてしまう」

全国6200社の管理会社が加盟する全宅管理の担当者はそう話す。全宅管理では2017年から加盟会社へのオンライン内見ツールの無償提供を始めた。提供をはじめた当初、加盟会社の利用率が伸び悩んだが、今年5月に発出された緊急事態宣言を受け、不動産会社からのオンライン内見ツールに対する問合せ数は前年同月比の約7倍に急増したという。

宣言が解かれてから問合せ数は落ち着いたものの、不動産業界で一気にオンライン内見が注目され始めたと全宅管理は感じている。「IT化がもたらすメリットの1つに『効率化』があるが、それ以上に消費者のニーズに寄り添うことが大事だと考えている。この状況でも反響を獲得している加盟会社は、ニーズをくみ取った対応ができている会社。IT化が20年遅れていると言われる業界だが、コロナの感染リスクを受け、非対面でお願いしたいという方にも対応できるよう、各社には柔軟に動いてほしい」と担当者は話す。

また今年4月には、物件案内中に不動産会社の女性が刺され、重傷を負う事件が発生した。従業員の安全を守るためにも、「オンライン内見はこういった事件を防ぐ一手にもなる」と全宅管理は考えている。

■トップ営業マンほど使わない

ただし、せっかくオンライン内見ツールを導入しても、すべての従業員に利用してもらうことはなかなか難しいという現実もあるようだ。

石川県を中心に1万7000戸を管理する株式会社「クラスコ」では、2015年から一足早くオンライン内見のシステムを導入した。その後数年は需要の増加を感じられなかったが、コロナを機にオンライン内見の需要が高まり、Webを通じた来店予約の14%はオンラインでの接客・内見を希望するほどになった。オンライン内見経由の成約率も57%と、対面の営業と比較しても遜色ない数字だという。

しかし、導入から5年経ってもなお、オンライン内見システムを一切使わない営業マンも複数人いるという。クラスコの代表を務める小村典弘氏は「成約率が高い、いわゆるトップ営業マンほど『なくても営業できる』といい、オンライン内見ツールを使わずに営業をしている。若手の営業マンは活用をしているものの、従業員全体に浸透させていくのは今後の課題だ」と述べた。



コロナをきっかけに利用が増えつつあるオンライン内見。しかし、本格的な普及にはまだまだ時間がかかりそうだ。

ただ、東京を中心に再び感染者数が増加している状況を鑑みれば、感染リスクを低減できるオンライン内見は今後さらに注目を浴びる可能性もある。自身で客付を行うオーナーも、客付を不動産会社に依頼しているオーナーも、この機会にオンライン内見という新しい客付方法についてぜひ理解を深めておいてほしい。

不動産投資の楽待

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最終更新:7/8(水) 11:00

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