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【為替市場】1ドル=90円に向け、ドル円相場は下落トレンドに

7/5 15:30 配信

週刊 金融財政事情

 筆者はアベノミクス開始以降、ドル円相場に関して基本的には円安方向の見通しを維持してきたが、新型コロナウイルス感染拡大、およびそれに対する日米を含めた各国の対応を受け、ドル円相場は円高方向へのトレンドをたどるとの予想に変更した。今後数年でドル円相場は1ドル=90円に向け、下落トレンドをたどるだろう。今後数年間は、先行きに楽観的なムードが強まる、いわゆるリスクオンの中でドル安・円高が進むと予想する。
 今回、予想を変更した最大の理由は、「ドル安」予想である。通常、リスクオンの下ではドルも円も共に弱い通貨となる。そして通常は円の方が「弱いドル」よりも弱くなるためドル円相場は上昇する。しかし、今後のリスクオン局面では「弱い円」よりもドルの方が弱くなり、ドル円相場はリスクオン局面で下落する流れが継続するだろう。実際、4月以降すでにそうした動きが目立ち始めている。
 リーマンショック後の2009~11年も同様に、世界の株価が上昇トレンドをたどる中で、ドルが主要国通貨の中で最弱通貨となり、ドル円相場は1ドル=100円前後から76円前後まで下落した(図表)。
 米国の経常赤字は、対GDP比で2%台半ばと最近は安定しているが、経常赤字国が政策金利をゼロまで引き下げ、今後2年程度は利上げを行わない見通しを示せば、その国の通貨が弱くなるのは避けられないだろう。さらに、今回はリーマンショック時と比べても米長期金利は非常に低水準となっている。
 こうした中で、米国政府はGDP比約12%ポイント分の財政支出を今年一気に実行する。名目金利が上がらない中で、期待インフレ率はすでに上昇し始めており、結果的に米国の実質金利は急低下している。
 円のサイドから見ても円高圧力が高まりそうだ。円はここ数年実質実効レートベースでは歴史的な円安水準を維持していた。それは日本の企業や投資家による活発な対外投資が行われたからだったが、新型コロナウイルス感染拡大で先行きが不透明ななか、本邦企業による対外直接投資は過去数年ほどの勢いはなくなるだろう。
 さらに、世界中の金利が大きく低下して日本との金利差がなくなっている状況下、本邦投資家による対外債券投資の増加も見込み難い。世界の10年国債金利加重平均値と日本国債10年金利との差はこれまで何度か1.3~1.4%程度にまで縮小したことがあったが、今年3月に初めて1%を割り込み、足元では0.8%程度となってしまっている。日本の経常黒字をスムーズに海外へ還流させることが難しくなり、割安な円は調整を余儀なくされるだろう。(「週刊金融財政事情」2020年7月6日号より転載)

週刊 金融財政事情

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最終更新:7/5(日) 15:30

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