IDでもっと便利に新規取得

ログイン

自粛明けのパチンコ店、客入りと共に青ざめる「ある難題」

7/4 11:00 配信

マネー現代

営業解禁からまもなく1ヵ月

(文 安田 一彦) 長らくコロナウィルスの感染拡大防止による休業を強いられたパチンコ店。最も休業要請解除が遅れた東京都も、先月6月12日をもって営業が解禁された。

 実際には5月末での都遊協幹部の総辞職があり、その内幕は以下だ。

 <組合からは都への営業再開を求める願いを出した。しかし、その返答はもらえず、その時点で幹部は「責任を全うできない」と辞職。同時に組合員である各ホールへは、営業自粛要請を行わないと決定。コロナウィルス対策だけは徹底するようにとの通達だけ出し、営業するか否かは各ホールの決定に委ねることになった>(P-WORLDなどの情報を基に引用)

 これは業界内で責任の放棄と取る向き、そして“武士が腹を切る”的な潔さと取る層もあり、何とも言い難い行動だった。

 いずれにせよ、現実にはその時点で営業を再開したホールが多かったので、パチンコ店側には納得というか歓迎する所も多かったはずだ。

 とにかく、現在は行政からの要請はなく、パチンコ店は何のしがらみもなく営業可能となっている。業界も逞しいもので、コロナ禍の影響で閉店したホールという傷痕を残しつつも、この先の日常化を目指している状態だ。

 休業明けに徹底されているのは、まず感染対策だ。「これ以上槍玉に挙げられてはたまらない」という理由もあり、他業種同様の対策を取っている店が多い。

 筆者としては、いちいちこれを褒めちぎる気はしない。この記事を読んでいる方々には、マスクやシールドによる飛沫対策や換気の徹底と消毒、店内音量を下げる工夫や出玉を煽る広告宣伝自粛等、上記が不徹底な店に注意をしてほしい程度だ。

客足は回復に向かっているが…

 次はホールの懐事情に目を向けてみよう。

 まずは客付き。言うまでもないが、パチンコ店は企業である。よって、お金を落としてくれるファンがいなければ、還元率は低くなる。そして、ファンも毎度回収されていては徐々にホールから足が遠のく。これが繰り返されると、まさに負の連鎖となってしまう。

 「出さないと客がいなくなり潰れる。かといって出し過ぎると利益が取れない」

 多くの人が想像するよりも、パチンコの営業は難しいバランスの上に立っているのだ。

 ツテを当たって業界団体の人に客入りの数字を聞いてみたところ、営業再開直後の落ち込みは酷く、前年比で約6割減まであったという。これはかなり深刻な数字だ。

 もっとも、「不要不急」のレッテルを貼られようが、パチンコファンは確実にいて、どん底の状態から一週間あたり5~10%ほどの割合で客足は伸びているのが現状らしい。6月19日の時点では、全国的に見て前年比3割減まで回復しているようだ(コロナの爪痕が深い東京と北海道に限り、1割ほど回復が遅れている)。

 パチンコ店側の思惑としては、(コロナの第二波等のマイナス要因が無い前提で)、国からの給付金の配付完了などの後押し、6月に続く8月の年金給付に客足の復活に願いをかけているとのこと。

 筆者は正直、「そんなに簡単にいくか?」と思ってしまうのだが、パチンコが庶民の遊技なのは今も昔も同じ。統計上は過去もこうした節目で結果が違ってきていると言われたら、納得するしかない。

客入り以上に深刻な「新台」問題

 同じく業界団体の人間への取材でわかったことは、遊技客を呼び込むには広告宣伝効果が必要だということだ。現在のパチンコ店は店内でのアピールに加えて、ホームページやLINE、メール等への依存度が高くなっている。

 問題は内容で、営業再開直後、各県での宣伝が許される要素は営業中の告知と感染対策まで。客が足を向ける大きな要素である新台入れ替えはNGとなっていた。

 その内部の自粛もそろそろ終わろうとしている。筆者にも新装開店の告知は少しづつ入ってきている。

 ただ、ここで一つ難題がある。そう、コロナの影響で新台の製造・供給が滞っている場合があるのだ。

 休業前に購入していた機種は店に入荷したものの、営業自粛中には新台購入を踏み留まったホールもある。そして、新台製造に必要な部品(多くは海外での生産に頼っている)が手に入らない、つまり現物がないという問題にも直面している。

 この現象を見る限り、今しばらくは少しずつの回復に止まり、パチンコ業界は耐える時期が続くのだろう。

 ちなみに、すでに導入済みの新台でホールが期待しているのは、出方が荒くて当たってからの出玉速度が群を抜く『大工の源さん超韋駄天』、そして、前作がヒットした『シンフォギア2』などだという。

 筆者が現場を見る限りパチンコ店は、回収に走ったとして客が付くのか、という不安を抱えている様子だ。したがって、ファンに上手く夢を見させるための運用方法がカギとの印象がある。

増える中小店舗の閉店

 最後に今後のパチンコ店の見通しについて考えてみたい。

 昔からパチンコ店は「2割の台が稼働していれば潰れない」「設置台数×1500円の利益があれば営業は可能」と言われてきた。

 これは自社物件(高額な家賃負担ゼロ)か否かで計算が全然違うので、強引な線引きだが、昨今のホールはもう少し営業が成り立つラインが高い。理由は前述でも触れたような、新台購入費の増加と広告宣伝費等の経費に外ならない。

 元々、全国的に見たホールの倒産と自主閉店件数は年々増えている。実際、コロナ禍が無くとも今年中に9000軒を割り込む可能性があるという予測も出ていた。

 旧規則機(新内規の施行で今年前半に撤去となるはずだった台)を外すのは警察庁の判断でほぼ1年延長の猶予を得て、年内のパチンコ店の新台入替費用は減らすことが可能になった。

 しかし、それでも休業要請時期を乗り切ったホールの中にはギリギリの状態の店が多い。特に中小店舗の閉店はこれからも続々と出ると思う。

 長らくパチンコを見てきた筆者には、超大手の全国チェーンが幅をきかせ、独自性を持ったホールが消えていくのは寂しい限りだ。現状は厳しいけれど、新しいビジネスモデルを発案して、そういった店が生き残ることを願ってやまない。

マネー現代

関連ニュース

最終更新:7/5(日) 0:35

マネー現代

投資信託ランキング