IDでもっと便利に新規取得

ログイン

売れない時代に「売りまくる人」の決定的な習慣

7/1 8:01 配信

東洋経済オンライン

「商品やサービスがなかなか売れない」そんな悩みを持つ人も多いかと思います。でも、「今売れていない商品やサービスも、発想次第で売れるものに変わる可能性がある」というのは、ビジネス書や実用書のベストセラーを数多く輩出している書籍編集者・柿内尚文氏です。
柿内氏自身が実践している多数の発想法の中から、ビジネスに応用できる「ずらす法」と「数珠つなぎ連想法」について伺いました。

■「ずらす法」で価値を再定義する

 価値というのは常に絶対的なものではなく、まわりとの比較で変化することもよくあります。

 例えば、しょうゆのシミを服につけてしまった場合を考えてみてください。

 黒い洋服につけたシミはあまり目立ちませんが、白い服につけたシミはとても目立ちます。同じしょうゆのシミでも、どこにつけたかでまったく見え方が変わります。当たり前の話ですよね。

 商品やサービスでも同じことがいえます。これを意識的にやること、それが「ずらす法」です。例えば仕事で、自分の担当する商品やサービスが売れなくなってきたときなどに使える方法です。

 僕自身の経験でも、「ずらす法」を使って、本がベストセラーになったことがあります。『「のび太」という生きかた』という本がそれです。発売は15年以上前なのですが、ここ数年で売り上げが伸びていて、40万部を超えるベストセラーになっています。著者はドラえもん学を長年研究している富山大学名誉教授の横山泰行さんです。

 この本はもともと若手ビジネスパーソンに向けて作った自己啓発書です。でもある日、この本の読者からこんなはがきが届きました。

「ぼくは本を読むのが苦手だったけれど、この本だとスラスラ楽しく読めました」(男の子、11歳)
「少し漢字が難しかったですが、どんどん読むほど次が気になり、楽しく読めました。読書感想文も書きやすかったです」(女の子、11歳)
「とてもいい本で、のび太の見方が変わりました。読書感想文に使わせていただきます」(男の子、12歳)

 書店のPOSデータ(売り上げデータ)を見ると、40代女性の購入者が増えているデータがありました。最初はなぜ40代女性が買っているのかわからなかったのですが、はがきが続々と届くようになって気づきました。小学生、中学生の母親が買っていたことに。

 そこで、「ビジネスパーソン向けの自己啓発書」から「子ども向けの読書感想文にも使える本」に、この本のポジションをずらしました。書店でも「ビジネス自己啓発書」のコーナーから「児童書」のコーナーに置く場所を変えてもらえるよう、営業チームがお願いしてまわりました。

 すると、子どもたちに本が届くようになり、40万部を超えるベストセラーになったのです。価値をずらしてヒットしたわけです。

 「ずらす法」は、価値の再発見を生み出す方法です。当たり前になってしまったことも、一度「ずらす法」で見直すと、新しい価値が生まれる可能性があります。

 いま大人気の作業服のワークマンも、この「ずらす法」で新しいお客さんをつかんだのだと思います。作業服のブランドから、作業服だけでなくアウトドアの分野にも「ずらした」わけです。

 ほかにも「ずらす」ことで、魅力が高まったケースは多々あります。

 若者向けに開発したトレーニング器具がシニア向けの筋トレ器具として大ヒットしたり、ICレコーダーが物忘れ防止用メモとして売れたり。ガチャガチャを空港にズラッと並べたことで、外国人向けのお土産として人気になった話や、出汁の自動販売機を設置して年間で数十万本の販売数になっている話なども、まさに「ずらす法」が成功した事例でしょう。

■「アタマ」よりも「目と耳」を使う

 では具体的に「ずらす」ときのポイントを紹介します。

 「ずらす法」では、まず思い込みを捨てることが大切です。これまでの経験値などを一度捨て、ターゲットも限定せず、ずらせる場所や人を探します。そのときに必要なのは、例えば商品やサービスであればユーザーの声をよく聞き、よく観察することです。『「のび太」という生きかた』をずらせたのは、読者からの声によってでした。

 自分の頭だけで考えられることには限界があります。声をよく聞き、よく観察することで気づきが生まれます。

 営業の人なら営業先をずらしてみる、人事部の人なら研修内容をずらしてみる、といった形です。

 新しいものをつくるだけがイノベーションではありません。「価値の再定義」でイノベーションを起こすこともできるのです。

 次は「数珠つなぎ連想法」を紹介します。

 「数珠つなぎ連想法」は出会ったことがあるもの、イメージできるものをどんどんつなげていく発想法です。既存のものに新しい魅力、価値を発見したいときに使ってみてください。

 難しく考える必要はありません。考えるテーマを真ん中に置き、全方位に数珠つなぎでどんどん連想をつなげていき、外へ外へと思考を広げていくだけです。

■連想から独自の魅力が生まれる

 例をあげながら説明していきます。テーマは「商店街の活性化」です。

 まず真ん中に「商店街」と書き込みます。そこから連想できるものを周りにどんどん書いていきます。「食べ歩き」「パワースポット」「ウォーキング」「人」「サードスペース」「イベント」「住民」「アウトプット」などなど、思いつくままに広げていきます。

 さらに、「食べ歩き」から「弁当」「中食」「サブスク」などと連想できるワードをつなげていきます。「パワースポット」なら「歴史」「占い」「神社」「お寺」、そこからさらに「合格祈願」「巡礼」などとつなげていきます。

 そうやって、どんどんつなげていき、ノートに書き込んでいきます。白いノートが連想でいっぱいになったら、そこから今度は自分たちの商店街で活用できそうなことを探していきます。

 「商店街ランチサブスク」を実践したり、「パワースポット商店街」で商店街に来る楽しみを増やしたり。いろいろ考えられるんじゃないかと思います。

 数珠つなぎすることのよさは、発想をどんどん広げていくことができ、さまざまな可能性を検討できるところです。

 何か新しいことをしようと考えるときによくありがちなのが、「ほかの商店街でやっていることをうちの商店街でもやってみよう」「ハロウィンにはハロウィンイベントを、クリスマスにもクリスマスイベントをやろう」というような発想です。

 ハロウィンやクリスマスのイベントが悪いというわけではないのですが、これだと、結局はどこの商店街でもあるような、金太郎あめのようなイベントになってしまう可能性があります。ほかの商店街をただマネするだけでは、その商店街独自の魅力を打ち出すことは難しいはずです。

 ほかの商店街を参考にするのはもちろんありなのですが、そこからさらにどんどん連想してアイデアを広げていく。そうすることで、その商店街独自の魅力をつくることができるはずです。
 
「ずらす法」も「数珠つなぎ連想法」も楽しみながらできる発想法です。ぜひ、トライしてみてください。

東洋経済オンライン

関連ニュース

最終更新:7/1(水) 8:01

東洋経済オンライン

投資信託ランキング