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「中学受験」親が子どもより先に音を上げる過酷

7/1 8:10 配信

東洋経済オンライン

『週刊スピリッツ』で連載されている中学受験を題材にした漫画『二月の勝者-絶対合格の教室-』は、第1~8集のコミック版がすでに累計65万部を記録し、テレビドラマ化も決定するなど、大きな話題を呼んでいる。
6月30日にコミック第8集および関連書籍『中学受験生に伝えたい勉強よりも大切な100の言葉』が発刊された。『二月の勝者』が気になっているけれど、いまから第7集までをキャッチアップする時間はないという読者のために、「中学受験は父の『経済力』と母の『狂気』がカギだ」(2020年6月30日配信)に続いて、第7集までのあらすじと見どころをまとめたダイジェスト版をお届けする。

■「どこにも受からなかったとしても順は順です…!」

 <第4集>コミック帯文言「悔いのない受験をしたいなら、今です。」

 中学受験の天王山、夏期講習が始まる。体調を崩す子どもも出る中、島津順と上杉海斗が取っ組み合いを始めた。原因は順が、「偏差値60以下の学校なんて学校じゃない」「そんなとこ目指してるやつらなんてまじゴミ」と言ったからだ。そのひどい言葉は、実はそっくりそのまま順が家庭で父親から日々言われている脅しだった。

 第4集の注目生徒「島津順」

 順は桜花ゼミナール吉祥寺校のトップ生。順の父親は、順の成績をパソコンで管理し、塾の宿題とは別に山のような問題集を順にやらせる。仕事から帰宅して、順が思いどおりの成果を出せていないと、母親を罵倒する。順もそれを知っており、母親を守りたいと思っている。

 ストレスからある日、順が塾をサボった。それを知り、激怒する父親。真夜中にもかかわらず、順をたたき起こせと母親に怒鳴り散らす。順がベッドの中で恐怖に縮こまっていると、勇気を振り絞った母親が父親に言い返す。

 「あなたは……もし順が、そういう学校しか受からなかったとしたら……順は人間以下だって言うんですか……?  たとえ順が……どこにも受からなかったとしても、順は順です……!」

 はえば立て、立てば歩めの親心。中学受験をするにせよ、しないにせよ、親は子に「もっと、もっと」と期待をかける。そして目の前のありのままの子どもが見えなくなる。中学受験生の親にありがちなことだ。しかし、中学受験をするからこそ、「どんな結果になろうとも、わが子はわが子」と確信を持って思える瞬間がやってくるという面もある。

 <第5集>コミック帯文言「その目標に届く可能性があるのは夏の終わりまで。」

 夏休みが始まりしばらくすると、自習室の空気が変わってくる。こうして子どもたちは少しずつ本当の「受験生」になっていく。

 しかしそんな中でいつまでも緊張感の足りない生徒がいた。その態度がまわりの真剣な生徒をもイラつかせる。まわりに迷惑をかけた罰として自習室使用禁止を言い渡されると、むしろ喜ぶ始末。

 第5集の注目生徒「石田王羅」

 徹底したやる気のなさでみんなからあきれられる石田王羅を、塾講師・橘勇作が擁護する。「だってあいつ、毎日 塾に来てるじゃん」「そもそも『小学生が毎日塾に来て座ってる』こと自体が、すごくね?  すごいんだよ!  だから、うちの塾に来ている奴らは1人残らず、すごい!」と断言する。

 橘は黒木とよく対立し、漫画の中では浅はかな塾講師の役割を担いがちだが、実は問題児とされる子どもたちの気持ちがよくわかる、心優しい塾講師なのだ。たしかに失敗も多い橘だが、このシーンで、私は橘を好きになった。

■いかに幼く勉強に向いていないからといって

 王羅は幼いころに父親を亡くし、母と祖母との3人暮らし。桜花ゼミナールを学童代わりに利用している。母親は忙しく、勉強を見るどころか塾弁をつくる余裕もない。お弁当代として渡されたお金を、王羅はカードゲームに使ってしまう。

 黒木は王羅に桜花ゼミナールと同系列の個別指導塾を勧める。王羅のような幼いタイプにはそのほうが向いているとの考えだ。黒木は佐倉に言う。「『中学受験をしよう』と決めたご家庭にはいろんな事情がある。その生徒がいかに幼く勉強に向いていないからといって……『塾に通わない』理由にはならない」。

 しかしそれを聞いたフェニックスの灰谷は、黒木のことを「子どもを裏切り食い物にする非道い講師です……!」と批判する。

 一方、「凡人こそ中学受験を」と言われて入塾した三浦佑星の両親は、今やしっかりと佑星を支えようとタッグを組んでいる。母親が「どこにも受からなかったとしても、順は順です……!」と叫んだ島津順は今や、取っ組み合いをしていた上杉海斗と親友のようになっている。中学受験は人間を変える。

 桜花ゼミナールの夏合宿では、全然違うキャラの直江樹里と柴田まるみが同じクラスになり、急接近していた。樹里は天才肌の奔放キャラ、まるみは引っ込み思案で自信がもてないタイプだ。2人とも女子学院を目指している。

 <第6集>コミック帯文言「運命を分ける秋が来る。」

 夏合宿には参加していなかった黒木。合宿から戻る生徒たちを、パーカー姿のまま陰から見守る彼の手には、くしゃくしゃになった数学の答案が握られている。中学受験生のものではなさそうだ。

 ちゃぶ台をひっくり返したような状態で食事が散乱するシーンを回想しながら「あんな状態の後に、このプリントを埋めたのだとしたら、君は本当に頑張った。君も必ず救うし、あいつら(合宿から帰ってきた塾生)も『必ず』合格させる」とつぶやく。「君」とは誰か……。

 夏休み明けの模試の成績では、桜花ゼミナール吉祥寺校のほとんどの生徒が偏差値を落とした。みんな頑張ったのだけれど、世の中の中学受験生もみんな頑張ったのだから、相対的な偏差値はなかなか上げられない。黒木はそれを見越して、夏休みの努力の成果は直後の模試では表れないと伝え、先手を打っていた。

 「ここからは親の……狂気」と黒木。

 文化祭や学校説明会も目白押しになり、いよいよ志望校絞り込みも佳境を迎える。第1志望ではないある学校の文化祭をのぞいて満足げだった山本香苗の母親はその帰り道心の中でこうつぶやく。

 「ずっと憧れだった第1志望校西洋西部女学院。偏差値が20も足りなくてその差をなんとか埋めようとあがいた2年間だった。けど……素人の私ですらさすがにわかる。最初の思いを貫くことも大事だけど、そろそろ、現実を受け止めなければならない。私にできることは――」

■仲良し3人組に漂う不穏な空気

 <第7集>コミックカバー文言「ここから親子ともに皆極まっていきます。」

 今川理衣紗と浅井紫と山本香苗は仲良し3人組。しかしそこに不穏な空気が漂い始める。

 第7集注目生徒「今川理衣紗」

 理衣紗は、香苗のシャーペンを隠したり、香苗の答案にわざと悪い点をつけたりと、香苗にいじわるをするようになる。香苗に成績を抜かされてしまったからだ。理衣紗は香苗と距離を取る一方で、お人好しの大内礼央に近づく。理衣紗のペースに巻き込まれた礼央は、そのせいで橘に怒られてしまう。理衣紗の存在が、教室内の女子同士の人間関係をややこしくしていく。

 佐倉がその異変にいち早く気づく。それを聞いた黒木は「小学生女子は人間関係で簡単に成績が落ちます」と言いながら、即座に席替えを実行した。効果はてきめん。香苗にも礼央にも笑顔が戻った。

 第7集注目生徒「柴田まるみ」

 桜花ゼミナールに遊びに来た卒業生の先輩の話を聞いて、最難関・女子学院に憧れを抱くようになったまるみ。夏合宿でも健闘した。にもかかわらず、お迎えに来てくれた母親に開口一番「JG(女子学院)なんて夢見てバカだった……あたしなんかが受かりっこない……!!」と弱音を吐くというネガティブキャラ。

 模試の偏差値が上がっても、喜ぶ様子もない。自習室では同じ女子学院を目指す天才肌の直江樹里と自分を比べ、卑下してしまっているようだ。

 9月に入りまるみの母親は黒木に、女子学院志望からの撤退と、クラスの降格を申し入れる。緊急の面談が催され、黒木と佐倉が対応した。母親の考えを否定も肯定もせず一通り話を聞き終えた黒木は、佐倉にこう話す。「中学受験での『途中脱落』は……受験生本人よりも、親のほうが先に音を上げる」。今回は母親のメンタルを整えるために面談を行ったというのだ。

 同じころ、黒木の席替えが行われた教室の中では化学反応が起きていた。樹里が隣の席のまるみの長所を何気なく次々と指摘する。樹里はまるみのいいところをまねしたいから、週末に自宅で一緒に勉強しようと誘う。樹里の自宅で、まるみは樹里の意外な一面を知る。奔放に見える樹里だが、実は樹里も樹里なりに不安を抱えていたのだ。凸凹コンビの2人は、お互いを尊敬し励まし合う仲間になった。

■小学生女子は人間関係で簡単に成績が上下する

 その様子を見て、黒木は珍しくほっとしたように言う。「『小学生女子は人間関係で簡単に成績が落ちる』が、その逆もしかり」。

 10月、最終的な志望校についての面談が始まった。親子が違う学校を望んでいるケースも多いが、「意外とピンときてない保護者が多いんですよ。『学校に通うのは自分じゃなく子ども』だということを」と黒木は指摘する。

 生徒たちの成績にも変動が。つねに成績トップだった島津順が、前田花恋にその座を奪われた。「時間が残されていないのは生徒だけではない……われわれにも時間がありません!」と黒木は桜花ゼミナール吉祥寺校の講師の面々にハッパをかける。

 2月の入試本番まで残り100日を切ろうというタイミング。いやが上にも塾に緊張感が張り詰める。残された時間で黒木はどうやって生徒たちを合格に導くのか、そして黒木のもう1つの顔の正体は何か……。その答えは第8集以降で明かされるだろう。

東洋経済オンライン

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最終更新:7/1(水) 8:10

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