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コロナ禍の採用活動!「オンライン面接だけで内定を出した会社」に取材してみた

7/1 6:01 配信

ダイヤモンド・オンライン

 コロナ禍で企業の採用活動や学生の就職活動もさまざまな影響を受けている。オンライン面接を導入する企業も多く、中には、最終面接までオンラインで対応して内定を出している会社もある。そこで、実際に、オンライン面接だけで内定まで出した複数の企業に、その理由や背景、実際の状況、トラブルの有無などを聞き、ポストコロナでもオンライン面接は定着するのか、考察してみた。(ダイヤモンド編集部 山本猛嗣)

● コロナ禍で大きな影響を受けた 企業の人材採用と学生の就活

 2月下旬以降の新型コロナウイルスの感染拡大は、あらゆるものに大きな影響を与えた。企業の新卒者の採用活動、学生の就職活動もその一つだ。合同説明会などのリアルイベントは軒並み中止となり、人材採用活動は一時的にストップした。そんな中、早々に説明会や面接をオンラインに切り替え、採用活動を再開した企業も少なくない。とはいえ、「1次、2次面接などはオンラインで行うものの、やはり、最終面接はリアルな面接で…」というケースが大半である。

 それでも「最終面接までオンラインで対応し、内定を出した」という企業は少なからずあるようだ。

 実際、採用コンサルティング事業のプレシャスパートナーズが実施した調査「新型コロナウイルスによる新卒採用への影響調査」(回答社数:256社)によれば、64%の企業が「選考をオンラインで実施」し、28%の企業が「最終面接までオンラインで行っている」という。

 そこで、「最終面接までオンライン面接で対応して、内定を出した企業」に取材し、その理由やオンライン面接の今後の可能性などを取材してみた。

 6月中旬から下旬にかけて、取材できた企業は以下の5社(50音順)。ちなみに、内定者全員が最終面接までオンライン対応というケースは少なく、採用活動中に切り替えたため、内定者の一部や7~9割程度というケースが多い。

◎フェンリル株式会社(大阪市北区、ソフトウエアデザイン・開発/企業のスマートフォン・ウェブアプリのデザイン・開発など)
◎株式会社プレシャスパートナーズ(東京都新宿区、採用コンサルティング・求人広告事業など)
◎株式会社ホワイトプラス(東京都品川区、生活テクノロジーサービス/ネット完結型クリーニング「リネット」など
◎株式会社ヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町、クラフトビールの製造・販売/「よなよなエール」など)
◎リスト株式会社(横浜市中区、総合不動産/仲介事業のリストインターナショナルリアルティなど傘下に6つの事業会社を持つ持株会社)
 これら企業への取材は、時節柄、対面は困難だったので、社長や人事担当者、広報担当者などに対して、メールやビデオ通話などのオンラインで実施した。

 傾向としては、やはり「最終面接までオンライン」という大手企業は少ないようで、どちらかといえば、人材採用に積極的な中堅企業やベンチャー・スタートアップ系の企業が多い。

● オンライン面接を 導入したきっかけは何か

 まず、これらの企業がそもそもオンライン面接を実施した理由は何か。

 当然といえば、当然だが、5社すべての企業が「新型コロナウイルスによる感染リスクを避けるため」と説明している。

 加えて、こうした中堅・ベンチャー系企業では、大手企業に比べれば、総じて人材の採用活動も早め早めに動く傾向にある。しかも、より積極果敢である。「対面による就職活動が軒並みストップする中でも、弊社の場合、採用を立ち止まることは考えても見なかった」(フェンリル)という声もあり、少しでも採用活動を進めて優秀な人材を確保したいという狙いがあるようだ。

 本社が地方だったり、地方出身者の採用を積極的に実施していた企業では、過去にオンライン面接の経験があり、それほどためらいなく、早々に導入を決断したようだ。

 「新卒採用では、もともと地方採用も積極的に行っていたため、コロナ以前でも最終面接までオンライン対応(本人による選択式)としていた」(ホワイトプラス)

 「最終面接ではないものの、過去に、遠方の応募者に対してウェブ面接をした実績があり、面接ツールなどをすぐに手配することができた」(ヤッホーブルーイング)

 などの声があった。

 とはいえ、40代以上の幹部社員、役員クラスでは、時節柄、「1次や2次の面接では、オンラインでも仕方がない」とは思うものの、「せめて最終面接くらいはリアルで行いたい」と考える人も少なくないだろう。

● 最終面接までオンライン 社内の反応はどうだったのか

 そこで、最終面接までオンラインで行うことについて、社内の反応はどうだったのであろうか。

 「2~3月ごろは他社の人事担当と会話しても不安の声が聞こえていたが、いざ実施してみると『意外にできた』という感想が多い」(フェンリル)

 「(やってみたら)対面で行うのと変わらないため、否定的な意見はなかった」(プレシャスパートナーズ)

 「候補者の表情が読み取りにくいことから、『やはり対面で面接したほうが良いのでは』という声はもともとあったが、選考を延期するのも候補者にとって良くないと考えて完全オンライン化に踏み切った。実際にオンラインでやってみると、表情が読み取りづらいと思う候補者は一定数いたものの、大半は問題なく実施できた」(ホワイトプラス)

 「面接を実施する前の段階では内定出しまでせずに、コロナが収束したら、念のためもう一度、対面で面談して最終決定する選択肢も残っていたが、オンライン面接をしてみたら、『このまま内定でいいんじゃない?』という感じになった。十分評価ができた実感が、面接官に共有されていた」(ヤッホーブルーイング)

 など、「実際にやってみたら、意外と大丈夫だった」という声が多かった。

 特に、ヤッホーブルーイングの場合、「弊社では直接会って感じる面接官の“直感”のような基準はなく、質問内容や評価基準が構造化されており、明瞭なため、その『基準が確認できたかどうか?』が、『面接が成立したかどうか』の判断になると考えている。その意味で、オンライン面接でも確認したいポイントがしっかり確認できた」と評している。

 中堅・ベンチャー系の企業の人材採用では、「内定者の半分近くがインターンをしていた学生だった」(リスト)など、もともとインターン経験者など面識ある学生の応募も少なくない。これもオンライン面接のハードルを下げている理由の一つだろう。

● 学生の反応や 運用上でのトラブルなど

 一方、オンライン面接について、学生の反応やトラブルの有無については、どうだったのであろう。

 「戸惑っている様子はなく、学生さんの順応性は高かった(学生さんが慣れている様子)」(プレシャスパートナーズ)

 「全体的に戸惑っている様子はなかった。中でも地方学生にとっては好評だった(交通費や移動時間の拘束がないため)。背景としてはベンチャー企業を受けている学生が多く、同じように他社もオンライン面接を実施しているため、ツールの使い方もスムーズだった」(ホワイトプラス)

 「過度に緊張したり、うまくやりとりができずに戸惑うというような場面はあまりなかった。皆さん、ちゃんと受け答えをされていた印象」(ヤッホーブルーイング)

 「オンラインが普通になっていたため、特に戸惑うような様子は見られなかった」(リスト)

 など、学生からは目立ったネガティブな反応はなかったようだ。

 むしろ、そもそも採用活動自体が一時的にストップしていただけに、「オンラインで採用活動が再開した点」については好評だったようだ。実際、下記のような声があったという。

 「新卒採用がストップし説明会も開催されなくなった企業も多い中で『オンラインでやっていただけてありがたい』という声は多く聞こえた」(フェンリル)

 「(オンライン面接の実施により)当初、案内していた通りのスケジュールで、結果を通知できたことについては、好評だった(併願している企業では、採用再開の見通しがなかなかつかず『どうしたら良いものか』と困っている方もいたので)」(ヤッホーブルーイング)

 面接中のトラブルなどについては、5社すべてが「当初のうちは、通信環境などでうまく接続ができなかったり、途中で音声が途切れたりするなどスムーズに行かない点があった」と説明している。

 「ZoomやSkypeがうまく起動せず、電話で連絡をとったケースが数件あった。緊急連絡先として電話番号を確認しておいたのが良かった」(ホワイトプラス)

 「学校アカウントによっては、自社のオンラインツールと外部接続不可の場合があった」(フェンリル)

 などといったケースもあったようだ。

 こうした点には「人事担当者が通信環境やマイク・カメラの状況について、事前に面接者に対して個別に確認する」という対応策で、トラブルが減ったという。

 また「面接中に宅配便が来てしまい、インターホンが鳴って中断してしまった」(ホワイトプラス)

 「通常の面接より、コミュニケーションのスピードが若干遅くなり、進行が遅れる傾向あった。それにより、休憩時間が少なくなってしまい、面接官の息継ぎができず、大変だった」(ヤッホーブルーイング)

 など、オンラインならではのトラブルもあったようだ。

● オンライン面接は 今後も定着・普及するか

 さて、こうしたオンライン面接であるが、今後も定着・普及するのであろうか。

 「非言語コミュニケーションが多い対面営業などの職種の採用では定着しにくいと思われる」(リスト)など、職種などによる適性の違いはあるだろうが、結論を言えば、オンライン面接は、企業の人材採用方法の選択肢の一つとして、間違いなく普及・定着するだろう。

 「最終面接での導入は検討中」という企業が多いものの、少なくとも取材した5社については、そのすべてが「来期もオンライン面接自体は積極的に取り入れたい」とし、「今後、オンライン面接は、普及するだろう」と回答している。

 その理由は2つ。

 まず、一つはオンライン面接に対する抵抗感が企業側にも学生側にもなくなっていることだ。

 コロナ禍で、オンライン会議やオンライン飲み会などが数多く実施され、ビデオ通話のツールにも慣れてきた人が多い。

 「コロナ禍でオンライン化が半ば強制的に進んだことにより、企業側にも学生側にも抵抗がなくなったのではないか。いまや、企業側・学生側ともにオンラインを活用したほうがチャンスは広がるだろう」(プレシャスパートナーズ)

 2つ目は、何よりも利便性が高く、学生と企業、双方のメリットが大きいことだ。

 特に、地方の企業や学生には、より恩恵が大きいのだろう。

 長野県が本社のヤッホーブルーイングは「特に遠隔地の方々との面談に関しては、お互いのメリットが非常に大きいと感じている。私どものような地方企業の場合、東京にわざわざ出かけて採用活動をする必要性も低減されることから、メリットは大きい」と説明する。

 大阪が本社のフェンリルは「これまでは拠点のある地域を中心とした採用活動が多かったが、オンラインでの実施により移動や距離に関係なく、弊社の選考を受けられる機会を増やしたい」と人材募集のエリアが広がることを期待する。

 スケジュール調整やコスト面での有益性も大きいようだ。

 「社長はじめ面接官のスケジュール調整が容易であることのメリットが大きい。これまで東京へ面接のために出張する際は、10人弱のメンバーが数日間、宿泊して対応していた。こうしたコストや手間が大幅に削減できる」(ヤッホーブルーイング)

● 学生は 「職場の雰囲気」がわからない

 一方、問題点は、何もないのだろうか。

 これは「選ぶ立場」の企業側よりも、むしろ「選ばれる立場」の学生から見た場合、「会社や職場の雰囲気がわからない」というデメリットがありそうだ。

 プレシャスパートナーズの高崎誠司(高は「はしご高」、崎は「たつさき」)社長は「企業側は学生(対個人)の理解はできますが、学生側から企業側(対組織)の理解(社内環境や働く人など)はオンラインでは100%は難しいかもしれません。『知ること』はオンラインでもできますが、『感じる』という部分は対面のほうがくみ取りやすいでしょう」と指摘する。

 実際、下記のような指摘や事例もある。

 「学生側の意思や状況に応じて、オンラインか、対面か、どちらを望むか選択式にしてあげることも大切ではないかと思った」(リスト)

 「過去、一度もオフィスに来社せずに内定まで出た学生は、さすがに少し戸惑いを感じていたように見受けられた。そこで、コロナ収束後にはオフィスに来る機会を設けることを約束したり、通常よりも多くの社員面談(オンラインによる)の機会を設けるようにして対応した」(ホワイトプラス)

 いずれにしても、コロナ禍では「働き方」や「学校の授業」「医療現場での診療」など、あらゆる分野でオンライン化が進んだ。今後も程度の差こそあれ、オンライン対応は選択肢の一つとして、普及と定着が見込まれる。企業の人材採用活動や学生の就職活動もその例外ではないだろう。

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最終更新:7/1(水) 11:10

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