IDでもっと便利に新規取得

ログイン

コロナ禍でワークマン、コスモス薬品、業務スーパーが「勝ち組」となった3つの理由

7/1 6:01 配信

ダイヤモンド・オンライン

 コロナ禍での流通の「勝ち組」はどこだ――。新型コロナの感染拡大で流通・外食業界でも「勝ち組」「負け組」が鮮明になっているが、その勝ち組の中でも「一人勝ち」を収めているところも少なくない。例えば、食品スーパーでは「業務スーパー」の3~5月の既存店売上高は2~3割は「当たり前」のごとく伸びているし、ドラッグストアのコスモス薬品もこの間、2ケタ以上の伸びを続ける。ワークマンもそうだ。実はそんな一人勝ち企業には意外な共通項があった。(流通ジャーナリスト 森山真二)

● 巣ごもり消費で 売り上げを伸ばした業務スーパー

 今では「業務スーパー」といっても「業務用」ではなく、「誰でも入れる店」ということを知らない人がいないくらい、知名度が上がった神戸物産が展開する「業務スーパー」。コロナ禍の巣ごもり消費で売り上げを伸ばしている代表格といえる。

 月次売上高が驚きの数字をたたき出している。コロナの感染拡大が始まった3月の既存店売上高は前年同月比で33.7%増、緊急事態宣言が発令された4月は34.8%増、さらに5月も30.0%増と新型コロナウイルスによる外出自粛が始まって以降、3割超の伸び率を続ける。

 食品スーパーでも伸びているチェーンはあるが、業務スーパーほどの伸びを示しているところはない。つまり、この業界で「一人勝ち」なのだ。

 ひとえに巣ごもり消費の恩恵といえそうだが、業務スーパーの品ぞろえは巣ごもりにピッタリである。「業務」とうたっているだけに、商品一つ一つの量が多いのだ。

 例えば、ヒット商品の“1リットルの紙パック”に入ったデザートシリーズ。

 このシリーズには「珈琲ゼリー」や「杏仁豆腐」「プリン」などがあるが「プリン」の1キログラム入り(7~8人前)で248円(税込み)という安さ。

 また、ブラジル産の「鶏もも正肉(2キログラム)」が通常700円前後だが、特売時には498円になったりする。

 「少人数世帯なんて知ったことでない」といわんばかりの量である。しかも鶏肉2キロで500円以下などは通常の食品スーパーではあり得ない価格設定だろう。

 巣ごもりで主婦の調理時間が増加していることも、業務スーパーの人気に拍車をかけている。冷凍したり、こまめに調理したりすれば廃棄することもない。

● ドラッグストアの中でも 特に売り上げ伸ばしたコスモス薬品

 続いて売り上げを伸ばしているのが、ドラッグストアである。マスクや消毒薬など新型コロナ予防関連商品の特需で、どこのドラッグストアも既存店売上高は伸びているが、中でも顕著なのが本拠地である九州から全国制覇を目指し東征を進めるコスモス薬品だ。

 同社の3月の既存店売上高は同13.6%増、4月は同24.2%増、5月は同19.8%増という結果になっている。

 他のチェーンはどうだったのかというと、業界トップのウエルシアホールディングス(HD)は3月同6.1%増、4月同8.2%増、5月5.0%増。業界2位のツルハHDは3月同14.5%増、4月同3.6%増、5月同4.1%増だった。コスモスの圧勝である。

 コスモス薬品が売り上げを伸ばしたのは、同社のビジネスモデルとは無縁ではないだろう。

 同社の店舗は郊外型が主力であり、一つの店舗で日常生活に必要な商品がそろえられるよう、食品をメインに品ぞろえをしてきたからだ。今ではどこのドラッグストアよりも食品売上高構成比が高く、約56%もある。

 つまり、食品の品ぞろえが充実していて、化粧品や医薬品も買える。しかも、それらを低価格で販売するコスモス薬品が巣ごもり下、支持されたのだ。

 そして、衣料品業界ではやはりワークマンだろう。同社の既存店売上高は3月が同23.4%増、4月が同7.8%増、5月が同22.2%増となった。

 新型コロナの自粛が強まった際に時短営業を565店舗、土日・休日の臨時休業を165店舗で実施した上で、この結果だ。

 同社は20年2月期の既存店売上高も、前年同月比10%増を切ることがなく、それこそ2割、3割の伸びは当たり前の世界を続けており、新型コロナの自粛にかかわらず強さが実証された。

 ちなみに、ファーストリテイリングが展開するカジュアル衣料専門店「ユニクロ」の国内既存店売上高は3月が同28.8%減、4月が同56.5%減、5月が同18.1%減だった。

 ユニクロの場合は、ショッピングセンターや駅ビルなど商業施設に入っている店が多く、施設側が休業していたことを割り引いて考えないといけないが、それにしてもワークマンの伸びは突出している。

● ライバルを差し置き 売り上げを伸ばした3つの共通項

 なぜ、業務スーパー、コスモス薬品、ワークマンは新型コロナの自粛の中、ライバルを差し置いて既存店売上高を大きく伸ばすことができたのだろうか。

 そこに、3つの共通項を見いだすことができる。

 1つは、ストパフォーマンスが高いということがある。

 業務スーパーは自社の農場や生産工場を持っている。自社で生産から販売まで一貫して行っているから不要な経費はかからない。

 しかも、店舗の多くが食品スーパーの居抜きだったり、段ボールをカットしたままの状態で陳列することを多用していたりとコストをかけずに運営されているから、低価格で販売できる。

 コスモス薬品の低価格の秘訣(ひけつ)は、なんといっても売上高販管費比率が圧倒的に低いことだろう。19年5月期は約15.9%であり、ドラッグストア業界でも低経費率で知られるサンドラッグの同約19%よりも低いのだ。

 もちろん、「コスモス薬品は郊外の不動産コストがかからないところに出店しているからじゃないか」という指摘もあるだろうが、このコストをかけない体制が生み出す価格は競争力を発揮している。

 ワークマンも作業着、カジュアル衣料をSPA型で製造、販売しているから、ユニクロのように中間コストが省略でき低価格で販売できる強みがある。

● 商品数や商品分野を 絞り込んでいる

 3社に共通する2つ目、3つ目の要素は、商品数と商品分野を絞り込んでいることだろう。

 業務スーパーは品ぞろえが豊富に見えるが、実は4500品目しかない。SPAということもあるが、通常食品スーパーは1万~2万品目というのが一般的だ。相当絞り込んでいるにもかかわらず、消費者ニーズを満たしている。

 コスモス薬品はドラッグストアながら、前述したように食品が56%を占める。

 ワークマンは作業着を「軸」としている。同社はスポーツ・アウトドアウエア専門店として新型店「ワークマンプラス」を増やしているが、この新型店で取り扱う商品は「ワークマン」のそれとほぼ変わらない。「見せ方」を変えているだけなのだ。

 コロナ禍を乗り切って勢いを増している業態には「勝利の方程式」がある。

 コロナ禍の「勝ち組」は、アフターコロナも伸び続けることができるか。今後はそこが焦点となるだろう。

ダイヤモンド・オンライン

関連ニュース

最終更新:7/1(水) 11:10

ダイヤモンド・オンライン

投資信託ランキング