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2カ月遅れの新入社員に伝えたい、「まずは80点!」の仕事術

7/1 6:01 配信

ダイヤモンド・オンライン

 コロナ禍の影響で、いつもより2カ月ほど遅れて「入社」した新入社員の話を多く聞く。そんな彼らに、ぜひ覚えておいてほしい仕事のコツがある。それは、「2日前の80点は、締切日の95点に勝る」だ。完璧を目指さず、「まずは80点!」で仕事に臨むと、上司や先輩にとっても、自分にとってもさまざまなメリットがあるのだ。(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)

● コロナで新人の「入社」は2カ月遅れ 今年は「7月病」か?

 例年、多くの日本企業で4月に新卒者が大量に就職する。そして5月は、会社にいまひとつうまく適応できずに悩む新入社員が出てくる、いわゆる「5月病」の時期だ。

 ところが、今年は、新型コロナウイルス感染症の影響でいささか様子が異なる。4月に一応入社はしたものの、そのまま自宅待機ないしテレワークに突入。オフィスに本格的に出社できるようになったのは5月下旬の緊急事態宣言明けからか、6月に入ってから、という新入社員さんの話を多く聞く。

 「6月になって、やっと歓迎会をやってもらって、本当に入社したのだなという実感が湧きました」といった初々しい話もあった。

 すると、7月を迎える今くらいが、例年でいうと「5月病」の時期に当たるかもしれない。

 そもそもテレワーク併用で、まだ調子がつかめない新入社員が少ないだろうと想像される。一方、オフィスに毎日通うことができたとしても、これはこれで体が慣れないということがあり得る。

 「生活が変わると疲れるのは普通のことなので、気にしないで」と声を掛けたいところだが、せっかくの機会なので、今後、長年役に立つはずの仕事のコツをお伝えできればと思う。

● 新入社員へのアドバイス ベタな3原則

 相手が「新入社員」ということだけを意識すると、(1)時間に遅れるな、(2)周囲の名前を早く覚えよ、(3)適切なあいさつを常に元気に行え、といういささかベタなアドバイスが頭に浮かぶ。

 いずれも他人から見た印象を改善することによって、自分の側の精神的なストレスが軽減されることを重視したアドバイスだ。

 立場を変えて、「インストラクター」などと称される新入社員の指導係の視点から考えてみよう。

 1年間たってみて、自分が担当する新人が1日も遅刻せずに元気に出社して、カードローンなどの借金を背負っていなければ、生活が破綻していないということ。まずは一安心というくらいのものだ。

 会社員生活に慣れてくれたら、後は本人の素質次第だ。最初から大きな期待を押し付けてはいけないし、まして、プレッシャーを掛けることを教育だと勘違いしてはいけない。

 特に指導者が、自分のストレスのはけ口を弟子である新人に向けることは厳に慎まなければならない。「自分はこんなに大変なのだから、こいつ(=新人)ももっと頑張るべきだ」という思考がよくない。「自分」と「新人」は別の人格だ。

 新人の側では、先輩の指導や要求が理不尽だと思ったら、何はともあれ、それをノートにでも記録しておこう。後になって、「今にして思うと、あれでよかったのだ」と思えるケースがそこそこにあるだろう。しかし、先輩の側が不適切な場合は、後にきっちりと「けじめ」をつけるのが社会人としてよいことだ。

● 「まずは80点!」の仕事術 締切日の95点よりも2日前の80点

 とはいえ、最初から先輩に対してけんか腰になる必要はない。先輩に対しては、「先輩といえども失礼は許さない」という気概と、「先輩のレベルを早く抜いてやる」という密かな競争意識くらいを持っているなら十分だ。

 多くの場合は、先輩に愛され、上司に評価されるように仕事をすることが、会社にとっても自分にとっても好ましい。では、どうしたらいいか?

 新入社員でも何カ月かすると、ある程度まとまった仕事をするように指示されることがあるだろう。何か調べろという課題かもしれないし、会議のための資料を作れといったオーダーかもしれない。または、顧客に対して何かを説明せよ、ということもあるだろう。内容はいろいろだが、その場の使い走りではないある程度の作業期間を伴う仕事の場合、ぜひ覚えておいてほしいコツがある。

 それは、一言で言うと「締切日の95点よりも2日前の80点が勝る」ということだ。

 例えば、金曜日の午後に行われる社内会議の資料を作成するよう、上司から月曜日に指示されたとしよう。この場合、締切は、前日の木曜日か金曜日の朝くらいであることが多いだろうが、80点くらいの完成度であっても水曜日に一度上司に中間報告して意見を問うような仕事のスタイルが好ましい。

 金曜日の朝に資料を提出すると、仮に95点の出来栄えであっても、残りの5点が自分と上司では改善しきれない場合がある。また、逆に90点の資料でよいのに95点はオーバースペックだったということもあり得る。

 基準点を5点オーバーするならいいかというと、必ずしもそうでもない。5点のために時間を費やすことのマイナス効果について考えなければならない。

 学生時代の経験では、試験時間をいっぱいに使って少しでもミスを減らして点数を稼ぐことができる集中力と持続力が大事だった(大学で観察してみると、できの悪い学生の多くは、試験時間を集中しきる根気がない)。他方、社会人の仕事の場合は、「まずは80点!」であっても、ある程度形になったものを早く上司に見せて、安心させることの効果が大きいのだ。

● 上司から見える「まずは80点!」 最大の効果は安心感

 上司は、仕事に穴が空くことを避けなければならない。部下に仕事を任せる場合、極端に言えば、部下が急病に陥ったときにも何とかできる「プランB」を常に用意していなければならない。上司の側では、部下に仕事を任せるのはなかなか気を遣うことでもあるし、気が抜けないことでもあるのだ。

 この点を考えると、金曜日が締切である仕事のアウトプットを、水曜日時点で「80点の出来まで作りました。あとはどうしたらいいですか」と言ってくれる部下は、何よりも仕事に穴が空くリスクがほぼ無くなったことが分かって安心だ。そして、残りについて何を改善したらいいかについては、普通は上司の方が分かっている。そのため、結果的により完成度の高いアウトプットを作ることができる可能性が高い。

 上司から部下を見る場合に、何と言っても大切なのは、仕事における「安心感」だ。「この部下は、ここまではできるだろうし、できない場合は早めにSOSを出してくれるから、次の手を打てる」と安心できる部下は使いやすい。

 逆に、優秀かもしれないけれども、アウトプットが出てくるまでリスクがあって安心できないという部下は使い方が難しい。仕事に対して真面目で、こだわりがある部下の場合、こうしたことが少なくない。

 組織の世渡りにあって、相手に対する「安心感」は重要な要素だ。そして、知っている相手は、知らない相手よりも安心感がある。よく役員人事などで、「偉い人に近い(一緒に仕事をしたことがある、など)けれども仕事ができない人」が「仕事ができるけども、偉い人と縁がなかった人」を凌駕して出世することがある。これは、極端に言えば、「どれくらいできないかが分かっている部下」の方が「何も知らない部下」よりも上司にとっては使いやすいからだ。

● 「まずは80点!」で自分にもメリット 仕事のスピード・完成度がアップ

 「まず80点!」のめどを早く立てて、実際に行うことは、自分にとっても小さくないメリットが幾つかある。

 まず、価値があると言えるような多くの仕事は、80点から先の点数を積み重ねることが難しい。他人にはできなかったり、積み上げに手間や資源を要したりすることが多いからだ。このプロセスを締切時間のプレッシャーを受けながら過ごすのは、トレーニングとしてはいいかもしれないが、ストレスフルである。できたら、避ける方がいい。

 また、「何があれば80点を取れるのか?」と早めに考える習慣を持つと、仕事のポイントを見つけることがうまくなる。

 そして、「まず80点!」の地点から、上司や協力を得られる別の他人の加勢を得ることができると、結果的に仕事の完成度を高めやすい。顧客向けのプレゼン資料など、最後の何点かの上積みが決定的な違いになる種類の仕事もあるので、使える人や資源は最もうまく使いたい。

 もちろん、現実には、不測の事態が生じて完成のために十分な時間をとることができなくなる場合もあるし、一人で抱え込むと、自分の仕事が何点に相当するのかについて見当の狂いが生じることもある。「まず80点!」の仕事術は、仕事の結果のバラツキ、即ち「リスク」を抑える上で有効な工夫でもある。

 なお、筆者はこの原稿を書いてみながら、自分の仕事について「日頃から、もっと早くに下書きを書いておくといいのに」と反省したことを付け加えておく。

ダイヤモンド・オンライン

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最終更新:7/1(水) 11:10

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