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「リスクオフの円高」は過去の話と再度証明。「リスクオフの米ドル高」を米ドル/円でも確認

6/27 14:06 配信

ザイFX!

■米国株の調整は当然の成り行き
 前回のコラムでは、以下の2つ論点について話した。

 1つは「猫も杓子も」コロナバブルを言い出したから、株式市場は不安定な変動時期に入ったかと思うこと。もう1つは米ドル売りに距離を置きたいということだ。

 今回も基本的な見方は変わらないが、状況次第で部分的な修正をしていく必要もあるかと思う。

 一昨日の6月24日(水)、米国株は急落した。前回のコラムでも強調したように、つい2カ月前には暗い見通ししか聞かなかった市場センチメントが急速に好転、また、楽観的になりすぎたようにみえるから、材料と関係なく調整してくるのは、むしろ当然の成り行きだと思われる。

■株式市場はしばらく波乱含みの保ち合いか
 しかし、一般的にこのような解釈は広く受け入れられず、何らかの材料を探し出して理由を付けて解釈されたものが「納得」されやすいかと思う。

 ナバロ米大統領補佐官が「米中貿易合意破棄」と発言したり、その後、トランプ氏に否定されたり、また、米欧貿易摩擦が伝わったり、米コロナ感染者数の増加が懸念されたりといったことは、株式市場の反乱や反落の原因として挙げても間違いではないが、根本的な問題ではなかろう。

 単純に言えば、米国株をはじめとしたV字急騰自体が行きすぎの段階に入り、また、市場センチメントが悲観一辺倒から楽観一辺倒に変わりすぎたから、反落自体はむしろ歓迎されるべきだと思う。なぜなら、調整があった方が、より健全な上昇トレンドを継続していけるからだ。

 したがって、材料はどうであれ、足元の株式市場はスピード調整の期間に入っており、しばらく波乱含みの保ち合いが続く公算が高い。

 こういった時期だからこそ、材料に一喜一憂すべきではなく、相場における重要なポイントを見据え、市場の内部構造に沿ったストラテジーを構築すべきだと思う。

 換言すれば、材料や材料に関する解釈、そして、市場センチメントの変化に振り回されないように一層警戒すべき時期でもある。

■米ドル/円の値動きと背景にあった出来事を検証
 とはいえ、米国を中心に新型コロナ感染者の増加傾向自体が大きな懸念材料であることに異議はない。国家の総力を挙げて人権侵害と指摘されるほど厳しい防疫体制を敷いてきた中国でさえ、首都北京が再び感染者増となり、油断できない情勢だと言われる。リアル生活におけるコロナショックはまだまだ続いており、相場への影響はむしろこれからだと思う。

 ここで重要なのは相場の反応パターンを見極めることだ。米ドル/円を取り上げ、市況を検証していきたい。大まかなイメージは以下のとおりだ。

 6月23日(火)午前、ナバロ氏の発言が伝わると、一時106.74円までの安値を記録したものの、その後切り返し、午後1時頃いったん107.22円の高値をトライした。

 大事なのはその時点においてリスクオフの円高が確認されなかったこと、そして、米ドル全体の値動きとズレがあったものの、総じて同じ方向を示したことだ。

 そして、米ドル/円はその後、急落した。

 こういった一連の値動きの背景について、いろいろな指摘があるが、トランプ氏によるナバロ氏発言の否定などを挟みつつ、ソフトバンクによる米TモバイルUS株の売却に絡む米ドル売りの動きがあったなどと言われる。

■米ドル/円でも「リスクオフの米ドル高」に
 しかし、一般論として、このような観測はあくまで「憶測」であったことを認識すべきで、ソフトバンクさんの米ドル売りよりも、それを材料として利用して投機筋が仕掛けたという方が、真実に近いと思われる。ストップがいっぱい刈られたのだろうか、同日(6月23日)東京時間の夜11時前後にかけて、106円の節目割れ寸前まで急落した。

 その後急転し、昨日(6月25日)、一時107.46円を打診した。その背景としては、米株安の要因が最も重要。前述のように、「リスクオフの米ドル高」は米ドル/円でもしっかり確認された。そして、「リスクオフの円高」はもう過去の話と再度証明してくれた好例だとみる。

 米ドル/円とドルインデックスの値動きを比較すればわかるように、ナバロ氏の発言があった直後はいったん相反したものの、その後はほぼ連動しており、円は「普通の通貨」になった、すなわち「リスクオフの円高」が観察されなかったことが再確認されている。

 となると、前述の「ソフトバンク絡み」の急落も大袈裟に解釈された部分があったのではないかと推測される。結局のところ、米ドル全体との連動が強まっていることに尽きる。

■ドルインデックスは再度6月安値をトライする可能性も? 
 一方、ドルインデックスはというと、6月22日(月)~23日(火)に反落し、その後切り返し、目先保ち合いを維持しているから、レンジ変動の様相が強まっている。

 5月後半から急落してきた分、安値圏での保ち合いがあった方が底打ちに寄与する側面も大きいが、早期に6月22日(月)の高値を上放れできないと、次第に頭が重くなり、下値リスクを拡大させる可能性も大きい。

 要するに、3月高値を起点とした米ドル全体の大型反落が一段と延長される可能性もある。6月23日(火)安値を割り込めば、再度6月安値をトライしてもおかしくなかろう。

■米ドル/円チャートには底固めのパターンが見られる
 米ドル/円と米ドル全体の連動性は既述のとおりであり、連動していけば、米ドル/円も5月安値を割り込むことが推測されるが、最近の値動きに照らして考えると、106円の節目前後におけるサポートゾーンが再確認され、下値割れのリスクは低下しているようにみえる。

 プライスアクションの視点では、6月23日(火)の大陰線を中心に、前のローソク足に対して「アウトサイド」のサインを点灯、その後のローソク足に対して「インサイド」を形成し、昨日(6月25日)、下放れではなく、いったん上放れを果たしたから、底固めのパターンとして重視しておきたい。

 こうなると、目先はまだら模様だが、仮にドルインデックスが切り返しを継続する場合は、米ドル/円も連動して切り返しを強め、逆にドルインデックスが続落する場合は米ドル/円の安値が維持される可能性を無視できないから、結局、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の再上昇が見込めるのではないかと推測される。

■クロス円の状況から今後の市況を予測してみると…
 逆説的になるが、クロス円の状況をもう1回確認しておくと、これからの市況のヒントが得られるかもしれない。

 主要クロス円のうち、豪ドル/円の切り返しがもっとも鮮明だったので、豪ドル/円を例として見てもよいが、インターバンクにおいて直接取引できるのはやはりユーロ/円なので、ユーロ/円を見るのが適切だと思う。

 以前本コラムで強調したように、ユーロ/円は5月にて底打ちし、そのサインは本物である可能性が高い。

 したがって、6月に入ってからの調整は、あくまでスピード調整の一環と見なされ、5月安値を起点とした切り返しの半分押しや200日移動平均線を再度確認したところで調整自体も目標達成感が強く、6月22日(月)の「強気リバーサル」のサインをもってすでにブル(上昇)基調に復帰したかと思われる。

 こうなると、主要クロス円の上昇は米ドル/円の急伸か、米ドル全体の再反落を意味する。目先、米ドル/円の急伸は想定しにくいから、緩やかな全体的な米ドル安がもう少し続くのではないかと思う。

 この部分は前回の見方と違っていたので、参照してもらいたい。

 検証はまた次回、市況はいかに。

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最終更新:6/27(土) 14:06

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