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東京為替見通し=対中問題・G7延期、米国内デモ、国際情勢は大混乱に

6/1 8:00 配信

トレーダーズ・ウェブ

 海外市場でドル円は、月末のロンドン・フィキシングに向けた円売り・ドル買いのフローが観測されると急速に持ち直し、一時107.90円と前日の高値に面合わせした。
 なお、トランプ米大統領は会見で「香港への優遇措置を撤回する手続きに入る」と明らかにしたが、貿易交渉の第1段階合意の撤回や対中追加関税には言及しなかった。市場では「警戒していたほど厳しい内容ではなかった」との見方だった。
 ユーロドルはユーロポンドの上昇をきっかけにユーロ買い・ドル売りが先行。一時1.1145ドルと3月30日以来の高値を付けた。ただ、米中対立激化への懸念から米国株価が下落するとリスク回避のドル買いも散見されて、一時1.1081ドル付近まで押し戻された。

 本日の東京時間の為替市場は、方向感のない動きになりそうだ。国際情勢はこれまでにないほど混乱しているにもかかわらず、ドル円相場を中心に為替市場は比較的狭いレンジ内での取引が続いている。
 ドル売り・ドル買いの両サイドのリスクがあるため、本邦勢を中心に目先のリスクを最小限に抑えようと上昇局面では売り、下落局面では買いという動きは当面は続きそうだ。
 ただし、国際情勢の混乱から当面は抜け出すことが難しいことを考えると、今週はこれらの国際情勢の動き次第で、株式市場、原油先物市場、そして為替市場は急に動くこともあり得ることで警戒を怠らないようにしておきたい。
 特に今週は米国からの3点のリスクファクターを念頭に置いておきたい。1点目は香港国家安全法をめぐる対中関係だ。
 先週末29日に米政権は香港優遇の廃止を決定している。ただし、発表された見直しはまだ序の口であり、米政権も「対応措置には長大なリストがある」と述べているように、今後の追加制裁も予想される。
 特に資金決済などの金融面での制裁を開始する可能性も示唆されていることで、先週のトランプ米大統領の会見で市場の動意が薄かったことに楽観視するのは時期尚早だろう。
 2点目は6月に開催予定だったG7をトランプ大統領が延期を要望すると発言し、国際協調体制が再び乱れていることだ。トランプ大統領は新型コロナウィルス感染拡大を抑制しているというアピールを兼ねて、6月にG7各国の首脳がキャンプ・デービッドに集まることを期待していた。
 しかしメルケル独首相がウイルス蔓延の状況下で渡米しての参加を辞退するなど、トランプ米大統領の思惑通りに進まないことが分かった。これに対して、トランプ大統領はG7を延期し、9月のNYでの国連総会か11月の大統領選以後という、自分に都合の良い日程での開催を希望すると発表した。
 なおかつ参加国も、ロシア、韓国、豪州、インドを加えるように希望している。トランプ大統領にとって自分になびかない欧州の勢力を削る意図と、参加国に中国を加えないという中国包囲網も目論んでいるようだ。
 この動きに対してドイツを中心とした欧州、そして包囲網を築こうとしている中国と、米国の関係悪化が懸念される。
 3点目は米国のデモの激化が注目される。25日にミネソタ州で無抵抗であるにもかかわらず、警官から首を膝で押さえつけられた黒人男性が死亡した事件が、全米各地でデモや暴動にまで発展している。デモは少なくとも全米75都市に拡大し、数十の地域で夜間外出禁止令が発令されている。
 この数は1968年のキング牧師暗殺以来となる。しかも、これに対してのトランプ大統領は、根本的な問題解決をする姿勢もなく、ツイッターで「ANTIFA(反ファシズム)組織や急進左翼のせい、他を責めるな」と批判し、根本的な解決に乗り出さず、むしろ国家の分断を煽っているかたちになっている。
 かつても警官の黒人に対する暴力に抗議をするスポーツ選手を、トランプ大統領は批判してきたこともあり、大統領に責任の矛先も向かいそうだ。この黒人への暴力は1992年のLA暴動を思いおこし、今後は米経済にとってもネックとなる可能性がある。
 なおLA暴動の被害総額は約10億ドルとされているが、あれから28年たちインフレ化していること、デモの規模が当時よりも広大なこと、密集していることでウイルス感染の拡大の可能性など、経済的な影響は当時よりも大きくなるかもしれない。
 本日の東京時間の経済指標は1-3月期の本邦法人企業統計調査、5月Caixin中国製造業購買担当者景気指数が発表されるが、いずれの指標でも為替市場を動意づけるのは難しく、為替市場は上記のリスクファクターの進展が相場を左右することになりそうだ。

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最終更新:6/1(月) 8:00

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