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コロナ禍で「遠距離結婚を解消」した夫婦の選択

5/31 5:46 配信

東洋経済オンライン

 「コロナ禍で“積極的遠距離結婚”から積極的近距離結婚、つまりは普通の結婚生活になりました!」

 そう笑顔で話すのは、和歌山県内でゲストハウスを営むゴローさん31歳です。

 ゴローさんは、2年前に6歳年上の妻、真由美さんと結婚。それまで勤めていた宇都宮市内の会社を辞め、地元和歌山へ戻り一念発起。学生時代からコミュニティー作りが得意だったゴローさんは、海外からのゲストを熊野のある地元でもてなしたいと、ゲストハウスをスタートさせました。

 妻の真由美さんとは、6年前に栃木県宇都宮市で出会いました。真由美さんは大手企業の宇都宮支社勤務で、会社の後輩がたまたまゴローさんの友人だったそうです。

 2人が急接近したのは、民間ボランティアが運営する宇都宮花火大会でした。

 真由美さんは花火大会募金の集金係で、真由美さんが出向けば、とにかくお金が集まるとうわさされるほどのやり手。ゴローさんはぜひそのノウハウを知りたく、真由美さんの後輩である友人に紹介してもらうことに。

 それ以来、花火大会のボランティア会議などで会う機会も増え、ゴローさんが企画するイベントには真由美さんも参加するようになり、気が付けばお互いに惹かれ合って交際がスタート。共通の仲間も増え、ますます地域イベントの盛り上げ役となり、順調なまでの関係を築いていきました。

■脱サラし、地元和歌山で起業することを決意

 しかし転機が訪れます。

 ゴローさんは、宇都宮でさまざまなコミュニティーイベントを企画開催するにつれ、1つの目標が芽生えてきました。

 それは、地元和歌山で、国や地域を超えたコミュニティーを作ることです。

 ゴローさんはつねづね自分で何かビジネスがしたい、何か発信できるものはないかと考えており、とくに実家のあたりは熊野信仰の聖地で外国人にも人気。これまでさまざまな国を旅歩いてきたゴローさんにとって、地元でのコミュニティー作りというのが明確になっていきました。そして、交際から3年ほど経った頃、意を決して脱サラ、起業することを決めたのです。

 これを受けて真由美さんはとくに驚くこともなかったと言いますが、1つ心の中で決意が生まれました。それは、ゴローさんとの結婚です。

 「プロポーズはゴローがしてくれたんですけど、実はずっと私からせまってたんです(苦笑)」と真由美さん。

 「ゴローの思いを考えれば宇都宮と和歌山の遠距離は別に気にとめるようなことではなかったです。ただ、私は35歳という女性の年齢的な節目を迎えようとしていましたし、何度も、いつ結婚するの? とちょいちょい突っつくようになってましたね。しまいには、“今年中に結婚しないなら勝手に婚姻届け出してやる!”と迫ったんです。将来子どもが欲しいという思いもありましたし、35歳になるまでには! という思いがありましたね」

 「そうなんですよ、なので僕は2択でした。プロポーズして結婚するか、またはプロポーズせずに自動的に入籍されるかです(笑)。結婚しないという選択肢はなかったですね。真由美ちゃんポジティブなんですよ」

 となんとも微笑ましいやりとり。

 そして2人はゴローさんからのプロポーズを経て結婚。

■「積極的遠距離結婚」から週末婚へ

 ゴローさんは公言どおり退職し、地元和歌山でビルの2階、3階を借りてゲストハウスをオープン。しかし、すぐに軌道に乗るかもわからない、収入も不安定、事業だってうまくいくかわからないという状況ですし、真由美さんもこの頃とても仕事に燃えていた時期でしたので、「お互いに今やるべきことをやろう。一緒に住むのは後でもいいよね。遠距離だとつねに新鮮だしね!」とあえて“積極的遠距離結婚”という形をとることになりました。

 “積極的遠距離結婚”をご両親に報告した際、どちらのご両親も「2人で決めたことでお互い納得しているならいい。今の時代、結婚もいろんな形があっていい」とすぐに理解してくれたと言います。

 そうしているうちに、なんと、異動届を出していないのにもかかわらず、真由美さんは宇都宮から大阪への転勤が決まったのです。

 2年前筆者も参列させていただいたゴローさんと真由美さんの挙式は、「積極的遠距離結婚2018東京和歌山ツアー」と題して、なんと東京と和歌山の2カ所で開催(筆者は東京ツアーに参列)。

 以前お世話になった宇都宮の仲間にも来てほしい、そして、ゴローさんの学生時代の仲間が多い東京と、親戚や今お世話になっている方々が多い和歌山ということで2カ所。さらには大阪と和歌山と言えど特急で4時間もかかるほど離れているので、東京挙式の際2人は羽田空港集合解散。新婚旅行も空港集合空港解散だったというユニークさ。とにかく「離れている」ということをどこまでも楽しむようなお二人です。

 結婚生活がスタートしてからというもの、真由美さんは月1~2回、特急列車に4時間揺られ和歌山のゴローさんのところへ通っていました。ゴローさんは実家暮らしで、週末にはゴローさんのご両親も義娘に会えることを楽しみしていたそうです。

 真由美さんが来る週末には、和歌山県内の観光をしたり、お友達が営むお店においしいたこ焼きを食べに行ったり、田舎の大自然に癒されたいという真由美さんを毎回温泉へ連れていっていたと言います。ゴローさんが仕事で忙しいときには、真由美さんは和歌山で知り合った友人らと遊びに出かけ、ゴローさんが仕事の終わる時間に合わせて帰宅するなど、和歌山での交流も楽しむようになっていったそう。

 「とにかく一緒にいる時間が限られているので、けんかなんてしてる場合じゃないんですよね。夫婦と言えど、離れているからこその毎回新鮮なデートは楽しんでいた感じです」とゴローさん。

 コロナの影響で3月末頃からリモートワークに切り替わった真由美さんは現在、ゴローさんの実家で一緒に暮らしていると言います。

 離れていた日常から一転、今度は距離が近くなり、さらにはご両親も一緒に暮らす環境という状況の変化にけんかや戸惑いはないか聞いてみたところ、お二人からは「けんかも戸惑うようなことも一切ない」と歯切れのよい返事がきました。

 さらに真由美さんは続けます。

 「この家は、“帰りたい家”なんですよね。2人で暮らす新居を探すよりも、私のほうからこの家にしばらくいさせてほしいとお願いしたくらいです。義母は学校の先生をやっていたので、働く女性に理解あり、私が仕事で忙しく家族そろって食事ができないときでもそっと見守ってくれていますし、人の扱いがうまいのかもしれませんね。

 それに、このコロナの中、1人でずっと大阪にいたら荒れ果てた生活だったと思うんです。1人暮らしの狭い部屋で、寝食も仕事も同じ場所で生活の切り替えができないでいたかもしれません。今のような生活と精神状態が保ってられて、規則正しい生活を送れているのは義理の両親のお陰でしかありません」

■一緒にいられる幸せを実感

 生活リズムは規則正しいご両親に合わせ、料理、洗濯、風呂掃除などの家事は、週の半分はゴローさん夫婦で分担しているそうです。真由美さんが仕事で忙しい平日はゴローさんが中心に家事をして、ゴローさんが忙しい週末は真由美さんが家事を担当。2人が忙しいときはご両親が担当と、ほどほどの距離を保ちながら親子2世代同居生活はうまくいっているそうです。

 「今まで当たり前に会うということができなかったので、つねに一緒にいれることがどれだけ幸せなことかと改めて思いますね」とゴローさん。

 全国で緊急事態宣言が解除される中、ゴローさんと真由美さんの“新婚生活“はまた遠距離結婚に戻ってしまうのでしょうか。一緒に過ごすことが当たり前となった現在、また離れて生活をするということを真由美さんはどのようにとらえているのでしょうか。

 「世の中のこの状況、この生活になって一番感じたのは、今の会社に固執しなくていいかなということですね。和歌山にいる今、ゴローが始めた新しい事業が忙しくなって仕事の手伝いをしているのですが、楽しいんです。ゴローも仕事の幅を広げたいみたいだし、それには人手がいる。今はまだ人を雇える状態ではないので、できればゴローと一緒にビジネスをしたいという思いが大きくなってきましたね」と。

 それに対して「できることなら一緒に仕事したいですね。そろそろ妊活もしたいと思っていますしね。結婚して2年が経って、ようやく新婚生活がスタートしたような感じでいます」とゴローさん。

 2人の“積極的遠距離結婚”は今後どうなっていくのか、生活を共にするようになったとしてもきっと何か個性的な関係性を築いていくであろうユニークなこのお二人からはまだまだ目が離せません。

東洋経済オンライン

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最終更新:5/31(日) 5:46

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