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「遊ぶ子」と「忙しい子」自己肯定感に出る大差

5/31 5:50 配信

東洋経済オンライン

新型コロナウイルスによって、子どもたちが多大なるストレスにさらされている。学校へ行って思うように勉強できないこともそうだが、何より問題なのは自由に遊べないことかもしれない。コロナ終息後は、子どもの勉強の遅れを取り返したい、と思っている親も多いだろうが、前回に続き、子どものスケジュールを詰め込みすぎず、余裕を持って遊ばせることの重要性を『「自己肯定感」を高める子育て』より、抜粋してお届けする。

■「積み木」のあなどれない効果

 遊びの衝動は、人間が生まれつき持っている本能の衝動だ。最近の研究では、人が「遊びの必要性」を直感的に知っていることが示されてもいる。

 例えば、遊びはストレスを和らげる。ついでながら、この結果は、資源に恵まれた向上心の高い地域社会や学校だけでなく、生活に苦労している貧しい地域でも見られる。

 ほかに、少し驚くような発見もある。ある研究者たちによれば、ただ「積み木」で遊んでいるだけで、幼児の言語の発達が向上するという。同様に、幼稚園に送り出されたあと勝手気ままに遊んだ子どもたちは、先生に本を読んでもらった子どもたちより、親と離れてもあまり取り乱さず、我慢できた。遊びという単純な行動が、感情を整えるときに役立つようだ。

 よく調べずに見れば、遊んでいる子どもはただ時間をつぶすか、単に楽しんでいるだけで(もちろんそれもよいことだが)、知能を高めるような何かを“達成”することや、“建設的な”何かをすることはないと思えるかもしれない。

 しかし、遊びに関する研究がはっきり示すところによれは、遊びという行為自体に、認知能力と非認知能力の両方にとって、数えきれないほどの利点がある。

 遊びは子どもの「仕事」だ。遊びは認知のスキルを育て、言語能力と問題解決能力、さらには計画づくりや予測、結果の予期、予想外の出来事への順応など、高度な実行機能を高める。

 その1つひとつが、物事をポジティブに考える「プラス脳」のスキルだ。遊びは脳の統合を促す。子どもの人付き合いのスキル、人間関係のスキル、言葉を操るスキルまでが、遊んでいる間に向上する。

 遊び場の駆け引きをうまくやり、ゲームやグループのルールを決めなくてはならないからだ。子どもたちはどうしたら遊びに入れるかを探り出し、思いどおりにいかないときには、ほかの子たちと交渉しなくてはならない。公平さや、順番を守ること、柔軟になること、道徳的にふるまうことを学ぶ。仲間外れにされている子にどう対応するか決めるときには、共感に関わる難しい問題に向き合う。

 遊びはこういう社会的な利点だけでなく、心理面、感情面での効果も発揮して、脳のバランスを整える。

 子どもは遊んでいるとき、落胆に向き合ったり、注意力を保ったり、世界の意味を理解したりという、「自己肯定感」につながるさまざまな資質を伸ばすための練習をしている。感情を整えてキレない力と立ち直る力をつけ、思いどおりにいかないときのいら立ちに耐える能力を伸ばしている。
 
親たちに遊びについて、そして自由時間とバランスの取れたスケジュールの重要性について話すと、「理想論ね。じゃあ、あなたたちの子どもの場合は、どう対処しているの?」と、必ず尋ねられる。

■できれば1つの活動に集中させていたいが…

 この本の著者の1人であるティナは、子どもを持つ前に、「母親になったら子どもには1度に1つの活動しかさせない」と決めていた。スケジュールが詰まりすぎている子どもがいかに疲弊しているかを耳にしていたからだ。そういう子どもたちは家族と過ごす時間がなく、消耗してしまい、親に熱心に勧められたなんらかの活動を嫌うようになる。

 すべてなるほどと思えたので、ティナは子どもがダンス教室に通いたがったら、その教室が終わるまでは、それだけをやらせることにした。スポーツをやりたがったら、シーズンが終わるまでは、ほかのことはやらせない。子どものスケジュールを詰まりすぎにはしないつもりだった(子育て本の作家であるわたしたちは、架空の子どもたちに対しては、つねに理想的ですばらしい親になれるのだ! )。

 長男が生まれると、ティナは息子が手にできる、ありとあらゆる機会と、息子が示すありとあらゆる興味を目にした。

 ほどなく“1度に1つの活動”の公約は試練にさらされた。ティナと夫は、息子にピアノを習ってほしかった。ところが彼は、学校の友だちといっしょにカブスカウト(ボーイスカウトの幼年部門)に入りたがった。さらに、運動競技への熱中が明らかになり、毎シーズン、あらゆるスポーツをやりたがった。

 ピアノ。カブスカウト。スポーツ。それに遊びの約束、宿題、家族の外出を加えたら、どうやってすべてを予定表に組み込めばいいのだろう?  そして今では3人の子どもがいて、それぞれが自分の機会と情熱を手にしている……! 

 もう1人の著者、ダンも、自分の子どもたちで同じ経験をして、音楽の演奏とバレーボールの試合でたくさんのわくわくする日々を過ごした。それは子育てにはつきものだし、子どもたちにこれほどたくさんの多様で楽しい選択肢があることには感謝している。

 ここでもやはり、バランスと、それぞれの子どもの個人差の問題になる。スケジュールが詰まりすぎている子どもが、多くの家庭で心配の種になっているのは確かだ。しかし家庭によっては、スケジュールに余裕がある子どもが、1日に何時間もテレビやタブレットを見て過ごすことが問題になっている。

 著者それぞれの子どもたちは進学校に通い、さまざまな活動に参加しているので、ときどきスケジュールが詰まりすぎていないか心配になる。これまで多くの子どもたちのスケジュールのバランスが取れていない事実を見てきた経験から、理想論でなく現実的に、理にかなった判断基準をもうけたいと考えた。

■子どものストレスをチェックしてみよう

 子どもたちはたいてい、活発に過ごすのが大好きだ。子どもが健康で、家族全員の予定表をぎゅうぎゅう詰めにしないよう親が調整できるかぎりは、子どもの情熱を満足させ、大好きな楽しい活動に参加させてやりたい。

 では、どうすればバランスを取れるのだろう?  次の質問は親御さんたちが悩んだとき自分に問いかけてみるよう、わたしたちが勧めているものだ。

1.この子はストレスがたまっている? 
しょっちゅう疲れていたり、不機嫌だったり、そのほか、追い詰められている、または不安を感じているようなそぶりを見せたりなど、バランスが悪い徴候を示している? 

2.この子は忙しすぎて、遊んだり創造的になったりする自由な時間がなくなっている? 

3.この子は十分な睡眠を取っている? 
あまりたくさんの活動に関わっていると、寝る時間に宿題を始めることになる。これは困った問題だ。

4.この子のスケジュールはいっぱいすぎて、友達やきょうだいと気ままに過ごす時間がなくなっている? 

5.家族みんなが忙しすぎて、決まった時間に一緒に夕食がとれない? 
毎食必ず一緒に食べる必要はないが、ほとんどない場合は心配だ。

6.子どもにしょっちゅう「急いで!」と親が言っている? 

7.自分自身が忙しくてストレスがたまっているので、子どもとのやりとりの大半がイライラしたりキレたり、になっている? 
 これらの質問の答えに1つでも「はい」があるなら、立ち止まって考えてほしい。

 2つ以上「はい」があるなら、子どものスケジュールが詰まりすぎかどうか、真剣に考えることをお勧めする。

 一方、子どもにスケジュールの詰め込みすぎの徴候がまったくないなら、この問題について心配する必要はないだろう。

 おそらくあなたの子は活動的で、すこやかに成長し、楽しく過ごしている。

 あなたの子は「自己肯定感」を高める健康なバランスを取る方法を、すでに見つけているということだ。

東洋経済オンライン

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最終更新:5/31(日) 7:49

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