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米ドル/円の「居眠り取引」って一体ナニ?クロス円が堅調な2つの理由とは?

5/30 14:06 配信

ザイFX!

■株高が続き、市場のコンセンサスが変わりつつある
 株高が続いている。米国株のリード、また、ナスダックのリードは相変わらず、そして、NYダウや日経平均の追随も鮮明になってきたから、市場のコンセンサスも変わりつつある。

 株高に懐疑的な見方の多くは、今、変わろうとしているように見える。

 もっとも、筆者のような、最初から株のV字回復を主張してきた者なら、これまで冷たい視線を注がれることが避けられなかっただろう。

 しかし、株の力強いリバウンドが継続されるにつれ、これまで株高の見通しをバカにしていた方々も微妙に軌道修正しはじめ、「一段安必至」云々を言わなくなってきた模様だ。

 現状を見ると、ナスダックはいったん最初のギャップ(2月21日と24日の間)を「埋め」、日経平均はいったん200日移動平均線(200日線)を打診、また、NYダウは2月高値(史上最高値)を起点とした全下落幅の61.8%を取り戻したので、V字回復はもちろん、これからさらに戻り余地を拡大するかと思われる。

 以前、本コラムで指摘したように、早ければ2020年年内、遅ければ2021年前半に、高値更新もあり得るだろう。もちろん、この場合でも米国株のリード、また、ナスダックスのリードは変わらない。

■株下落派の「改心」によって株高が一服するかも? 
 反面、前述のように、これまで株高の見通しをあんなにバカにしていた面々の「改心」が見られることを、逆に警戒のサインと見なし、株高の一服を意識しておきたい。

 相場の真実とは、将来について皆の見方が分かれるのが正常で、合致すればするほどトレンドが進まなくなる恐れが大きい、ということだ。頑固なベア(下落)派が立場を放棄し、場合によってはロング派に転換したら要注意なので、株高のトレンドが変わらなくても、一服するぐらいは十分想定され、また、そうなる可能性が高いと思う。

 為替市場では、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)における堅調な値動きが目立つ。特にユーロ/円の切り返しが一層鮮明になってきた。

 前回のコラムで提示したレポートの指摘どおり、いったん200日線のトライを果たしているから、これから120円の心理的大台の打診があってもおかしくなかろう。

■クロス円の堅調は2つの理由によるもの
 株高の局面において、クロス円の反発をリスクオン・オフの視点で見る方が多いようだが、足元のクロス円堅調の土台は以下の2点に依存していることを見逃せない。

 1つは米ドル/円の「居眠り取引」だ。もちろん「居眠り取引」は筆者の造語で、眠気を誘う米ドル/円の値動きの揶揄である。

 5月19日(火)の米ドル/円の値幅はわずか80銭しかなかったが、昨日(5月28日)まで同日の値幅から抜けられずにいた上、執筆中の現時点でもわずかに19日(火)の下値をいったん更新している程度で、「動かない」相場の様相を呈している。

 もう1つは米ドル全体の弱含みだ。ドルインデックスは3月27日(金)安値や200日線をトライしており、3月高値を起点とした調整波を深めようとしている。

 リンクするように、ユーロ/米ドルは再度200日線を超え、3月27日(金)高値1.1148ドルを打診する勢いを見せている。

 要するに、ユーロ/円の切り返しは、「動かない」米ドル/円と切り返すユーロ/米ドルの両方からもたらされた結果であり、この理屈は主要クロス円全般に通じる。

 豪ドル/円の堅調も然り。豪ドル/米ドルの切り返しが継続し、200日線を再度打診しているからこそ、豪ドル/円も続伸、71円前半のレベルを維持できている。

 そして、諸外貨の米ドルに対する強含みとともに、「動かない」米ドル/円が同時進行しているから、クロス円の堅調は当然の成り行きと思われるわけだ。

■主要外貨の堅調は暴落に対する反動にすぎない
 ここで注意していただきたいのは、筆者は主要外貨対米ドルの堅調をあくまで「強含み」の値動きと見なし、ブル(上昇)トレンドに戻したとは言っていないということだ。

 確かに3月安値からの豪ドルの切り返しは急速で、また、その戻りを維持してきたが、それは、あくまでコロナショック発生後、3月安値までの暴落があったからこそ起こった調整と位置付ける。

 換言すれば、豪ドル/米ドルの上昇は深刻な「売られすぎ」の状況に対する反動にすぎず、足元、ブルトレンドと認定するにはなお性急であることを再度、記しておきたい。

 同じ理屈で、英ポンド/米ドルの切り返しを説明でき、また、ユーロ/米ドルの値動きも説明できる。ユーロ/米ドルが、豪ドル/米ドルや英ポンド/米ドルのように、3月安値からきれいな「V字リバウンド」を演じなかった理由はほかならぬ、豪ドルや英ポンドほどの暴落がなかっただけの話だ。

 つまるところ、今、米ドル全体の頭が再度重くなり、また反落してきたが、これはあくまで3月高値までのV字急騰に対するスピード調整の一環と見なせる。ベアトレンドへの転換と見なすのは性急であり、また、不適切だと言える。

■短期トレードに限れば外貨の優位性に注意
 しかし、ユーロをはじめ、主要外貨の切り返しは単にテクニカル的な要素に主導されるものかと聞かれると、そうとも言い切れない。

 ユーロならEU(欧州連合)財政の一体化、豪ドルなら商品市況と連動する側面もあったと思う。この意味では、米ドル全体の弱含みの状況は目先継続される公算が高く、短期トレードに限った話なら外貨の優位性に注意しておきたい。

 主要外貨の堅調が続くなか、米ドル/円の「居眠り取引」の状況が続く場合、主要クロス円は引き続き堅調で、また、切り返しの余地を拡大するだろう。逆に言えば、主要クロス円が堅調な値動きを示す限り、それに伴って米ドル/円の「居眠り取引」が続く。

 なぜなら、仮に米ドル/円が変動率を拡大していけば、米ドル全体の流れに追随し、目先は下値トライしていく可能性が大きいから、これはクロス円の頭の重さにつながるはずだからだ。

 ゆえに、クロス円の堅調は、実に米ドル/円の底堅さと関連しており、短期トレードでもクロス円の内部構造を見据えた上で判断したほうがよさそうだ。

■豪ドル/円の内部構造を再確認
 主要クロス円のうち、豪ドル/円のリードがなお確認されているから、豪ドル/円の内部構造を再確認したい。少し前のレポートだが、5月21日(木)に書いた見通しがなお有効なので、以下に開示する。

 豪ドル/円は3月安値を起点とした切り返しを継続している。チャート上示したように、「上昇ウェッジ」を形成、また同フォーメーションの成立で早晩頭打ちして反落、といった可能性を否定できないものの、続伸の公算も大きい。シンプルな視点でフォローしていきたい。

 もっとも、3月25日高値(a)と4月21日(b)や5月7日(c)安値は同じ水準だったことで、新たな高値更新や上昇余地を拓いたと言える。新たな変動レンジの形成や上放れで約72.65前後の上値を照準でき、200日線を上回る計算となる。

 3月25日の「スパイクハイ」のサイン、4月21日の「フォールス・ブレイクアウト」のサインや5月7日の「強気リバーサル」や「アウトサイド」のサインに鑑み、前記見方は一層強化され、日足における地合いの堅調さも観察され、前記倍返しの計算が達成される公算。更に、より大きな視点では、3月19日安値59.87~3月25高値67.71の上昇幅をそのまま上乗せた上値余地も計算されるが、目先やや性急、200日線乗せの成功が計算の先決条件。

 要するに、豪ドル/円になお上値余地があるうちは、米ドル/円はしばらく「居眠り取引」の状況から脱出できないのではないかと思う。

 続きはまた次回、市況はいかに。

 (13:20執筆)

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最終更新:5/30(土) 14:06

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