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満員電車「まだ乗れる」は今後の社会では恥だ

5/24 5:31 配信

東洋経済オンライン

 コロナウイルス拡大で外出できないストレスを感じている人も多いだろう。旅行も会食も、友人に会うこともできない。出口がはっきりしないというのもストレスに拍車をかけている。

 いっぽう現在も出勤している人のなかには「電車がすいていてよかった」と考えている人もいる。しかし、電車がすいているのは、仕事を在宅に切り替えた人や、外出を自粛している人が大勢いるからであり、いわばそれらの人たちの遠慮のうえで成り立っている話である。

 電車、バス、また公園、広場などは公共の場であるはずなのに、誰もが平等に利用できていないというのも問題に感じる。「密」を避ける意味では、渋谷や新宿が閑散としていても、郊外のホームセンターが混雑していたのでは本末転倒である。

 しかし、密は避けなければならないし、おそらく、感染者が減って終息に向かっても、しばらくは密を避ける生活習慣は続けなければならないのであろう。どのような対策があるだろうか。

■平等に数を制限して外出機会を作る工夫を

 北京オリンピック時は大気汚染が問題化し、自家用車利用をナンバープレートの末尾が奇数か偶数かで制限したことがあった。

 シンガポールでは都心部への自動車乗り入れを減らすため、時間帯によって1台に3人以上乗っていない車の乗り入れを禁止していた。タクシーにも適用され、1人で乗車すると、制限エリアでは有料の通行証が必要であった。現在は日本のETCに似たシステムが採用され、自動的に課金される。

 鉄道では、JR四国に「バースデイきっぷ」という、誕生月にだけ利用できる四国全線乗り放題の割引切符があり、同行者も割引となる。

 そこで、しばらくの間、都会のJRや大手私鉄は、誕生月による利用制限というのは考えられないだろうか。人が集中する時間帯だけでかまわない。今日が奇数月生まれの人が利用できるとしたら明日は偶数月生まれの人が利用できる。12カ月に対して1週間は7日なので、たとえ1月生まれの人のみ、1、2月生まれの人、1、2、3月生まれの人にしても、同じ人が月曜ばかりに利用できる日が回ってくるなどの不合理は起こらない。チェックはせず、良心に任せ、ところどころで身分証明書提示を行えばいいだろう。

 「どうしても乗る用事がある」という人もいるだろうから、その場合は乗車前に申し出てもらい、追加料金などで対応できないだろうか。ロンドンの地下鉄は、普段でもピーク時とそれ以外ではかなりの運賃差を設けている。

 通勤電車の混雑は終息後も元に戻らないほうがいい。密という点では日本、とくに東京の通勤事情は異常である。名古屋や札幌の地下鉄も混雑するが、混雑するのはそれぞれ栄や大通から2~3駅だけで、そこから先は混雑が緩和する。東京の通勤電車は混雑が長く続くほか、終電辺りでまた混雑する。

 先進国では無論、主要国でみても日本の通勤事情はもっとも過酷ではないだろうか。国によってはドアすら閉まらなかったり、遅延や運休が日常茶飯事だったり、路線が長いのに急行がなかったり、乗車前に荷物検査があったりなど、不合理な部分は多々ある。しかし「多くの路線で乗車率の高い状態が長く続く」という点では日本は最悪である。

■海外ではNGの行為も

 近年はテレビ番組などで、海外に比べて日本のいいところがずいぶん紹介されていているほか、日本人のマナーがよいことも事実である。しかし、何もかも日本が優れていると思わないほうがいい。

 たとえば、中国の地下鉄では降りる人がまだいるのに乗ってくる人が多いというのが問題になるが、いっぽうで、日本のような駆け込み乗車する人はいない。日本ではスーツにネクタイ姿の身なりのきちんとした人が平気で駆け込み乗車するが、海外では見ない光景である。

 日本では混雑時に、人を押してでも車内に入ろうとしなければならないが、これも海外、とくに欧米ではNGである。そんなことをすれば、男女にかかわらず痴漢扱いされるだろう。日本人の感覚からすると「奥は空いている」「まだまだ乗れる」という状況でも1本待つのがマナーなので日本人は要注意である。

 そのため、路線バスでも、それほど混んでいないのに満員通過されてしまうことがある。日本と海外では「満員」の感覚が異なるのである。そもそも海外の通勤電車と日本の通勤電車ではつり革の数にかなりの差がある。

 かつて中央線を運行していたオレンジ色の201系が現在のE233系に置き換わって久しいが、201系が寸胴の2800mmの車体断面だったのに対し、E233系は最大2950mmの車体断面で、車両限界の関係で裾が絞られた断面である。車体幅を150mm広げることで、運転席のない中間車両では201系が144人の定員だったのに対し、E233系では160人に増やすことができた。

 確かに、満員電車に乗る際、同じ床面積の車両でも、足が入ってもお腹周りや荷物の関係でなかなか車内に入れないことがあるが、車体が膨らんでいることでスムーズに乗車できるというわけである。裏返すと、鉄道会社はこのくらいしか混雑緩和策がないということでもある。

 しかし、これは自慢できる話なのであろうか。日本の鉄道会社は通勤電車の運行に多額の設備投資を行っているというのに、座ることはおろか、ぎゅうぎゅう詰めの混雑というのは世界でもまれな現象である。

■有給を取得して休日も混雑解消

 旅行やレジャーに対する考え方も見直さなければならない。5月の大型連休に移動自粛が叫ばれたが、それでも帰省や海や山へ行く人は少なくなかった。大型連休は、数少ない長く会社を休めるチャンスである。移動したくなるのはもっともである。

 いっぽう、ドイツでも移動自粛となり、メルケル首相の訴えが国民の心に響いて、それ以来、不要不急の移動がかなり減ったとされている。しかし、メンタル面でドイツ人のほうに余裕を感じる。

 ドイツの有給取得率は100%だという。それに対し、日本はそもそもの有給日数が少ないにもかかわらず取得率はその半分にすぎない。有給取得=旅行やレジャーとは限らないかもしれないが、日本とドイツを比べると大きな差がある。通勤以外でも密を避けるためには、有給取得率を向上させ、休暇を分散させることも重要である。浸透すれば、旅行業界とて「書き入れ時が台無し」などということも緩和されるし、祝日そのものが不要になるかもしれない。通常時とピーク時の料金差も緩和されるはずである。

 コロナ禍を、通勤電車の混雑や休暇のあり方を考え直す機会とすることも必要なのかもしれない。

東洋経済オンライン

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最終更新:5/24(日) 5:31

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