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「リスクオフの円安」を警戒!円は「翻弄される通貨」から「普通の通貨」へ

5/23 14:01 配信

ザイFX!

■日米株は、なお堅調な値動き
 やや頭が重くなっている印象があるものの、日米株はなお堅調な値動きを示し、S&P500やナスダック、日経平均は昨日(5月21日)、一時、3月安値を起点とした切り返しの高値を更新した。

 筆者が一貫して指摘していたように、コロナショックは100年に一度の「危」でありながら、100年に一度の「機」でもあるから、株価のV字回復自体、むしろ想定しやすかったと思う。

 株式市場の反騰につられ、大きく売られた主要外貨のうち、豪ドルや英ポンドの切り返しも鮮明、豪ドル/円や英ポンド/円の反騰もその一環と見なされることは、以前から当コラムで述べているとおりだ。

 前回のコラムで述べたように、米ドル高の受け皿が、本来対極的な存在であるはずのユーロに集中しなかった分、ユーロ/米ドルの下落幅は限定され、また、ユーロ/円の値動きもその他の主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)と大きく異なった。

■ユーロ/円も底打ちのサイン、円全体の流れは円安方向
 しかし、クロス円と言えばユーロ/円がその代表格。ユーロ/円の値動きが重要であることは、前回のコラムでも強調したばかりだ。

 結論から申し上げると、ユーロ/円も底打ちのサインが点灯、円全体の流れはやはり円安方向にあることを確認できるかとみる。

 5月20日(水)に配信したレポートをもって、まずユーロ/円の状況を説明したい。

 ユーロ/円には底打ちのサインがすでに点灯されたとみる。基調の本格的な改善、なお時間がかかり、再反落をもって検証される可能性も大きいが、安値最更新を回避できる公算。

 もっとも、コロナショックでもユーロ/円は主要クロス円の中一番堅調であったことに注目したい。2月20日高値121.41(A)から3月9日安値115.88(B)まで一旦下落したものの、3月25日高値121.18(C)までほぼV字型回復を果たしていたことを見逃せない。

 その後5月6日安値114.43を再打診したものの、3月安値より1.5円足らずの値幅しかつけず、目先の反騰で前記A~B~Cが形成された「ダブル・トップ」やその後の下放れの可能性を否定した。換言すれば、5月6日安値からの切り返しは成功しているから、ベアトレンドが続かない公算。

 切り返しの成功、まず5月12日高値116.86(b)、その後4月30日高値117.81(a)のブレイクをもって証左される。前者は日足における「逆三尊」形成の可能性、後者は4月30日の大陽線自体が「ダマシ」であったから、同日高値の更新で一転して新たな強気のサインと見なされる。近々200日線の119.30の打診をもって120心理関門や3月高値へ復帰する道を拓ける見通し。

 こういった視点でフォローしていけば、ユーロ/円をはじめ、主要クロス円はおおむね底打ちを果たし、コロナショックで形成された安値の再更新を回避できる公算が高く、クロス円における円高圧力の低下が米ドル/円の下値を支え、大きな円高の流れを阻止できる見通しが再確認できるわけだ。

■歴史的な大惨事であるコロナショックでも円高にならない
 もっとも、今回のコロナショックと2008年リーマンショックの違いは筆者が繰り返し指摘してきたとおりであり、ここでは重複して説明しないが、相場の値動きからは重要なメッセージが読み取れる。

 リーマンショックの時は本格的な金融危機であり、リーマンショックだからこそ、いわゆる「恐怖の米ドル買い・円買い」の同時進行があって、主要クロス円に歴史的な大暴落がもたらされた。

 対照的に、今回のコロナショックは、いわゆる「リスクオフの円高」が見られなかったため、それがユーロ/円の下落幅限定につながり、また、豪ドル/円や英ポンド/円など主要クロス円の短期間内のV字反騰をもたらした。その違いは歴然としており、また、本質を示唆してくれている。

 つまるところ、「リスクオフの円高」の消滅で大きな円高のトレンドは2011年安値を境にすでに終焉し、従来のロジックのままではこれからの市況を見通せない恐れが大きい。

 歴史的な大惨事となった今度のコロナショックでも円高の余地が限定されているから、これから「リスクオフの円高」の再来はあまり望めない。そして、むしろその反対で「リスクオフの円安」を警戒しなければならないかと思う。

■米国がいち早く回復し、いっそう強い国になる
 現時点で公表されている政府統計によると、米国は世界一、新型コロナによる死亡者数が多い。このデータをもってこれから米国の衰退や米国株市場の崩壊を予測する向きも多いが、筆者はむしろ逆で、コロナショックを経ることで米国は自身のあやまちをより真剣に反省でき、より強い回復を果たし、より強い国になるのではないかと考えている。

 このあたりの話はスケールが大きすぎるから、経済のみに絞って話せば、日米欧が共にコロナショックに晒され、景気後退を余儀なくされている中、これから米国が先に立ち直り、日欧はそれに比較して遅れる可能性が大きいかと思われる。

 その根拠として何よりも、FRB(米連邦準備制度理事会)や米政府による前代未聞の力強い対策規模が挙げられる。

 FRBのバランスシートは、すでに7兆ドルの規模まで膨らみ、米政府もすでに3兆ドルの国債を売り出し、今回の危機対応や民間救済のために資金を投入してきた。米景気回復の程度はどうであれ、日欧よりマシだと考えられるから、米ドル資産の優位性は変わらない。

■円は「翻弄される通貨」から「普通の通貨」へ
 対照的に、日本の場合は経済構造自体が危機に弱く、いわゆる「打たれ弱い」体質なので、今回の景気後退がより深刻になる可能性がある。前述のように、「リスクオフの円高」が消滅したのであれば、日本のファンダメンタルズの悪化はそのまま円安要素になる可能性も増大し、結果的に日本にとってプラス要素になってこよう。

 なにしろ、円は今まで「翻弄される通貨」であった。本来、景気後退や景気悪化があれば、通貨安となるのが当然の結果であるが、いわゆる「リスクオフの円高」という性質があったため、不況が深刻化すればするほど円高となり、そして、円高が一層の不況をもたらす、といった悪循環の環境にあった。したがって、景気後退に伴う円安の進行があれば、円はむしろ「普通の通貨」へ戻り、また、現在はその途中であるとみる。

 このあたりの話はまた次回に続く。市況はいかに。

ザイFX!

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最終更新:5/23(土) 14:11

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