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粗悪な「体温計」がコロナ禍で蔓延し始めた事情

4/10 15:01 配信

東洋経済オンライン

 コロナ禍におけるマスクの粗悪品、価格吊り上げなどが一時、問題となったが、昨今はマスク以外にも同様の動きが広がっている。中でも急速に問題化し始めているのが非接触型体温計だ。

 直接触れることなく体温を計測できる非接触型体温計は、病院などでも診察に活用されているが、コロナ禍で需要が急増し品切れが続出。これに目をつけた輸入業者、あるいは海外拠点のEC出品者が、中国の生産拠点で流通する非接触型体温計を調達、販売し始めている。

 しかし、これらの商品には「発熱しているのに平熱と表示される」「計測ごとの誤差が大きい」といった品質問題が指摘される商品が混入している疑いが強いだけではない。「非接触型体温計」は「医療機器」にあたるため、法令に基づく手続きを経なければ販売することができないが、法令を守っているかどうか疑わしいケースも散見される。

 また海外拠点の出品者、あるいは日本の住所を登録しながらも実際には海外発送といった出品者が、規制クリアをうたいつつも、実際には商品の販売認可を受けていないといったことが他ジャンルでは頻発していたこともある(電気用品安全法の基準PSEをクリアしていない商品をPSEマーク付きで販売するなど)。

 コロナ禍でワイヤレスイヤホンやモバイルバッテリーなどから、急速にコロナ対策関連商品へと消費者の目が変わる中、過去に粗悪な玩具、バッテリー、ワイヤレスイヤホンなどを販売した業者が、販売品目を急速に変えていることが背景にある。

■需要急増で違法状態の医療機器販売が増加

アマゾン、楽天、ヤフーショッピングといった大手ECサイトは昨今、商品の多様性を高め、流通量を増やしていくため、クロスボーダー取引を加速させる動きを見せてきた。以前にも、アマゾンに登録する海外セラーの問題をコラムの中で指摘したが(「Amazonやらせレビュー」中国企業の呆れた手口、2020年2月4日付)、かつてデジタルガジェットを扱っていた業者が、非接触型体温計を急に扱い始めるようになった。

 これらの業者すべてが粗悪な製品を販売しているかは確認できない。

 しかしながら、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」違反が明らかな出品が見受けられる。

 大量の疑わしい出品が確認されていたAmazon.co.jpは、何らかの条件に該当する出品を一斉削除した。しかし毎日のように、新しい違法出品が繰り返されている。

 また楽天、ヤフーショッピングなど、海外からの出店審査がより厳しいと考えられるECサイトも同様の出品が極めて多い。またAmazon.co.jpとは異なり執筆時点で削除が大量に行われた形跡は見られていない。

 商品の品質に関する問題を脇に置くとしても、そもそも薬機法の問題をクリアしていない出品もあるので注意したい。

 国内で販売できる医療機器は「製造販売承認・認証」を受けたものだけだ。これには企業としての責任体制の審査や外国製機器の場合は「外国製造業者登録」も含まれる。そうした医療機器に付与される「医療機器認証番号」の表記もなく、製品の出自が確認できない状態のものが極めて多いのだ。

 無論、販売規約としてはほとんどのECサイトも、日本での販売が認められていない製品はもちろん、販売に認可が必要な製品を無許可で販売することを禁止している。しかしニーズ急増に合わせて大量に出品されるこうした商品の監視が追いついていない、というのが実情だろう。

■海外出品者の「商品見極め方」とは? 

 ではどのように商品を判別すべきだろうか? 

 粗悪バッテリーの蔓延などを考えるなら、今後、あの手この手で体温計などを販売する業者が登場する可能性もあるが、現時点では需要急増に伴って、デジタルガジェットを販売していた出品者が、突然、体温計などの機器を扱い始めている場合が多い。

 これは製品の生産地が近く、同じコミュニティの中で商品を調達できるためだ。まずは出品者が過去にどのような商品を出品しているかを確認したい。

 また体温計ではなく、単なる放射型温度計のマークやパッケージだけを変えている場合もある。需要急増に即座に対応できないためだ。需要急増が日本だけではないことを考えれば、中国でも品質の高い製品は不足していると想像できる。海外の、ましてや未知のブランド名を付けた製品は避けるべきだろう。

 出品商品には、欧州のCE、米国FDAなどの承認マークがあることを品質根拠としている場合もある。しかし、モバイルバッテリーの例ではPSE未承認の商品を「承認済み」と記載して販売していることは日常茶飯事だった。そもそも「製造販売承認・認証」の発行を受けていない医療機器は販売できない。医療機器認証番号の表記は義務ではないが、明記している製品を選ぶのが安心だろう。

 今回は非接触型体温計について調べたが、当然ながらニーズの変化に応じて同様の販売を行う海外出品者(日本拠点としている場合でも発送が海外であることは少なくない)は後を絶たないと考えられる。

 いわゆる「コロナによる需要増」で品不足となっている商品に関しては、今後も引き続き注意が必要だ。Amazon.co.jpが行ったように、条件を設定しての一斉削除は効果的ではある。しかし、多くのECサイトの品質は出品者のモラルに少なからず依存している。

 言うまでもないことだが、ECサイトがどんなに大手で信頼できる運営者であろうと、出品者の悪意をECサイトは保証してはくれない。

 【2020年5月12日18時31分追記】初出時、医療機器の販売にかかわる手続きや条件について事実と異なる点がありましたので関連する記述について修正しました。

東洋経済オンライン

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最終更新:5/12(火) 18:32

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