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新型コロナで投資用不動産の「融資流れ」が続出か?《楽待新聞》

4/9 20:00 配信

不動産投資の楽待

新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛や個人消費の落ち込みによって、社会や経済への影響が深刻化している。感染者の増加に歯止めがかからず、いまだ終息の兆しが見えない中で、各業界で先行き不透明感が強まっている状態だ。

そんな中、不動産投資家にとって大きな関心事の1つが、コロナの問題が投資用不動産の「融資」にどのような影響を与えるかという点ではないだろうか。近年の「不動産バブル」はスルガ銀行の不正融資問題などによって過熱状態を脱した印象があるものの、マイナス金利下で投資用不動産への融資が増えたことが価格の高騰を招いていた面があった。景気低迷で金融機関側がリスク回避の姿勢に走れば、リーマンショック後のように価格が下落局面に入る可能性も出てくる。

日本列島が「コロナショック」に揺れる今、不動産融資の現場では何が起こっているのか? そして、不動産投資家はどのようなアプローチで融資獲得を目指すべきなのか? コロナの問題が不動産融資に与える影響について、3回にわたって紹介していく。

まず今回は、全国の不動産投資家たちの生の声を基に、金融機関の姿勢の変化について探っていきたい。

■「出します」と言われた翌日に…

「金消契約の日程が決まった翌日、株価がズドーンと落ちた瞬間に融資が白紙になって…笑うしかありませんでした」

広島県の会社員Tさん(50代男性)は3月初め、自身5戸目となる1600万円の中古区分マンションを法人で購入しようと、以前から取引のある信託銀行に融資を打診した。3月12日に不動産会社経由で「金利2.2%・33年で内諾が出ました」と連絡を受け、10日後に金消契約の日程を組んだ。

しかし、翌13日。日経平均株価が前日比1128円安の1万7431円と3年9カ月ぶりの下げ幅を記録した日の夜、不動産会社から「今回は完全にストップです」と連絡があった。

「前日まで『出します』と言っていて、金消契約の日程まで決めたのに、いきなりゼロ回答というのは正直びっくりしました。理由を聞いても『総合的な判断で…』と言葉を濁して、はっきり答えてもらえない。でも、タイミング的には1つしか考えられないですよね」

■今まで断られたことがなかったのに

Tさんと同じように、取引のある金融機関の姿勢の変化に驚いている投資家は少なくない。アパート3棟と戸建1戸を所有する岡山県の会社員Sさんも「今まではメガバンク1行以外、融資申し込みを断られたことがなかったんです。ここ2、3年はどこもいい感じで出してもらっていたんですが、今回銀行回りをしてみて、こんなに厳しいのか…と感じました」と語る。

「1年半ほど前、紹介経由である地銀に5000万円ぐらいのアパートを持ち込んだら、面談翌日に支店長決裁が下りたんです。その後も太陽光の融資を受けたりして、すごくいい関係だった。それが3月末に行ってみたら、個人でも法人でも全くダメだと。一緒にいった知人も同じ対応で、もうサラリーマンに出す気はないような印象を受けました」

その後も複数行を回ったが、よい反応は得られなかった。「アパート3棟と太陽光4基の融資を受けている地銀も、完全に無理というような感じで。仕方がないので飛び込みで別の地銀に行ったら相手にもされず、5分もしないうちにサヨナラと言われました。さすがにへこみましたね」

■なぜ、融資姿勢が変化したのか

金融機関はなぜ、融資引き締めに動いているのだろうか? 当然、景気の先行きが不透明な状況の中で、担保評価の低下や家賃下落、空室増、滞納の発生など、金融機関の懸念材料は増えている。そういったリスクを織り込んで融資姿勢が慎重になっているという面もあるが、もう1つ大きな理由がある。

それは、政府が打ち出したコロナ対策の緊急融資などの申し込みが殺到し、どの金融機関も投資用不動産への融資に手が回らなくなっているということだ。

「僕は本当に滑り込みセーフで融資を引けましたが、とにかく緊急融資優先で、他の案件に対応している余裕がないような印象でした」

神奈川県の会社員Mさんは県内の信金から直近で2件、土地から新築の案件で融資を受けた。合計融資額は約2億2000万円で、融資割合は75%ほど。「どちらも正式な融資承認は3月に入ってから、コロナの問題が大きくなる前で本当にギリギリでした。実際に知人は同じような2億程度の新築案件を私より後に持ち込んだんですが、当初の内容より融資額が引き下げられて揉めたみたいなので、方針が変わる直前だったのかなと思っています」

その信金の担当者は「区からもコロナ関係の緊急融資を重点的にやってほしいと要請があって、3月中旬ぐらいからは地元の飲食店やホテルからも急に相談が増えているので、他に手が回らなくなっている」と話していたという。「あとは新築だと、トイレなど水回りの供給が止まってしまって信金内で問題になっている案件もあるようで、『不動産への影響がどこまであるか見極められない』と困っているみたいでしたね」

Mさんは「大家仲間に聞いても、融資流れの案件がかなり増えているような印象です」と語る。「南関東の地銀2行なども年収や物件の評価、エリアなど全体的に条件が厳しくなっているようで、内諾が出ていた案件が本部で却下されるケースもあったとのこと。ちなみに私が3月の決済で会った司法書士の方も『直近で3件も内諾が流れた案件が出て、仕事がなくなった』とぼやいていました。この状況なら、今は手元資金を厚くする時期なのかな、と考えています」

■「ほかの案件をやっている余裕はない」

このように投資用不動産の融資に手が回らない状況は、どこの金融機関でも起こりうるのだろうか。

地銀に長年勤める現役銀行員で、投資家でもあるFP大家さんは「こういった危機のタイミングでは、各金融機関は緊急融資の貸出高や返済猶予などの実績を金融庁にけっこうタイムリーに上げていかないといけないんです。行員の数は変わらないので、緊急融資に注力すると他の案件の審査が後回しになる部分はどうしても出てくる。特に投資用不動産は担保評価や収支シミュレーション、賃貸需要の検証などに審査に時間がかかりますから」と語る。

某銀行で支店長や本店審査部門の中核を担った経験のある仮面銀行マンKさんも「リーマンショックを経験してよくわかっているんですが、この3カ月ぐらいはどこも全力でコロナ対策の緊急融資に走るはずなので、ほかの案件をやっている余裕はないと思います」という見方。「『来月の支払いができない』というような相談が殺到するので、銀行としてはとにかく必死で倒産を食い止めることに心血を注ぐ。それをしないと金融庁から怒られてしまいますしね」

■「二つ返事」の信金が3カ月待ち

実際に、コロナの問題が大きくなるにつれて審査期間の長期化を実感している投資家も多いようだ。一棟アパート6棟と戸建3戸を所有する東京都の会社員Aさん(50代男性)もその1人。

「借り換えを含めて3棟取引実績のある都内の信金なんですが、預金をかなり入れていることもあって、これまでは申し込み翌日にOKが出るなど『本当に審査してるのかな』というぐらい早かったんです。それが、今回はとにかく回答が遅い。1月下旬に築30年・2000万円ほどの中古アパートを持ち込んだんですが、いまだに回答がなく、『4月いっぱいはかかりそう』と言われています」

条件面では相当譲歩しているというAさん。「いつもはだいたいフルローンか頭金1~2割、融資期間25年ぐらいで組んでいるところ、今回は『10年でもいいし、半額融資でも大丈夫』と言っているのに、全然結論が出ない。理由を尋ねても『社内的に…』という曖昧な回答なので、本当にコロナの影響かどうかは分からないんですが…」

別の地銀でも、短期間で融資姿勢の急変を感じる経験があった。

「東海地方の地銀なんですが、1月下旬に本社にいる担当の方が『ウチ、しばらくやめてたんですが、また始めますよ』とわざわざ連絡してきたんです。でも、『あらためて連絡しますね』と言ってきたきり全く音沙汰なし。そもそもこの地銀は口座から金を動かすと必ず『不動産ですか?』と毎回電話がきていたんですが、今回は3月に現金戸建の決済と塗装工事で900万円ほどの送出金があったのに一切連絡がない。方針がガラッと変わってしまったのかなと思いました」

もちろん、「コロナの影響で融資が厳しくなった」という声だけではなく、「特に影響はない」「変わらず融資が出ている」と語る投資家も多く存在する。エリアによっても投資家の印象に違いがあり、感染者数が全国最多の東京、そして2月中旬に集団感染が発生した北海道などでは厳しい声が多い一方、比較的感染者数の少ないエリアでは楽観的な見方をしている投資家が少なくない。

静岡県在住で、一棟RC10棟など総投資額18億円の会社員Oさん(40代男性)は「私の仲間は10人ぐらいで総額500億円ほど融資を引いているんですが、『東京は厳しい』と口をそろえていますね。みんな年収2000万円ぐらいで属性を生かしてRCで規模を拡大してきた人たちですが、そのレベルでも受けられていない状況のようです」と語る。

「それと、仲間の1人は北海道の信金で審査中だったんですが、2月下旬に『審査自体を取りやめます』と言われたそうです。クラスター発生の直後ぐらいだったので、コロナ関係の緊急融資などで忙しい時期だったんじゃないでしょうか」

一方、Oさんが住む静岡県は、全国的にみると感染者の数がそれほど多くはない。「県内の地銀や信金はそれほど影響はなく、審査が止まったというような話も聞かないですね。私も審査中の地銀があるし、ある信金からは『物件さえあれば出します』と言われている。別の信金からも『どうですか』とヒアリングがくるし、やはりエリアによっても違いはありますね」

同じく静岡県在住でアパート6棟を所有する自営業Fさん(40代男性)も、地元ではそれほど大きな影響を感じていないという。「取引のある静岡県内の信金は、今まで県外の物件には消極的な印象だったんですよね。それが3月上旬に担当者が来て『内容次第では東京や首都圏の物件にも出しますよ』と、かなり前のめりでした。その時は『コロナの影響は特にないです』と言っていたんです。少し時間が経ったので、また変わったかもしれないですけどね」

■500人に聞いた「今後」の融資情勢

ここまで、投資家たちが感じた「今」の金融機関の融資姿勢について取り上げてきた。コロナ問題の終息時期が読めない状況の中で、「今後」の融資情勢について不動産投資家たちはどのような見通しを持っているのだろうか?

楽待新聞編集部は3月下旬から4月上旬にかけて、投資家約400人を対象にアンケートを実施。金融機関の融資姿勢に関する将来予測を聞いてみた。すると、今後については「厳しくなる」が55%で最も多く、「緩くなる」が22%。「変わらない」18%、「分からない」5%という結果だった。(※調査期間:3月25日~4月6日、有効回答数:401件)

◯今後、投資用不動産向け融資はどうなると思いますか?(n=401)

・厳しくなる:55%
・緩くなる:22%
・変わらない:18%
・分からない:5%

■借り手の選別が進む

55%と最も多かった「厳しくなる」という回答では、やはり政府がコロナ対策の緊急融資を推進する中で投資用不動産の優先度が下がるという見方が多かった。景気悪化にで貸し倒れリスクが増加し、資産背景や実績など借り手の選別が進んでいくと予測する投資家も。また、コロナ問題が長期化すれば金融機関の体力も落ち込み、融資打診できる先自体が減っていくという悲観的な見方もあった。

・投資よりも救済が優先される情勢でコロナ関連の融資が増え、投資用に関しては金融機関も金利や担保、頭金など強気の姿勢になる(岐阜県・40代男性)

・景気後退で不動産価格が下落すれば担保評価も下がり、おのずと融資姿勢も硬化する(茨城県・30代男性)

・事業性融資の焦げ付きが増えれば物件や属性への期待値が上がり、これまで引けた融資が引けなくなる可能性がある(福岡県・40代男性)

・賃料下落を見越して融資額と割合は厳しめにみられるようになる(東京都・50代男性)

・コロナショック後はバランスシートが重要視され、築古高利回りメインの大家は厳しくなる(北海道・40代男性)

・テレワークの普及が進み、レジデンス以外の事業用物件は融資が受けにくくなる(埼玉県・30代男性)

・コロナ問題で不労所得の必要性に気付いた初心者の参入が増え、金融機関の審査自体が厳格化される(千葉県・20代男性)

■政府の金融緩和策を期待

次に、22%の「緩くなる」という回答をみていくと、景気が低迷する中で、政府の金融緩和策によって融資が積極化することを予想する意見が目立った。また、一部の金融機関は投資用不動産に頼った貸し出しを続けていることから、購入者の減少によって融資のハードル自体が下がるという声も。スルガショックのほとぼりが冷めてきたこのタイミングで再び門が開く、といったように、コロナ問題とは別の視点で今後の融資情勢を予測する投資家もいた。

・政府が金融緩和策を打ち出し、政策に乗った事業には有利な融資が期待できる(滋賀県・60代男性)

・融資が厳しかったこの1、2年で金融機関は不動産賃貸業以外の有望な貸出先を見つけられていない(神奈川県、30代男性)

・コロナの影響で実需の買い控えが起きているので、各行とも融資残高を考えれば投資用の割合は増えると考える(東京都・40代男性)

・不動産価格が下がって高利回り物件が出てきて、また外資系金融機関から投資用ローンを借りやすい時代が来る(大阪府、30代男性)

・コロナと米中摩擦で中国の経済不振が進み、中国人投資家が日本の不動産を現金化。投げ売りの優良物件が出回って融資が緩む(兵庫県・30代男性)

・担保主義がより徹底され、資産家への融資が積極的になる(東京都、50代男性)

・メガバンクの担当者が昨年、スルガショックの影響が収まれば以前のように融資しやすい状況になると言っていた(神奈川県、30代男性)

■不動産に出すしかない

コロナショックによって融資姿勢が「変わらない」という意見は18%だった。そもそも金融機関は他に有力な貸出先がなく、担保が取れて金額の大きい不動産に融資をしなくなることは考えにくい、という見方が多い。リーマンショックとは違って金融システム自体は正常のため、審査基準は変わらないまま、実績や収益性が認められれば引ける状況が続くだろうという予測も目立った。

・今回はリーマンショックと違って金融危機ではなく、銀行も担保が取れて金額が大きい不動産への融資をしたい姿勢はある(神奈川県・30代男性)

・地方金融機関はマイナス金利下で不動産融資に注力するしかない状況。金融庁の顔色は窺いつつも自ら消極的になるとは考えにくい(東京都・30代男性

・景気悪化が予測される中、小規模の銀行が収益物件に積極融資するのはリスクが高すぎるため(茨城県・50代男性)

・もともと自力のある金融機関は投資用物件への融資には消極的で、今後もスタンスは変わらない(愛媛県・40代男性)

・自己資金を3割入れれば銀行側のリスクは小さい(東京都・60代男性)

・景気後退と大規模な金融緩和が相殺されて融資姿勢はそれほど変わらない(東京都・40代男性)

・投資家は底値で株を買う方向へ向かい、投資用不動産の案件自体が減るため、銀行も審査を厳しくすると融資ができなくなる(東京都・40代男性)



エリアや金融機関の方針、投資家の属性などによっても違いがあるが、コロナショックの影響で各金融機関の融資姿勢が厳しくなっている傾向があることが分かってきた。現場の投資家たちも、今後の融資情勢については悲観的な見方をしているケースが多いようだ。

しかし、「ピンチはチャンス」と捉えることもできる。一部紹介した通り、政府は売上の下がった事業者向けの資金繰り支援でコロナ対策の緊急融資を推進しているが、これらの融資制度は不動産投資家にとっても注目すべき部分がある。

次回は、日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」や、日本保証協会の「セーフティネット保証」といったコロナ対策の緊急融資について、制度の概要や申し込みをした投資家の意見などを紹介する。(次回は明日掲載)

不動産投資の楽待

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最終更新:4/9(木) 20:00

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