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「異常事態」のコロナ相場で「区分投資のプロ」はどう動く《楽待新聞》

3/27 11:00 配信

不動産投資の楽待

新型コロナウイルスの感染拡大による景気の先行き不透明感から、世界中の金融市場が大荒れの展開となっている。

米国株式市場ではダウ工業株30種平均が約3年ぶりに2万ドル台を割り込み、国内でも年始に2万4000円台をつけていた日経平均株価が3年4カ月ぶりに1万6000円台まで急落。REIT(不動産投資信託)の総合的な値動きを示す東証REIT指数は、2月後半からのわずか1カ月で半値まで暴落した。その後は米経済対策への期待感などからダウ平均が急騰し、日経平均やREITも反発するなど、世界中のマーケットが短期間に乱高下する状況だ。

激動の「コロナ相場」は今後どのような道筋をたどり、不動産価格はどのように推移するのか? 先の読めない相場の中で、不動産投資家はどのような投資戦略を描くべきなのか?

今回は、1990年代半ばから中古ワンルームの現金買いに絞って59室を所有し、無借金で家賃年収3600万円を実現した「区分のプロ」芦沢晃さんを直撃。平成バブルからリーマンショックを経て、「不動産バブル」と呼ばれた近年までコンスタントに物件を購入し、国内外の株式にも投資を続けている芦沢さんが今回の「コロナ相場」をどう見ているのか、インタビューした。(取材日:3月23日)

○芦沢晃氏 プロフィール
1990年代半ばから中古区分マンションの現金買いを進め、都心や京浜地区の中古ワンルームを中心に58棟・59室を所有。無借金で総投資額は約3億円、家賃年収は3600万円に上る。
今も個人で技術士業エンジニアを続ける兼業大家で、現物の不動産以外に国内外の株式やREIT、ETFなど幅広く投資をしている。

■「ロボット相場」の衝撃

――新型コロナウイルスの影響で世界的に株価が下落していますが、どのようにみていますか?

平成バブルなんかと一番違うのは、人工知能(AI)によるアルゴリズム取引の発展で相場の変動スピードがすさまじく速くなっていることですね。AIに「怖い」「恐ろしい」といった感情はなく、トレンドに応じて売買注文を乱発するので、当時に比べて何十倍も速いスピードで価格が上下する。NYダウや日経平均の激しい値動きを見ると、市場が「ロボット相場」になっていることを実感します。

――平成バブルやリーマンショックなどの暴落相場も経験してきたと思いますが、今回の「コロナ相場」との違いは感じますか?

今回はリーマンショックのような金融危機ではなく「リアル世界」の話であって、結局はコロナの動向次第なので将来予想が非常に難しいと感じます。奇跡的に特効薬が開発されたら大暴騰するかもしれないし、アメリカ全土で外出禁止令が出たりしたらもっと大暴落するかもしれない。個人的には「分からない」からこそ、下がったら少し買って、配当を再投資して、また下がったら少し買って、を繰り返すしかできないと思っています。

■分散投資の強み

――あらためてご自身の区分マンション投資の現状について教えてください。

私は区分の現金買いを25年ぐらい続けていて、今月2室買ったので58棟・59室になります。表面の家賃収入が3600万ぐらいで、管積(管理費・修繕積立金)を差し引くと2900万ぐらい。そこから税金や経費を引くと、毎年最終的なCFは2000万円前後で推移しています。

――現物の不動産以外にも分散投資をしていますが、トータルのポートフォリオに関する考え方は?

区分のCFのみだと3カ月に1室ずつぐらい買える感じなんですが、紙の資産の方もバランスさせていった方がいいかなと思っているので、今は区分のCFを使って配当狙いの株に投資しています。区分は家賃収入をもらいながら物件の評価は下がっていくわけで、同じように株の方も株価の動きに固執せず、とにかく配当で元を取るぐらいの気持ちでやっています。得た現金配当と家賃を合わせて、またそれを再投資して、という流れですね。

――株式は具体的にどのような銘柄に投資していますか?

アメリカ株は個別銘柄とETFが半々ぐらいで、個別銘柄はコカ・コーラやP&Gなど50、60年配当を出し続けている安定企業。アメリカのETFは日本に比べると手数料が安くて、例えばVOOというS&P500(*1)連動のETFは0.03%なんですが、そういった素人が見ても確実なものを少しずつ買っています。日本株の方はもう成長が止まってしまっているので、財務諸表を見たり専門家の先生の発言などを参考にしたりして、配当期待で選りすぐりの個別銘柄を買っています。

(*1)S&P500:アメリカの代表的な株価指数

あとは外貨ですね。売買で利益を上げる目的ではなく、日本の財政破綻リスクも考えてニュージーランドドルやオーストラリアドルに逃がしています。日本に比べればまだまだ利息がつくので、下がったら買い増して、という感じで。金・銀にも実験的に投資しています。

■暴落相場でナンピン買い

――この暴落相場で含み損が広がっていると思いますが、焦りはありませんか?

株式は1000万ぐらい含み損がありますが、しょうがないなと思っています。リーマンショックの時も数千万円の含み損があったんですが、サラリーマンの給料と家賃収入、中国株の配当など毎月確実なCFが入ってきていたので、下がったら買い、下がったら買いというナンピン投資(*2)を永久に続けていこうと思って買っていました。その気持ちは今もあります。

(*2)ナンピン投資:保有銘柄の株価が値下がりしたときに、同じ銘柄を買い増して平均取得単価を下げる手法

地球上の資本主義が残る限り、いつか反転するというのは過去の歴史が証明しています。1929年の世界恐慌も、平成バブルも、アジア危機も、リーマンショックも、どれだけ暴落しても長い目で見れば必ず戻っている。とにかく安定して湧いてくるCFを使って少しずつ、自分が底かなと思ったタイミングで永久に買い続けていく考えです。

――リーマンショックの時は、芦沢さんが持っている都心の区分はどう値動きしたんですか?

現金区分投資家の視点でリーマンショックを振り返ってみると、実際はほとんど記憶にないというか、関係なかったんです。家賃が5万から4万に下がってもCFは十分出ますし、物件価格が500万から400万に下がっても持っている分には関係ないですし、入居率が多少落ちても自分で努力すれば埋まってしまいますので。だから、リーマンショックは横目でみながら淡々と家賃をもらい続けていた感じですね。

――リーマンショックで不動産価格が暴落した時期でも、売却は考えず持ち続けていた?

そうですね。今では家賃も物件価格も購入時より上がっています。例えば墨田区のスカイツリー近くに私が持っている物件なんかは、前回5万円前半ぐらいで入居した物件が、相場を見ると6万以上でどんどん入居がついていますから。価格も500万台前半で買ったのが、現在は650万とか600万円台後半で取引されています。やはり都心好立地であれば家賃も価格も上がっていくんですね。

――リーマンショック当時は株の方も損切りは考えずナンピン買いを続けていたんですか?

不動産については影響がない一方で、紙系の投資の方は大暴落していました。それでもいつかは必ず戻るだろうから、下がっても気にせず、不動産からのCFでどんどんワールドストックインデックスを買い続けていく状況でした。その後、トランプ相場で戻ったんです。

――暴落相場の時は、そういった指数系の投信やETFに投資すべきだと考えますか?

私ども素人の個人投資家にできることは限られていますので、そういった全世界株式か、あるいはアメリカなど経済力のしっかりした国の指数をナンピンで、底かなと思ったタイミングでコツコツ買っていった方が、パフォーマンスは出ないものの堅実かなと個人的には思っています。

■J-REITの暴落に思うこと

――東証REIT指数はこの1カ月で半値ほどまで暴落しましたが、どのようにご覧になっていますか?

私は現物の区分専門なのでなんとも言えませんが、REITはロットが大きいので我々個人投資家が注目しているような物件よりも株や証券に近いと思います。AIによるアルゴリズム取引もREITに組み込まれていると思いますので、リーマンショックの時より暴落のスピードが圧倒的に速い。機械的な判断でどんどん空売りによって利益を取っていた形だと思います。

――REITの動きは現物の先行指標とみられることもありますが、ここ数年の値動きについてはいかがですか?

REITは物件の規模が大きくて敏感に動くので、現物の不動産の値動きとは少し違うと思います。ただREITも現物不動産も、結局は融資の動向によって相場が動いていくので、スピードや値動きの幅に違いはあってもある程度は連動していますね。

――暴落相場では分配金の利回りが上がるので買い場という見方もできますか?

そうですね。株と違ってREITは分配金が命だと思いますし、ホテル系やオフィス系に比べれば住居系は安定しています。J-REITの銘柄はリーマンショックの頃にいくつか買って放置していたんですが、これだけ下がってもまだ含み益があります。仮に含み損が出ても売る気はなくて、底かなと思ったら多少損してでも少額買い足して持ちっぱなしにしようと考えています。

■現物の不動産価格の行方は?

――現物の不動産価格がREITの急落と同じように下がる可能性もあると考えますか?

今後日本でパンデミックが発生して外出禁止令が出た場合、リフォーム業者や管理会社もストップして、修繕や入居付けができなくなる可能性がありますよね。そうすると当然、空室が埋まらなくなるので、どんどん家賃相場が下がって、物件の取引価格にも影響が出るかもしれません。

ちなみに私の所有物件は現在、59室中2室しか空きがなくて、例年の繁忙期に比べると空室が全然少ないんです。つまり、入居者の動きが鈍くなっているんですね。賃貸の業者さんに聞いても、たしかに動きが少なくなって空いた部屋が埋まらなくなっているそうです。部屋を探す方が減ってきているんですね。

――リーマンショック後、不動産価格の底値は2011年ごろで3年ぐらい先でした。不動産価格の遅効性についてはどう考えますか?

平成バブルの時には、株と不動産の値動きに何年も差がありました。株価は1990年の正月明けから暴落して、私が初めて投資用ワンルーム買ったのが95年ですが、今振り返ると95年でもまだ不動産価格は暴落の半ばぐらいで、おそらく2000年ぐらいが底値だったんですよね。その10年間で、株でいうナンピン買いのような形で1室ずつ時間をかけて買っていったのが、結果的には平均的に大波の底をずっとたどって買ったような形になったと思います。

――今回はどれぐらいのスピードで下がっていくと予測しますか?

リーマンショックを見ても株価と不動産価格の値動きの差は縮まっていますし、現代は情報伝達のスピードが上がっているので、今回はさらに加速する可能性はあると思います。

■「買い場」は訪れるか

――これから不動産価格が下がって買い場がくると思っている投資家もいますが、都内の区分もこういう時期は割安に拾えるという考え方もできますか?

そういう考え方もできますが、現状ではまだコロナの影響より個別事情の影響の方がはるかに大きい。今月買った区分2室も、懇意にしている不動産会社が「年度末決算でどうしてもこの物件を売り上げないと部署のノルマ達成できないから」と話を持ってきた。従来通り、物件ごと人脈ごとの個別事情で安く買えたケースです。

ただ、最悪のシナリオで死亡者数が膨大な数になると、そこら中に事故物件が蔓延する可能性があって、費用をかけて特殊清掃して、低い家賃で実績を作って…という必要が出てくる。パンデミックが発生してそういった物件が増えたら、とんでもなく安い値段で拾える可能性もありますし、運営次第ではすごい利回りで回せるかもしれません。そのあたりは株とは違う展開がありそうですね。

――株や為替が不安定な状況で、安定資産として不動産に資金が入ってくる可能性はありますか?

そうですね。私は勉強のために一通り金、銀、オイルなどコモディティも保有して値動きを見ているんですが、「円から金に動いたな」とか「金から株に動いたな」といったことが分かります。地球上で飛び回っているバーチャルマネーの量は増えることはあっても減ることはなく、結局は為替かコモディティか株か不動産のどこかに回るしかないと思うんですね。

■今は「バブル」なのか

――今回のコロナショックで不動産のバブルが崩壊するのではないかという見方もあるんですが、コロナショック前の不動産マーケットについてはどうご覧になっていましたか?

いわゆる東京都内の区分についてはもう完全に日本古来の積算からは外れた領域で、ケタ違いに高い状態。ただ東京都内の区分がバブルかというと、平成バブルの当時からすると全然安いですね。

――今はバブルという見方もできるし、そうではないという見方もできる?

何の物差しでバブルというかは難しいんですが、普通のサラリーマンが30代40代で買ったとしても、おそらく物件によっては家賃だけでは一生かかっても死ぬまで持っていても元が取れないレベルになってきている。ただそれがダメかというとそうではなくて、買って5年以上持って、ある時点で売却すれば、おそらく家賃と合わせればある程度利確できる出口がみえる値段にはなっていると思います。

――超都心の区分であれば、こういった経済危機が起こっても価格はそれほど下がらない?

たしかに一般論としては、都心好立地の物件は古くなっても狭くても下がらない。ただ、パンデミックになった場合は、かえって田舎の田んぼの中にある戸建の方が、そこにじっとしていれば感染しないということで需要が高まって価格が全然下がらなかった、みたいなシナリオもあり得るかもしれないですね。

■暴落相場ですべきこと

――今回も不動産価格が下がるのを見越して今のうちに売り逃げに動いている投資家もいると思いますが、いま不動産投資家が意識すべきことは?

不動産投資は百人百様なのでなんとも言えないんですが、個人的にはキャッシュポジションを増やして、安定的にCFが湧いてくる環境を作ることが大事だと思っています。サラリーマン収入などで毎月必ずこの金額はキャッシュが確保できると分かっていれば、半分を使って残りの半分で暴落した株や指数を買っておくという戦略が取れます。

――全世界株式対象のワールドストックインデックスなどにも投資していると思いますが、今回は全世界的に株価が下落していますね。

例えばS&P500と、全世界株式インデックス対象のVT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)を比較すると、コロナ以前はVTより圧倒的にS&P500の方が強かったんですね。ヨーロッパが不調な中で、アメリカが一人勝ちする世界だったからです。ただ、コロナの問題が起こった今はVTよりS&P500の方が大暴落しています。

やっぱりアメリカがダメになると顕著ですよね。S&P500連動のVOOも急落して200ドルを切っていますが、アメリカがよくなれば極端に上がるでしょうし、素人だったらVTとVOOを両方買っておこうという考えでもいいと思うんですよね。

――今回のような暴落相場では、現物の不動産と紙系資産に分散している強みを感じますか?

区分は一棟と違って管積(管理費・修繕積立金)が大きなリスクになります。私なんかは年間600万円ぐらい管積が出ていくので、1億円を金利3%・30年の元利均等で借りているぐらいのキャッシュアウトが発生するわけです。それでも、不動産以外から配当のCFが湧いてくるシステムを構築しておけば、万が一空室が埋まらない不足事態でも埋め合わせが可能になる。そういうバランスのとれたシステムを築きたいなと思って、紙系の配当投資を始めたのがきっかけなんです。

■「安全」を目指す投資戦略

――今振り返ると、不動産だけ、紙系投資だけ、のどちらかに集中していたら危険だった?

資産拡大には「分散投資は意味がない、不動産なら不動産、株なら株で得意な分野に集中投資するべき」という理論もあります。ただ私のように専門のプロではない個人の場合は、リスクをある程度分散させた全体的なポートフォリオで時間をかけて攻めていくのがいいと思うんです。仮に大震災で区分が全滅しても復活できる、世界恐慌で株価が暴落しても区分で持ちこたえられる、というふうに、2つが天秤でバランスしている状態が一番安全だと考えています。

――今後の投資戦略についてはどのように考えていますか?

区分は個人で所有できるレベルとしてはこれぐらいでいいかなと考えています。CFが増えたぶん、リスクもそれに伴って増えていきますので、どちらかというと紙系の資産からCFが出てくるシステムを作っていった方が全体のポートフォリオとしてはいいかなと思うんですね。それで配当が出るETFや個別銘柄を買ってるのが今の状況です。例えば7%ぐらい配当が出る株であれば、5年持ったとすると35%配当なので、3割落ちてもある意味関係ないですから。

――株もナンピン投資で下がったら買う、という形ですか?

結局株の方はいつが底値か分からない状態なので、少しずつ下がったら買っていって、配当をもらいながら持ち続けて、出てきた配当でまた買う、家賃を足して買う、というのを続けていこうかと思います。それがベストかはわかりませんが、区分との相性がいいという感じですね。

たしかに、ナンピン買いは損失が膨らむだけで愚の骨頂、損切りが大事だという先生もいます。ただ区分があれば安定的なCFが湧いてきますから、それを使えば配当が出続ける株といつかは反転するインデックスなら永久に買い続けられるだろうと思っています。つまり、現金の区分投資と株のナンピン買いの相性がたまたまいいと考えているだけの話ですね。

不動産投資の楽待

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最終更新:3/27(金) 11:00

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