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「スマホをなくした人」を襲う超面倒くさい事態

2/29 16:01 配信

東洋経済オンライン

『あなたのスマホがとにかく危ない 元捜査一課が教える SNS、デジタル犯罪から身を守る方法』(祥伝社)の著者、佐々木成三氏は、元埼玉県警察本部刑事部捜査第一課の警部補。

 デジタル捜査班の班長を勤めていたというだけあって、スマホが悪用されて個人の実名やプライバシーがさらされるような例、1度アップされた画像が保存・拡散されて消せないネット上の刺青「デジタルタトゥー」となった例も数多く見てきたのだそうだ。

 そしてSNSの利便性が広く認知され、受け入れられている時代だからこそ、強く訴えたいことがあるという。

肯定派の方はもちろん、SNSに関わりたくない、自分はそれほどスマホを使わない……という否定派の方であっても、無関心や無知であってはいけないことがあります。
それが、「自分だけでなく家族や友人までをも含めた、スマホ、SNSの取り扱い方」についてです。(「プロローグーー「デジタルタトゥー」って知っていますか?」より)

 スマホやSNSにそれなりの不安を持ってはいるものの、どこか漠然としているだけに、まだ安全と危険の境界線をつかめていないという人は少なくない。そのため根拠なく、「自分は大丈夫だろう」と都合よく考えてしまったりするわけだ。

 だが自分にそのつもりがなかったとしても、無自覚に自分や家族を危険にさらしていることもある。あるいは本人は大丈夫でも、子どもの行為や自らの不注意によって痛い目に遭うこともないとは言えない。

 そこで本書において佐々木氏は、実際の経験を軸としながら、スマホ社会を生きていくために必要な「防衛知識」を伝えているのである。

 では、具体的にどのようなことが危険なのだろうか?  なにを心がけておくべきなのだろうか? 

■東京都だけで、紛失届は年間25万件以上

 酔った揚げ句に記憶をなくし、朝目覚めたらスマホがないことに気づいて慌てた。そんな経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれない。

警視庁の調べによれば、2018年にスマホや携帯電話をなくしたと届け出があったのは25万7718件、また拾ったと届け出があったのは15万6071件(警視庁「遺失物取扱状況(平成30年中)」)です。(64ページより)

 つまり、差し引き10万1647台が消えてしまっているのである。驚くべき数だが、スマホの紛失は傘などの置き忘れとはまったく意味合いが異なる。

 なぜなら持ち主の名前、電話番号、メールアドレス、生年月日などの基本データはもちろん、写真、動画、メール内容、通話履歴、連絡先、自宅や職場の位置情報、スケジュールなど、あらゆる個人情報が詰まっているからだ。

 そればかりか家族や恋人、友人や知人などの情報、仕事関係の情報、クレジットカードや電子マネー、キャッシュレス決済などお金に関する情報や、家族や恋人、友人にも知られたくない情報も含まれるかもしれない。

 いわばスマホは「個人情報の塊」であり、だからこそ絶対に外部に漏れないよう、画面には必ずロックをかけておく必要があるのだ。

 面倒だからとロックの設定をしない人もいるようだが(特に年配の人)、それは家の玄関に鍵をかけずに外出するようなものだと佐々木氏は主張している。

■スマホは「あの瞬間」に失くなっている

 スマホを置き忘れたり落としたり盗まれたりし、それが悪意を持った人の手に渡ってしまったとしたら、次のようなリスクが生じることになる。

① クレジットカードや電子マネー、キャッシュレス決済などの悪用
② SNSアカウントの乗っ取り、なりすまし利用
③ 国際電話や長時間通話の利用
④ 振り込め詐欺などの犯罪利用
⑤ 有料アプリの利用
⑥ 電話帳や連絡先などの個人情報の売却
⑦ スマホ本体の転売
(66ページより)
 想像してみただけでも恐ろしいが、現実問題として、こういったさまざまな犯罪やトラブルに巻き込まれる恐れがあるのだ。そればかりか、ストーカーなどのきっかけになり、深刻な被害を受けることすら考えられる。

 そのため、所有者の個人情報を狙っている人や、行動を監視したい人などにとって、ロックのかかっていないスマホはかなり好都合なのだ。スマホを置いたまま席を離れた隙を利用して中を盗み見たり、監視アプリを埋め込んだりする機会を容易に与えることにもつながる。

 そうしたリスクがあるからこそ、スマホの個人情報の流出は、所有者本人だけでなく、家族や恋人、友人知人、さらには仕事関係の人にも大きな迷惑をかける恐れがあることを忘れるべきではないのだ。

 ところで、どんなときにスマホを紛失してしまうのかが気になるところだが、これはずばり「飲酒時」なのだそうだ。事実、忘年会や新年会、歓送迎会、お花見シーズンなどの時期は、特にその数が増えるのだという。

 そして万が一スマホをなくしたときは、とにかく急いで心当たりを探す必要がある。

iPhoneには「iPhoneを探す(iOS13以降は「探す」)、Androidには「デバイスを探す」という紛失に備えた機能がそれぞれあり、現在位置の特定や画面の遠隔ロック、データの消去などが行なえます(データを消去すると現在位置も特定できなくなるので最後の手段です)。(68ページより)

 どうしても見つかりそうにない場合は、ただちにスマホに登録したクレジットカードや電子マネー、キャッシュレス決済などの契約会社に利用停止の連絡を入れ、警察に届けるべき。利用の停止をしないと、限度額いっぱいまで使われてしまう恐れがあるからだ。

 また、なくしたスマホが戻ってきたとしても、SNS等のパスワードはすべて変更したほうがよい。

■パスワードをかけただけでは安心できない

 スマホの守りを堅固なものにして個人情報を守るために、佐々木氏は3つの対策を行うことを勧めている。基本的なことではあるものの、決して無視できないというのである。

 1つ目は、スマホのロック(画面ロック)を見なおすこと。

 iPhoneの場合、iOS9以降の初期設定のロックは6桁の数字のPIN(Personal Identification Number=個人を識別するための番号)コードで、4桁の数字や任意の桁数の英数字も使用できる。機種によっては指紋認証や顔認証も利用可能だ。

 Androidの場合は、数字のPINコード、英数字のパスワード、指で形をなぞるパターン認証のほか、やはり機種によって指紋認証や顔認証も利用できる。

PINコードやパスワードを設定するときに一番気をつけるべきことは、他人が手にしたときにロックが簡単に解除できるような安易なものにしない、ということです。「当たり前でしょ」と思った方、では実際に簡単ではないパスワードにしているでしょうか?  現実には「自分は大丈夫」と面倒くさがってしまう人が大多数です。(69ページより)
 例えばセキュリティ企業のスプラッシュデータが毎年発表している「最悪のパスワード・ワースト100」(2019年度版)によると、1位から10位までは次のようになっているという。

① 123456
② 123456789
③ Qwerty(キーボードのqから右へ続けたもの)
④ password
⑤ 1234567
⑥ 12345678
⑦ 12345
⑧ iloveyou
⑨ 111111
⑩ 123123
(70ページより)
 このように、誰でも考えつきそうな安易なものを使うのは非常に危険。画面上での左から右へのスワイプ(画面に触れた状態で指を滑らせる操作)やタップ(画面を指先で1回短くタッチ)のみで開いてしまう設定は、絶対にやめたほうがよい。

 ひとたびスマホのパスワードを外されてしまえば、個人情報はもとより各種のネットサービスやSNSなどのID・パスワードも特定されるものだと覚悟しなければならない。

 なぜならスマホの中からは、家族の誕生日や自宅・実家の電話番号、愛車のナンバー、ニックネーム、ペットの名前など、ヒントになるものはいくらでも見つかるからだ。そうした個人情報が悪用されれば、さらなる犯罪被害にもつながりかねないだろう。

 だとすれば、そうした事態を避けるためにはどうしたらいいのだろう?  この問いに対して佐々木氏は、安易な数字や英数字の組み合わせなどは避け、なるべく複雑なパスワードや桁数の多いPINコードを設定することを勧めている。

 複雑なパスワードを設定すれば、セキュリティー強度が格段に上がるからだ。

ネット上でさまざまなサービスを利用する機会が増え、スマホ画面のロック以外にも、みなさんが使うパスワードの数は急増しているはずですから、その管理も含めて考えるなら、信頼のおける利用者の多いパスワード管理アプリを利用して自動作成したほうが、自分で作るよりも安全かつ効率的にパスワードを運用できるでしょう。(74~75ページより)
 パスワード管理アプリは、アプリのストアで「複雑なパスワードの作り方」などで検索すれば簡単に見つけることが可能だ。

 ただしパスワード管理アプリに限らず、信頼できない配信元からのアプリをダウンロードすると、一緒にウイルスが入ってしまうことがあるので、アプリの評判や配信元企業の信頼性をしっかり確認する必要がある。

 また忘れてはならないのは、こうした管理アプリも、第一段階のスマホの画面ロックがしっかりしていればこそ機能するものだということだ。

 スマホのロックが簡単なもので、なおかつパスワード管理アプリにログインするためのマスターとなるパスワードも単純なものだった場合、すべてのパスワードが一覧で見られてしまうことになる。

 それではせっかく他のパスワードを自動作成した意味がなくなってしまうので、まず根幹となる部分のセキュリティー対策を講じるべきだという考え方である。

■「自分は大丈夫」に根拠はない

 「危ないといっても、まぁ大丈夫だろう」

 「スマホの使い方はわかってるから」

 「SNSはやらないので問題なし」

 例えば、このように考えている人も多いだろう。しかし、実はそんな人ほど犯罪者に狙われているのだという。たとえスマホ慣れしていたとしても、悪意のある人がその気になれば、簡単に犯罪に巻き込まれてしまうわけだ。

 佐々木氏は、「いま無事なのは、“まぐれ”でしかない」とすら言い切る。

 そして、だからこそ「正しく怖がり、正しく向き合い、正しく活用する」ために、スマホ・SNS犯罪でいま起きていること、その対策、自分や家族を守るための方法を知っておくべきだというのである。

東洋経済オンライン

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最終更新:2/29(土) 16:01

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