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【米国経済】低インフレが継続すれば、FRBは年央に緩和政策強化へ

2/23 15:30 配信

週刊 金融財政事情

 新型コロナウイルスの感染拡大により、市場の楽観ムードは大きく後退した。米中通商協議が「第1段階の合意」に達し、先行き不透明感が和らぎ始めていたタイミングでのことだった。重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した2002~03年に比べて世界に占める中国の経済規模が拡大しているだけに、中国での混乱が長引いた場合、悪影響は全世界に波及する恐れがある。
 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は2月11日の議会証言で、「FRBは新型コロナウイルスの感染拡大を注視している」と述べ、「米国にも一定の影響が及ぶ可能性が非常に高い」との見方を表明した。1月29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見では、「中国景気や周辺国に短期的な影響が出る」と指摘していたが、議会証言では警戒姿勢を一段階引き上げた。
 感染拡大が深刻な武漢市は自動車や半導体の集積地で、すでに日本の自動車工場では部品調達の遅れから工場の操業を一時的に停止する動きが見られる。米国の輸入自動車部品の調達では、メキシコが40%を占め、中国からの調達比率は10%弱にとどまる。日本の自動車部品の中国調達率(37%)に比べて低いとはいえ、サプライチェーンの混乱がメキシコやカナダを経由して米国に波及する可能性は否定できない。スマートフォンなど電子機器の生産にも支障が生じており、供給制約から個人消費が下振れした場合、米国の20年1~3月の成長率は年率1%程度まで減速しよう。
 とはいえ、感染症の拡大などによる経済への影響は、過去の例を見ても比較的短期間で収束するケースが多い。新型コロナウイルスの感染拡大が米国経済にとって新たなリスクであることは間違いないが、FRBが一時的な景気の下振れに対処する理由だけで、金融緩和に動く可能性は低いと考えられる。
 しかし、追加的な金融緩和を排除し切れないのも事実だ。とりわけ、筆者が注目しているのは低インフレである。FRBは1月のFOMC声明文で、現在の金融政策による物価見通しに関する表現を、「2%近辺のインフレ率」から「物価目標である2%への回帰」と修正し、2%以下のインフレ率を許容しないことを明確にした。
 パウエル議長は、「今後数カ月でインフレ率は2%に近づく」との見通しを示しているが、昨年12月の食料・エネルギーを除く消費者物価指数は前年比で1.6%の上昇にとどまっている(図表)。この先は中国経済の急減速に伴う国際商品市況の下落も米国の物価上昇を抑制する要因となる。今後も低インフレが続いた場合、FRBは、金融政策の枠組み見直しを公表する年央に緩和政策を強化する可能性がある。(「週刊金融財政事情」2020年2月24日号より転載)

週刊 金融財政事情

最終更新:2/23(日) 15:30

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