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GDP大幅マイナス……でも「景気は緩やかに回復」しているらしい

2/21 6:03 配信

THE PAGE

 政府は2月の「月例経済報告」を発表しました。17日に発表された2019年10-12月期の実質GDP(国内総生産)は前期比年率▲6.3%という、目を疑うような弱さだったにもかかわらず、景気の総括判断は「緩やかに回復している」で据え置かれました。以下、政府の景気判断据え置きの背景と、そこから示唆されることを一問一答形式でみていきます。(第一生命経済研究所・藤代宏一主任エコノミスト)

Q:そもそも「月例経済報告」とは?

 内閣府(政府)は毎月、日本経済の景気認識を示しています。GDPの約6割を占める個人消費をはじめ、生産、輸出、設備投資といった企業活動、さらには雇用、物価などあらゆる項目について経済指標を精査し、官庁エコノミストが総合的に判断します。そうした景気認識は経済政策の策定に役立てられます。

 なお、政府は景気動向指数という経済指標を作成し、それを機械的に評価した景気認識も示していますが、月例経済報告では特殊要因を加味したり、統計のノイズを取り払ったりすることで、エコノミスト的視点を加えています。

Q:2月の景気判断はどうなった?

 景気の総括判断は「緩やかに回復している」で据え置かれました。個別項目に目を向けると「生産は、引き続き弱含んでいる」、「輸出は、弱含んでいる」「設備投資は、緩やかな増加傾向にあるものの、一部に弱さがみられる」として、いずれも下向きの判断が下されています。他方、総括判断の「回復」と整合的なのは「雇用は、改善している」と「個人消費は、持ち直している」の2項目です。つまり、内閣府が「景気は緩やかに回復している」とするその根拠は、消費と雇用の底堅さということです。

Q:個人消費は増加しているのか?

 ここが最も重要なポイントです。そこで昨年10-12月期のGDPに目を向けると、まず全体の成長率は前期比年率▲6.3%と極めて大幅なマイナスでした。日本経済の潜在力とされる成長率が0%台後半であることを踏まえると、この数値がいかに弱いかが分かります。そして内閣府が「持ち直している」と判断した個人消費は、前期比年率で▲11.0%という目を疑う弱さでした。

 グラフの「実質個人消費支出」推移の波形を見れば一目瞭然ですが、筆者には「持ち直している」ようには見えません。しかも、今回の落ち込みは、その直前に「増加」がみられなかったことも重要です。2014年4月の消費増税時はその数四半期前から駆け込み需要が発生していたため、その反動がでるのは自然だったのですが、今回の消費増税では(2014年対比で)大きな駆け込み需要がなかったにもかからず、このような落ち込みとなりました。「持ち直している」との評価には違和感が残ります。

Q:数値が弱いのに「回復」維持 内閣府の判断基準は?

 前述の通り、内閣府の月例経済報告は機械的な判断とは距離を置きます。統計を表面的に見るのではなく、特殊要因などを除去することで、景気の真の姿を読むように努めるからです。例えば、景気判断が「回復」している状態において、災害などで一時的に経済活動が大きく下押しされた場合、その落ち込みを(基調的な)景気減速とは判断せず、その先に予想される復興需要などを踏まえ、景気判断を据え置くことがしばしばあります。

 したがって、今回内閣府が景気判断を据え置いたのは、10-12月期の停滞が「一時的」であると判断したからでしょう。つまり内閣府は1月以降の個人消費の回復に強い自信を持っているものと推測されます。

Q:1月以降の個人消費は回復するのか?

 現時点で1月のデータはほとんどありませんが、(1)新型コロナウイルスの感染が拡大する前である12月データの落ち込みが酷かったこと、(2)速報性に優れた1月の景気ウォッチャー調査の結果が冴えなかったこと――を踏まえると、1月以降に力強いリバウンドがみられるかは疑問です。2月は新型コロナウイルスの影響もあって基調はさらに把握しにくくなりますが、消費の基調は10月の消費増税以降に大きく崩れている可能性が高いように思えます。

Q:景気判断の「回復」維持をどう考えるか?

 景気の弱さを認めず、経済対策が後手に回るのは最も避けるべき事態です。とはいえ、政府も本音では相当な危機感を持っているはずです。今回、政府は「回復」という判断を据え置きましたが、さすがに19年10-12月期に生じてしまった断層が1-3月期、あるいは4-6月期にも埋まらないような展開は絶対に避けたいでしょう。こうして考えると、個人消費を支える対策が急務となってくるのではないでしょうか。予想される対策としては、6月末に終了予定のキャッシュレス決済のポイント還元事業の延長などが検討されることが考えられます。

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※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

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最終更新:2/21(金) 6:03

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