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初心者が騙されやすい不動産業者の営業トークとは?《楽待新聞》

2/20 11:00 配信

不動産投資の楽待

初心者投資家が不動産業者から営業を受けたり、自ら物件の相談をしたりした際、押しが強い営業マンに当たってしまうと、よく分からないまま物件を買わされてしまうリスクがある。仲介業者は契約を取るために、顧客にさまざまな営業トークを駆使して「今日」物件を買ってもらおうとすることが多い。うまく顧客に刺さるトークを使い、顧客の気持ちが高ぶっているうちに決断をしてもらった方が契約が決まりやすいからだ。

今回は、不動産業者の営業マンが主に使う営業トークについて、元不動産仲介業者の長野久志氏が紹介していく。このあたりの基本的な話はすでに理解している読者が多いかもしれないが、これから不動産投資に参入を検討している人に少しでも参考にしてもらい、物件購入で後悔することがないようにと願う。

■「不動産投資で節税できる」という謳い文句

「不動産投資で節税」というワードを見聞きすることは多いだろう。不動産仲介会社(以下、仲介業者という)の営業トークでもよく使われる言葉で、「不動産を購入すれば税金面でお得になる」といった印象を受けやすい。

ところが、不動産投資での節税というのは、基本的に不動産運用での赤字分を損益通算することが前提となっている。つまり、赤字計上によって所得が減った分だけ課税される所得税も減るという仕組みだ。

損益通算とは、例えばサラリーマンであれば給与所得と不動産所得(売却益や賃料収入など)を合算した総合課税所得から不動産投資の赤字分を差し引くことができるというもの。もし不動産投資で赤字が出てしまっても、その赤字分を計上すれば総合課税所得の額が減るため、これが節税へとつながることになる。しかし、逆に黒字であれば所得が増えた分だけ課税対象額も上がることになり、すべての不動産投資に節税が当てはまるわけではない。

■節税の営業トークには要注意

不動産投資をしたからといって必ずしも節税できるわけではなく、不動産運用にかかる諸費用や減価償却費、税金などを計上して損益通算することが前提となっているため、注意が必要だ。

例としては、収益物件の購入を考えている投資初心者が仲介業者へ相談した際に、担当の営業マンから「不動産投資は節税効果がありますよ」といった内容を聞かされるケース。もし営業マンが赤字計上の話をしなかったり説明が曖昧だったりすると、話を聞いた投資家は「不動産投資=節税」と誤認してしまう可能性がある。この誤認をしたまま節税効果を期待して不動産を買ってしまうと、後になって実際には思っていたほど節税にならなかった、ということもある。

そこでまず、不動産の税金についてきちんと理解をしておく必要がある。不動産の節税の基本については、以下の記事で解説されている。収益物件の購入や運営でかかる費用から、税金の基本的な仕組み、損益通算などについて紹介されており、初心者でもわかりやすい。

■いつまでも赤字計上では投資拡大ができない

不動産投資での節税は、うまくキャッシュフローを残しつつ、減価償却費やその他経費を計上することで帳簿上の損益を赤字にできれば節税効果が期待できるのだが、デメリットも存在する。

例えば、不動産業者が土地の所有者に対して一棟マンション・アパートの新築を持ちかけるケースで、営業マンは節税対策として損益通算を使った赤字計上を前提に話をしてくる場合がある。減価償却で帳簿上赤字にすれば、不動産運用に関する赤字分は所得の課税対象額から減らすことができる、という内容だ。また、不動産業者はサラリーマン投資家に対しても土地を買わせて一棟アパートの新築を提案することがある。

つまり、不動産所得の赤字を給与所得から差し引くことで、「赤字分の損益通算」によって所得税の減額につながるという仕組み。課税対象額が減ったぶん、給与から天引きされていた所得税が還付されるというメリットがあるが、マンション経営が赤字ということは「不動産運用が事業としてうまくいっていない」という見方もできるため、金融機関の融資がつきにくくなる恐れもある。今後も投資を拡大していくのであれば、それが困難になるリスクをはらんでいるのだ。

例として、仲介業者にアパート経営を提案されたサラリーマン投資家が、所得税や住民税の節税を期待して不動産ローンの利用で一棟アパートを新築した場合。帳簿上赤字にするため減価償却費やその他経費を計上して確定申告を行い、赤字の損益通算によって所得税が還付されることになった。

ところが、次の投資対象として2棟目のアパートを新築しようとしたところ、銀行のローン審査が承認されずアパートを建てる土地すら買うことができない。銀行の担当者が言うには、現在の赤字を改善してローン残債を減らさなければ融資できない、とのことだった。

銀行融資の審査では不動産投資を事業として見ており、業績が赤字のままでは融資がつきにくくなってしまう。

またこの事例の場合、キャッシュフローが出ている状態で帳簿上だけ赤字なのであればまだリスクは低いかもしれないが、現金収支も赤字なら危険な状態といえる。この状態では、毎月のキャッシュフローがマイナスのまま不動産を持ち続けなければならなくなってしまう。また、売却するにも買ったときより低い価格でしか売れず損失のほうが大きい可能性があり、そうなるともはや「節税」どころではない。

■よくある不動産業者の営業トーク

節税をはじめ、投資家が仲介業者の営業マンから言われやすい営業トークをまとめてみた。

【1】不動産を買えば節税になる

先述した通り、すべての不動産に節税効果があるわけではなく、不動産の運用スタイルによって異なる。一般的に節税効果があるのは、帳簿上赤字の状態にして課税所得額を減らすというもので、所得税の還付や住民税の減額につながることがある。ただし、赤字の状態のままでは銀行融資がつきにくくなることから、初めから投資拡大を想定している場合は注意が必要だ。

【2】生命保険の代わりになる

一般の住宅ローンと同様に、不動産ローンには団体信用生命保険(以下、団信という)が付けられる。一般的には保険料をローン金利に上乗せして支払うことが多い。団信は、加入者が死亡または高度障害になった場合にローン残債を保険金で補填するというもの。万が一、不動産を買ったオーナーが亡くなってしまったとしても、遺族にローン残債が残ることはなく不動産を相続することができる。

団信はローン残債がなくなるまで保険料を支払っていかなければならないため、死亡や大きな病気をすることなく元気なままであれば、掛け捨ての保険のようなものともいえる。仲介業者の営業マンは、この団信による万が一の保証を「生命保険の代わり」のような言い方で顧客に訴求することがあるため、「生命保険」としての印象が強く残りやすい。

しかし、当然ながら不動産投資は生命保険ではないので、ただ保証料を支払っていればよいというわけではない。きちんと賃料収入や売却益などで利益を出すために運用していく必要がある、ということを忘れないようにしたい。

【3】高利回り物件だから儲かる

仲介業者が顧客に紹介する不動産の中に、表面利回りが12%以上あるような高利回り物件というものがある。顧客に対して「高利回りなので必ず儲かります」と言うような、得られる利幅の大きさや収益の確実性を説いて顧客の興味を引くやり方だ。「必ず~」「絶対に~」という言葉を使う営業マンは多いが、これはその営業マンの主観でしかないため、言葉や表面だけの数字に惑わされずにしっかりと物件の内容を確認する必要がある。

高利回り物件であっても建物が築古のため将来的に多額の修繕費用がかかるケースや、賃貸需要が低いエリアにある物件のためなかなか入居付けができない、といったリスクが考えられる。また土地の形状が旗竿地だったり、再建築不可のせいで高利回りになっていることもあるから、地形や権利関係についても早めに確認しておきたい。

例えば、利回り20%で築古の一棟アパートが売却に出ていたとしても、再建築不可の場合は築古の建物を解体して新たにアパートを建てることができず、リフォームをしながら保有し続けなければならないといったリスクがある。また、エリアによっては再建築不可の物件は売却することも困難な場合が多く、投資の出口としてもやはりリスクが高い傾向にある。

高利回り物件だったとしても、再建築不可や埋蔵文化財包蔵地の対象エリアであるなどのデメリットがないか、きちんと確認しておかなければならない。

【4】サブリースで家賃保証

サブリースとは、サブリース会社が収益物件を一括借り上げして、その賃料をオーナーに支払うという仕組みのもの。もし入居者がつかず空室の場合でもサブリース会社から賃料が支払われるため、営業マンに家賃保証の話をされるとオーナーのリスクが低いような印象を受ける。しかし、物件が所在するエリア内の賃貸需要や建物の老朽化によって賃料改定が行われる場合があり、そのたびにサブリース会社から支払われる賃料がどんどん減っていくといったリスクがある。

例えば、3000万円の一棟アパートで、サブリース会社から支払われる年間賃料が500万円の場合。契約時は500万円の賃料収入であっても、3年後の賃料改定によって賃料収入が400万円になれば、表面利回りが3%以上も下がることになる。

極端な例ではあるが、サブリースは永続的に最初の賃料を保証するものではないため、契約する前にきちんと内容を確認しておくことが大切だ。契約期間や転貸の条件についてチェックし、特約の部分に賃料減額や中途解約についての文言が入っている場合は注意が必要だ。きちんと内容を担当者に確認しておきたい。

■業者の営業トークを回避する方法

営業マンに言われるがまま物件を買って後から後悔しないように、回避するためのポイントを以下に挙げておく。

【1】不動産知識を身につける

初心者投資家は、不動産業者の営業トークを鵜呑みにせず、ある程度は自分で物件の良し悪しが判断できるように不動産の基礎知識を身に着けておく必要がある。不動産の税に関することや建築基準、接道義務、利回りについてなどまずは広く浅く知っておき、分からないことがあればそこから一つずつ知識を深めていくとよい。

不動産の税金に関することや利回りについては、初心者でも分かりやすい書籍が数多く出版されている。建築基準法や接道などについては、気になる物件があれば役所の建築指導課で直接質問することもできる。筆者も仲介業者時代に、対象不動産の権利関係についてはよく役所に電話したり直接窓口へ出向いたりして質問をしていた。分からないことや疑問点があるときは、できるだけ自分で確認するようにしていけば自然と不動産の知識が身につくようになる。

【2】焦って判断しない

魅力的に思える物件であっても、よく分からない点があれば焦ってすぐに判断しないこと。営業マンがよく使う言葉で「他にもこの物件を買いたいという人がいる」「今日決めないと、明日になれば他の買付が入る」「この金額なら指値が通る」などがある。この言葉は、実際に筆者も仲介業者時代に使っていたことがあり、顧客の決断を早める効果があった。

中でも、筆者が特によく使っていたのは、「この金額で指値が通るか売主さんに交渉してみます」という言葉。物件を見た後に、まだ買うことを決めきれずに悩んでいる顧客に対して、「あなたのために価格交渉をします」といったニュアンスで「買付を出しましょう」と誘導すれば、その場で買付がもらえる確率が上がった。顧客としても、いったん買付を出してしまえば気持ちが購入のほうへ大きく傾くようで、さらに指値が通ればそのまま「買う決断」になることが多い。

こうした言葉を使う営業マンは多いのだが、中には、きちんと売主に価格交渉をする気がないのに買付をもらうためだけに「あなたのために売主さんに価格交渉をしてきます」と断言する場合もある。もし、こうした状況になって不安を感じた場合は、買付を取り下げることもできる。

【3】いったん話を持ち帰る

先述した営業トークで焦ってしまうと判断を誤ることがあるため、すぐその日のうちに判断せず、いったん話を持ち帰る勇気も必要だ。家で資料を見ながら冷静に考えて判断しよう。もし、資料を見てもよく分からず判断できないときは、資料の意味を理解するためにインターネット検索や書籍などで調べてみることも大切だ。それでも難しい場合は、不動産購入の経験がある人に相談して、判断するための材料を増やしておきたい。

特に気の弱い相手に対しては、「あなたのためにこれだけ説明しているのに」「たくさんの大人が時間を使っている」といったアプローチで断れなくしようとする営業マンもいる。その場合は、「貴重な時間を使っていただいてありがとうございます」と感謝の意を営業マンに伝えたうえで、「ただ、自分だけで判断するのは不安なので家族や身内に相談します」と言って、いったんその場を離れることが大切だ。

【4】相場を自分で調べる

不動産売買や賃料相場は、不動産ポータルサイトの検索で簡単に調べられるようになっている。もし仲介業者が「この場所でこの売却価格は安いですよ」と言っていたとしても、いったん自分で調べて裏付けをとっておくとよい。もちろん、土地面積や地形、隣地状況、前面道路など周辺の状況によって価格は違ってくるが、インターネットである程度は不動産の相場観をつかむことができる。

たいていの仲介業者は、自分よりも不動産知識が多い投資家に対しては営業しにくい。例えば「不動産投資は節税できます」というトークに対して、投資家から損益通算や赤字経営について細かく切り返されると、他の営業トークもしにくくなる。

所得税が還付される金額や減価償却費の額について具体的に聞かれたり、赤字経営をした場合の収支を細かく質問されたりすると、営業マンとしては自分のペースを崩されてトークしにくくなることがある。逆に、あまり質問をしてこない顧客に対しては営業トークが饒舌になってくる。

■まずは基礎知識を

多くの営業マンは顧客に反論されるのを嫌がる傾向にあるため、初心者投資家は早めに不動産の基礎知識を身につけ、営業トークに対して適切な質問を投げられるようにしておくことが大切といえる。

営業マンが「不動産投資の節税」を提案してきたときは、「もしこの物件を買った場合は、所得税や住民税が具体的にいくらお得になるのか数字を出してほしい」といったような、営業マンがすぐにその場で答えにくいような質問をしてみるのがよい。営業マンがすでに具体的な資料を用意しているのであれば、その場で内容を確認することができる。逆に、資料を用意しておらず「後日、計算した資料をお持ちします」といったことを言わずに、その場を取り繕うような曖昧な返答しかしない営業マンは警戒したほうがよいだろう。

営業マンとしては、自分の知識が浅い部分を顧客からつつかれると、その顧客に対して「営業しにくい」という印象をもつ。そのため、不動産用語や投資の計算などで分からないことがあれば、その都度質問をしていく姿勢が大切になる。そうすれば、悪質な不動産業者に丸め込まれたり、騙されるたりする確率はぐっと下がるのではないだろうか。

不動産投資の楽待

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最終更新:2/20(木) 11:00

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