高市総理が衆議院の解散を決定したことを受け、政府は臨時閣議で1月27日公示、2月8日投開票という選挙日程を正式に決定しました。今回の選挙戦では、物価高対策としての「消費税の減税や廃止」が主要な争点の一つとなっており、各党が期間や対象を限定した様々な公約を掲げています。
そこで今回は、改めて注目が集まっている消費税について、その基本的なしくみや主な使い道、現在のルールを事実に基づき解説します。
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「国の収入の約3割」消費税、多くの人が日常的に負担する税金
消費税は、商品やサービスを購入する際にかかる税金で、現在は原則10%(一部は軽減税率8%)が適用されています。年齢や収入、働いているかどうかにかかわらず、多くの人が日常的に負担している税金です。そのため、国にとっては景気の影響を受けにくい、安定した収入源となっています。
では、私たちが日々の買い物で支払っている消費税は、国全体で見るとどのくらいの規模になるのでしょうか。国が公表している令和7年度(2025年度)一般会計歳入の当初予算をもとに見てみましょう。
一般会計歳入とは、社会保障、教育、防衛など、国の基本的な政策に使われるお金の収入部分を指します。2025年度の一般会計歳入は約115.2兆円とされており、そのうち租税および印紙収入は約77.8兆円を占めています。
この税収の中で最も大きいのが消費税です。消費税収は約24.9兆円と見込まれており、これは税収全体の**約32%**にあたります。国の収入全体で見ても、およそ5分の1強を消費税が占めている計算です。
一方、源泉所得税は約18.2兆円、法人税は約19.2兆円とされており、いずれも消費税を下回っています。このことから、消費税は現在の予算構造において、国の財政を支える最大の柱となっていることがわかります。
ふだんは意識しにくい消費税ですが、国全体で見ると、社会保障をはじめとするさまざまな支出を下支えする重要な役割を担っているのです。
「税収見込みは約24兆9000億円」消費税、いったい何に使われている?
2025年度予算では、消費税の税収は約24兆9000億円と見込まれています。日々の買い物で当たり前のように支払っている消費税ですが、「集められたお金が何に使われているのか」は、意外と知られていないかもしれません。ここでは、消費税の使い道をシンプルに整理します。
●消費税の使い道→「社会保障」
消費税の税収は、2014年度以降、法律により次の「社会保障4経費」に充てることが定められています。
・年金
・医療
・介護
・子ども・子育て支援
つまり、消費税は国のさまざまな支出に自由に使われているわけではなく、社会保障を支える目的税に近い位置づけになっています。
●それでも足りないのが現実
2025年度当初予算では、これら社会保障4経費の合計は約34兆円にのぼります。一方で、消費税の国税分は約24兆9000億円です。
・社会保障4経費:約34兆円
・消費税(国税分):約24.9兆円
この差額は、他の税収や国債(借金)で補われています。消費税は社会保障を支える大きな柱ではありますが、それだけですべてを賄えているわけではありません。
この不足分は、他の税収や国債などによって補われています。それでも消費税は、年齢や収入にかかわらず広く負担されるため、景気に左右されにくい安定した財源として重視されています。高齢化が進む中で、社会保障を支える「土台」としての役割を担っているのが、消費税の現状です。
「持ち帰りなら8%」「レシートのどこが変わった?」消費税、きほんのしくみ
消費税は、商品の購入やサービスの提供に対して広く公平に課税される税金で、私たちが日々の暮らしで最も身近に感じるものです。この税金は最終的に消費者が負担しますが、実際に計算して国へ納めるのは、代金を預かった事業者(お店や会社)が行います。
●生活を支える「軽減税率」
現在は、標準の「10%」のほかに、日用品の負担を軽くするための「8%(軽減税率)」が導入されています。
対象となるのは、お酒や外食を除く「飲食料品」や、定期購読の「新聞」などです。例えば、同じ食べ物でも「店内で食べる(外食)」なら10%、「持ち帰り(テイクアウト)」なら8%といった区別があります。
●正確に計算するための「インボイス制度」
複数の税率が混在すると計算が複雑になるため、ミスを防ぐしくみとして始まったのが「インボイス制度」です。
お店が発行する請求書やレシートに、登録番号や「どの品目に何%の税金がかかっているか」を明記することが義務付けられました。 このインボイス(適格請求書)があることで、売り手と買い手の双方が、支払った税額を正しく確認できるようになっています。
「世界で消費税27%の国も?!」消費税《廃止・減税》など日本の選択は?
日本の消費税率10%は、世界的に見ると決して高くありません。ハンガリーの27%を筆頭に、EU諸国では20%超えが一般的であり、日本は先進国の中でも低い水準を維持しています。
しかし、今回の選挙では「物価高対策」としてこの根幹税制の減税や廃止を問う声が強まっています。少子高齢化が進み、社会保障費が膨らみ続ける中で、安定財源である消費税をどう扱うのか。私たちの生活に直結する、極めて重要な選択の時を迎えています。
参考資料
・総務省「第51回衆議院議員総選挙 衆院選2026」
・財務省「消費税について教えてください。」
・財務省「 もっと知りたい税のこと(令和5年7月発行)」
・外務省「世界の消費税(付加価値税)の税率の高い国」
・国税庁「国税庁レポート2025」
・国税庁「消費税のしくみ」
・自民党「衆議院解散について高市内閣総理大臣記者会見」(2026年1月19日)
村岸 理美
最終更新:1/24(土) 18:05